ことわざ漫談小話
ことわざ小話101~150
126「豚に真珠」
これはもうお分かりですね。「豚に真珠」とは、猫に小判と同じように、いくら貴重なものでも、そのものの価値がわからないことです。それではばかばかしいお話で「猫が小判をくわえて来た」の巻きです。
「御茶屋の次男坊がなぁ、ほら、いつだったか俺達にくれた絵があるじゃないか、それを、大層気にしているのだ」
「え?絵を、気にしている」
「店に飾ってある絵を、お客さんが見て何と言っているか気にしているのだ」
「あんな絵を見たって、何もいわないよ?」
「今日また果物を届けりゃ、わざわざ勝手口からキリンのように顔を出して俺に聞くのだ」
「へぇ!」
「それで、一度その絵を見たいというから、何時でもどうぞと言ったら、一時間も経たないうちに次男坊が息を切らせながら来たよ。それで、居間に入るなりその絵を見た瞬間、怪訝そうな顔付きになって、怒ったように、俺に踏み台を貸せというのだ」
「へぇ?踏み台を・・ねぇ??」
「そしたら、ええ、飾ってある絵が、何と反対だったのだ」
「ええ?飾ってある絵が、反対?」
「ああ、天地が逆と言って、自分で直して帰っていったよ」
「そりゃ、まずかったなぁ」
「だからなぁ、熊はどうかと、見にきたのだ」
「おらぁ、知らぬぞう。この前、八ちゃんが掛けていった、そのままだ」
「それじゃ、ええ、その絵も反対か?」
「八ちゃんが見てくれ。俺じゃ話にならぬ」
「あ、そうか、弱ったなぁ」
「それじゃ、猫が小判くわえてきたのと、俺達は、同じか?」
「だから言ったじゃないか、猫には魚だよと」
お後もよろしいようで「豚に真珠」でした。
そんな難しい絵じゃこまりましたねぇ。その絵も分からず、逆さまじゃ、これ、豚に真珠ですなぁ。
沼が濁ると、これが絵かと思う 源五郎