2020年2月、癌に抗い続けた、なるさんが
旅立ちました。52歳でした。

なるさん(主人)
 パート
たろう(息子)当時高校3年生
ことり(娘) 当時小学5年生

「健康診断、再検査」〜「突然感じた重み」なるさんと家族の闘病記です。
それ以降は、死別後の事を綴っています。
お読み頂けたら、嬉しいです。


我が家は、神葬祭。
私の実家は仏教なので、わからない事が多く、葬儀屋さんや義父に教えて貰いながら、進めていった。
そして神主さんは、葬儀社に紹介してもらった方にお願いした。


冷たい雨が降る、あいにくの天気となってしまったが、通夜が始まる前、早くから双方の親戚が集まって下さった。

なるさんは、いつも、私の実家へも快く、一緒に行ってくれ、毎年のように、お正月の母方の実家への集まりにも参加してくれた。
誰とでも、すぐに打ち解け、話ができるので、私の親戚とも親しかった。


2018年のクリスマスに、癌の再発が判明してから、皆さんとお会い出来なかったので、すっかり痩せ細った、なるさんの姿に、みなさん驚き、涙を流していた。

子供たちは、たくさんの方から、同情され、励まされていた。
特に当時、高校3年生だった息子は、
「これからは、たろうが支えていかないとな。がんばれよ」
と口々に言われていた。

がんばれ
がんばれ

父という大きな存在を失ったばかりのたろうの心に、呪文の様に染み込んでいく
がんばれ
という言葉。

「はい。ありがとうございます」
と答える、たろうのなんとも言えない笑顔に、胸が締め付けられる思いがした。


そして、私も…
たくさんの人に言われた言葉…
「◯◯ちゃんは、強いね。子供たちの為にも、お母さんが頑張らないと」

強いね

それは、なるさんが闘病中の時も、よく言われた言葉だ。
私は、そう言われる度に、心のメッキがポロポロと剥がれていくような感じがした。

強くなんてないのに
強くあらねばと必死だっただけ

本当の気持ちなんて、誰にも分かるまいもやもや

皆さん、優しさから言って下さっているのに、そう、心の中で思う自分に嫌悪感を抱きながら、たろうと同じように
「ありがとうございます。がんばります」
と答えるのだった。