フランソワ=グザヴィエ・ロトが率いるレ・シエクルのたった一日の来日公演。満席となった今日の東京オペラシティのコンサートは、主にフランス人たちが作り上げてきた「フランス的なもの」をフランスの楽団が解体した、大変刺激的な演奏だったと思います。

 

フランス的、特に印象派の演奏で思い浮かぶのは、明るい色彩で表現もアンサンブルもどこか曖昧な、ぼんやりとした演奏。しかし、今日の演奏は、最初のドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」から、真っすぐな音と表現に驚かされました。そして、今まで隠れていた旋律や響きの美しさを、より感じ取ることができました。

 

曖昧さを排すと、その分、曲をしっかりと聴かせる表現力が求められます。今日の演奏はこれらの点が抜きんでており、「牧神」後半の夢見るようなクライマックスや、「遊戯」の気持ちが徐々に華やいでいく表現が見事。これまで雰囲気を感じ取るような演奏が多かったこの曲を、はっきりとした輪郭できかせてくれました。

 

そして、一番印象的だったのが、曲の持つ生命力を最大限に引き出す強烈なエネルギーです。ラヴェルの「ラ・ヴァルス」は聴いていてショックを受けるほどゴツゴツとしたサウンドで、渦巻き、ぶつかり合い、最後は曲が崩壊しそうなほどのエネルギーで突き進みます。もう黙って聴いておられず、思わず足を踏み鳴らしたくなるような熱狂的な演奏。

 

後半のストラヴィンスキーの「春の祭典」は、前半ほどの驚きはなかったものの、表現力の高さはここでもいかんなく発揮され、聴いていてワクワクしました。また、アンサンブル力も大変高く、ただ単に新しい演奏の切り口を楽しむだけではなく、完成度の高い演奏を堪能するという点でも、満足のいくものでした。

 

まだまだ新しい演奏が出てくるクラシック音楽界。これからもどんな演奏に出会えるのか、本当に楽しみです。

 

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