今年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の来日公演のメインは、ブラームスとマーラー。どちらにしようか大変迷いましたが、後者のほうがこのオーケストラの木管楽器群の音色を楽しめるのではないかと考え、ミューザ川崎まで足を運びました。

 

前半のハイドンのチェロ協奏曲第1番は、前奏から丁寧に表情付けがなされ、とても充実した演奏でした。特に、弱奏部でも音が痩せずにこのオーケストラの柔らかいサウンドを堪能できたのは舌を巻きました。また、ふくよかな低音も印象的。ソリストのタチアナ・ヴァシリエヴァも重心のしっかりとした低音が印象的な演奏でしたので、このオーケストラの求める響きなのかもしれません。特に、ゆったりとしたソロと、それをしっかりとした低音が優しく受け止める第2楽章が素敵でした。音色が渋く、ハイドンのような古典派にはもっと華やかさが欲しいかなとは思いましたが、良い演奏でした。アンコールは、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュード。沈み込むような低音が印象的なこの曲は、このソリストにとても合っていたと思います。

 

後半のマーラーの交響曲第4番は、天国的な美しさだけでなく、グロテスクなところや、現実を突きつけるような鋭いところといった、この曲が持つ多様性をきっちりと表現した演奏。オーケストラの極上の音色を楽しめた部分ももちろんありましたが、美しい音色にどっぷりと漬かることのできる演奏というよりは、必ずしも心地よくない部分もふさわしい音色と表現できちんと聴かせる、このオーケストラの柔軟さを堪能するような演奏だったと思います。各ソロも素晴らしい出来。これだけレベルが高いと、安心して演奏に身を任せ、次はどのような表現で演奏してくれるのかを楽しみながら聴いていました。少し驚いたのが、終楽章が激しい演奏だったこと。ソロのマリン・ビストレムも少々攻撃的な歌唱だったので、もしかすると、指揮者のダニエレ・ガッティの狙いだったのかもしれません。

 

前音楽監督のマリス・ヤンソンスの時はもう少し楽天的な部分もあったかなと思いましたが、このコンビはより細かい表情付けが徹底された演奏のように感じました。また、心なしか、音色もより渋みがましたように感じました。もしかすると、曲によっては窮屈に聴こえてしまうものもあるのかもしれませんが、今後どのような素晴らしい演奏を残してくれるのか、楽しみにしていきたいと思います。

 

このプログラム誌で十分素敵です。

http://classic.blogmura.com/concertreview/ranking.html?p_cid=01508538