ことわざ漫談小話
ことわざ小話 151~200
190「棚から牡丹餅」
この「棚から牡丹餅(ぼたもち)」とは、思いがけず得をすることを言います。正月早々から良いお話しですね。一度でいいから棚から牡丹餅をこの手で受け取ってみたいものですね。え!毎日棚から牡丹餅が落ちている。それをうまくとらない鈍感無頓着なお前がダメだって?ええぇ、そんな。それでは毎度のばかばかしいおはなしを書きます。
「これ、良夫」
「え!おかあちゃん今呼んだ?」
「どうしたの、そんなに嬉しそうな顔して?」
「おかあちゃん、今日いいことあったよ」
「いいことって、どんなこと?」
「昨夜(ゆうべ)棚から牡丹餅の夢をみたら、算数と国語、百点とったよ、ほらぁ」
「え!本当。それはいいことだねぇ。それじゃその算数と国語の百点、おかあさんにも見せて」
「あいよ、ほれ、これだよ」
「あれぇ!まぁ本当だ。良夫だって、ねぇ、やればちゃんとできるじゃないか」
「どうだ、かあちゃん。俺って、すごいだろう」
「ええぇえ・・でも・・これ、ええ、良夫」
「何よ、おかあちゃん?」
「ちょっとこれおかしくないかい?」
「何がおかしい、おかあさん?」
「お前の、名前がちがっているじゃないか?」
「違っていても、がっかりするから余り深く考えない方がいいかも知れないよ」
「考えるなと言っても、これ、良夫」
「だってねぇ、テストの時、何も分からないから時間がくるまでテストの紙をじっーとみていただけなのに・・それで百点なんて、やっぱりおかしいね」
「ああ・・うん、お前もそう思うか?だけど、おかしくても、これは本物の百点だよ」
「やっぱりそう思って、良いのかなぁ?」
「そうねぇ、良夫の名前がちがっているだけだから、いいことにしよう」
「やっぱり、おかあちゃんは俺等の見方だ」
「人さまがとった百点を平気で家に持ってくるなんて、うちの子、将来転んでもただじゃ起きない子になるかねぇ?」
「先生が間違えたのだ。だから、これって棚から牡丹餅なんだよ?」
「良夫、これはね、棚から牡丹餅どころか、お前は虎の威を借る狐になったのだ」
「え!おいらが狐?」
「そうじゃないか、人さまの力を借りただけじゃないか」
「それじゃ、今度は狸になってみるね」
「これ良夫、狸よりお前は心の優しい羊(ひつじ)でいいのよ」
「羊じゃ、可愛い洋子ちゃんにもてないなぁ」
「え!お前は狸になって、今度はあの可愛い洋子ちゃんを騙すもりじゃないでしょうね?」
お後もよろしいようで「棚から牡丹餅」でした。
ナマズのウンコを牡丹餅と間違える げんごろう