ことわざ漫談小話
ことわざ小話101~150
117「長い物には巻かれろ」
このことわざ、もう、お分かりですね。そうです、権力や勢力のある人には反抗するより、言いなりになって従った方が良いということです。それではばかばかしい「長いものには巻かれろ」であります。
「これ山田。反抗するよりは鬼の課長に従った方が身のためだ」
「え?係長も、案外弱腰なんだなぁ」
「バカ、弱腰で済むのであれば天下泰平だ。暴れ太鼓の、あの鬼の課長に反抗してなんになる?」
「だって、あの課長は、桃太朗は鬼より弱いというのですよ。そうじゃなくて、桃太朗は鬼をやっつけるのが当たり前でしょ。係長、桃太朗と鬼の関係はそうでなかったですか?」
「あのなぁ山田。ジョウシキ的にはそうであるかも分からぬが、今は非ジョウシキでないと、わが社の品物をわらって買うお客があつまらないのだ」
「え?非ジョウシキでないと、お客が集まらない??」
「そうとも、鬼が逆に桃太朗をやっつけないと、面白くない世の中になってしまったのだ。これを理解するのは、少し難儀だぞ」と言って、珍しく係長は、無知な山田に語りかけた。
その話しの内容とはこうであった。即ち、私たちの、誰も彼もが正義をただ掴んだ桃太朗気分で面白くないというのだ。ところが鬼の世界というのはまだまだ未知で分からないことがたくさんある。即ち、鬼の世界に入り込んで、一方の人間界を見ると、まぁ、何とも弱々しく面白くないことが分かったのだ。その鬼が、人間どもを鍛えようとして鬼の教育が、いわゆる、渡る世間は鬼だらけの、その悪さがそれなのだ。と、係長はわけのわからぬことを言った。
「え?それはウソだ。だって、渡る世間に鬼はなし、と、言うじゃないか?」
「バカ、すぐそこに、普段から意地悪な鬼の課長が、現実となって、いるではないか」
「え!いじわるな・・オニ」
「だからなぁ、少しは辛くても長いものには巻かれたほうが無難なのだ」
お後もよろしいようで「長い物には巻かれろ」でした。
ええ?このようなことって、ありますか。一体、この会社はどのような商品を商いとしているのですかねぇ。え?これが鬼の教育ですって・・へぇ。
オニがわからない、源五郎