次期音楽監督のヤープ・ヴァン・ズヴェーデンとともに来日したニューヨーク・フィルハーモニックの公演は、このオーケストラの技量の高さを実感した一方、この音楽づくりが果たしてこのオケに合っているのかどうか、考えさせられる演奏でした。

 

前半は、ユジャ・ワンをソリストに迎えてのブラームスのピアノ協奏曲第1番が演奏されました。リズムに乗った演奏で、低音がしっかりとオケを支えており、安定感のある演奏でした。ただ、どこか余裕しゃくしゃくの演奏で、ドラマティックで長大なこの曲を描くには物足りなく、退屈に感じる時間もあったことも事実。また、音の入りのズレやところどころ気の抜けたような音がする等、細部の作り込みも不足していたように思います。

 

後半のストラヴィンスキーの「春の祭典」も、複雑なリズムをものともせず、しっかりとリズムに乗った演奏で、金管楽器もしっかりと鳴っており、このオケの技量の高さを窺い知ることはできましたが、前半同様、どこかドライな演奏で、物足りなさを感じてしまいました。むしろ、地を這うようなサウンドで表現された弱奏部のほうが印象的であり、特に序奏の木管楽器が妖しく絡みついてくるような雰囲気は、これから何が始まるのか、というようなゾクゾク感があり、この日の演奏で最も面白いと感じた瞬間でした。

 

協奏曲の第3楽章でようやく、情熱的なソロと一体となった演奏を聴かせてくれたこのオーケストラ。もしかすると、この指揮者は感情が高揚するような演奏よりも、こういった細かい部分で曲に新たな光を当てるような演奏を志向しているのかもしれませんが、個人的には、高い技量を持つオケだけに、小細工をするよりもストレートに感情を露わにした演奏のほうが魅力的なような気がしました。

 

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