昨日は地域決勝最終ラウンドの最後の試合を観るべく、市原臨海競技場へいってきました。

地域決勝という大会はアマチュアサッカー最高峰のJFL(日本サッカーの3部リーグという位置づけ)を目指す大会です。
予選ラウンドには全国地域リーグの覇者+全社大会で好成績を残した12チームが出場します。
決勝ラウンドには、予選ラウンドで1位となった各グループ1チーム+勝ち点が高い2位チームの計4チームだけが進出できます。
さらにこの4チーム中2つの自動昇格枠および1つの入れ替え戦枠を手に入れるべく、過酷な3日間の戦いが繰り広げられるのです。
地域決勝がいかに過酷であるか想像に難くありません。

また過酷なのは日程だけではありません。
地域決勝には引き分けという概念がないからです。
90分戦って同点の場合、PK戦での決着となります。
PKに勝った方は勝ち点2、負けた方は勝ち点1を取ることになります。
なので、このPK戦が天国になる場合もあり、地獄となる場合もあるのです。
(実際、SC相模原は1試合目のロスタイムでの同点被弾が後々命取りとなりました)


さて説明が長くなりましたが、第1試合について書くことにします。
第1試合はY.S.C.C-AC長野パルセイロの組み合わせです。

Y.S.C.Cは関東リーグを抜群の攻撃力で優勝し、地域決勝に進出しました。
前哨戦のKSL杯でも予選から無敗で優勝しています。
ただし、地域決勝の予選ラウンドではSC相模原に負けたり、九州代表のHOYOに薄氷の勝利をおさめたりと、苦しい戦いを乗り越えて最終ラウンドに進出しました。
しかし、最終ラウンドでは攻撃の手数が少ない三洋洲本に足元をすくわれてしまい、優勝候補のカマタマーレ讃岐には打ち合いで競り負けています。
ここまで勝ち点0と崖っぷちの状態です。
勝ち点3、いわば90分以内で勝利をおさめないとJFLへの道が完全に閉ざされてしまいます。
もう失点のリスク覚悟で点を取るしかありません。

AC長野パルセイロは北信越地区の覇者で、全社でもカマタマーレ讃岐といい勝負をして準優勝を手にしています。
毎年JFL昇格候補と言われつつ、地域決勝で涙を飲み続けています。
同じ信州ということもあり、今季JFLで活躍した松本山雅FC最大のライバルでもあります。
地域決勝の予選ラウンドではカマタマーレ讃岐と同じ組でしたが、90分負けがなかったこともあり、2位のワイルドカードで決勝ラウンド進出を果たしています。
決勝ラウンドでも戦いぶりは安定しており、讃岐にPK負けしたものの、Y.S.C.Cを倒して勢いに乗る三洋洲本に4-0と圧勝しています。
この試合にて90分同点の時点で2位以内、すなわちJFL昇格が決まります。

私としては攻めるY.S.C.C、どちらかと言えば守る長野の戦いになるだろうと予想していました。

nabetti2116 気の向くままに

水色のユニフォームがY.S.C.C、オレンジのユニフォームが長野となります。

前半の入りは両者ともに一進一退の攻防を見せます。

やがて試合はY.S.C.Cが積極的に攻めこむ展開に。
持ち味の細かいパスワークで中盤でボールをキープしてチャンスをつくりだし、シュートを打ち込みます。
しかし長野は必死のディフェンスで自陣ゴールを割らせません。
とにかく長野は守備に集中しており、前線に人を押し上げて攻撃の形をつくることができません。
前半は長野にとって我慢の時間帯となります。

nabetti2116 気の向くままに

nabetti2116 気の向くままに

結局前半は0-0の無得点で終了。
長野はひとまず耐え忍んだというべきでしょうか。
後半巻き返せるかどうか。
一方のY.S.C.C、前半のうちに1点目が取れませんでした。
これが後半のスタミナ切れや精神面での焦りにつながらなければいいのですが…


後半序盤は長野が積極的に攻めこむ展開となります。
Y.S.C.Cは守勢を強いられますが、GKの胸セービング(あれにはびっくりしました)など必死のディフェンスで得点を与えません。
後半も中盤に入ると、逆にY.S.C.Cペースとなります。
JFLへ望みをつなぐためには90分以内で勝利しなければならない。
そんな思いがプレーから伝わってきました。
サポーター席のバックスタンドからもスクールの子供たちの無邪気な声援が聞こえます。
長野もここは勝利でJFL昇格に華を添えるべく、得点のチャンスを伺っています。
北信州からもたらされたサポーターの熱気は最高潮に達しています。
(メインスタンドからの声援もすごかったですw)

しかし両チームの選手とも連戦の疲労からか、シンプルなプレーでのミスが目立ち、思うような攻撃を展開出来ません。
それでもY.S.C.Cは攻撃の枚数を増やして攻め立てます。
その傾向は残り時間が少なくなるとともに顕著になってきました。
長野も攻撃疲れが目立ち始めたY.S.C.CのDFの間隙を縫って相手ゴールを脅かします。

ロスタイムとなり、両チームのGKに動きがでました。
まずY.S.C.CのGKがCKのチャンスに攻撃参加したのです。
しかしこれも得点に結びつきません。
長野の方はGKを交代しました。
諏訪選手に代わり、PK職人の呼び声が高い海野選手が投入されたのです。

とにかく1点を取りたいと満身創痍で攻め立てるY.S.C.C、PK戦でも構わないというスタンスで守りに入る長野。
必死の攻防はロスタイムが終わるまでも続きました。
そしてロスタイムも過ぎてY.S.C.Cにとっては無情の、長野にとっては歓喜のホイッスルが鳴ったのです。

nabetti2116 気の向くままに

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0-0のスコアレスでPK戦に突入。
後半終了時、長野の選手やスタッフが控えめに歓喜に浸っている一方で、ほとんどのY.S.C.Cの選手たちはピッチに倒れこんでしまいました。
悔しい、終わった…いろんな思いが交錯したのでしょう。
私もこの結末に色んな感情がこみ上げてきました。
ただ一つ言えることは…「これが地域決勝なんだなぁ」と。


Y.S.C.Cにとって残酷なPK戦はどのような結末を迎えたのかというと…Y.S.C.Cが勝利して勝ち点2を手に入れました。

nabetti2116 気の向くままに

勝ち点2では来年JFLで戦えません。
しかし彼らは目標を失っても折れることなく勝ち取った「2」は、きっと来年の地域決勝につながる大きな勝ち点になるのではないかと思います。
最後まで戦い続けた「敗れし勝者」には両チームのスタンドから万来の拍手が送られていました。
地域決勝の残酷さとすばらしさを垣間見た次第です。
私は神奈川在住ということもあるので、来シーズンのY.S.C.Cの戦いぶりは時間があれば観に行ってみたいと思います。

nabetti2116 気の向くままに

一方AC長野パルセイロ、PK戦には負けはしましたが、今季一番乗りでJFL昇格を決めました。
バックスタンドのサポーターは紙テープなどを流し、選手たちと昇格の喜びを分かち合っていました。

nabetti2116 気の向くままに

もちろん薩川監督は胴上げされていました。
(写真は薩川監督でいいのかな?)

nabetti2116 気の向くままに

ビール(シャンパン?)かけもやってましたw
ついでに号外もいただきましたww

nabetti2116 気の向くままに

AC長野パルセイロ関係者の皆さん、JFL昇格おめでとうございます。
町田ゼルビアとの対決だけではなく、松本山雅との信州ダービーがいまから楽しみです。
信州観光の情報収集もさることながら、映画「クラシコ」でも観て予習しておなかければw