ことわざ漫談小話 | 源のブログ

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源のブログへようこそ。笑い話を書くことが好きです。ただ今「ことわざ漫談小話」等の笑い話しを創作発表しています。それに季節ごとの俳句や川柳も投稿しています。最近は「戯れ言」も書いています。作品名は画面右下側フリースペースをご覧ください。

ことわざ漫談小話

ことわざ小話51~100

98「月夜に提灯」

 

 この「月夜に提灯(ちょうちん)」とは、月が出ていて明るいのに、提灯を持つなど無益なこと、必要でないことを言っています。それでは毎度のばかばかしいお話しです。

 

「これ、山田。今日の宴会の会費は要らぬ。だから、なくすといけないから、そのサイフは俺によこせ」

「ええ?係長。それ、本当ですか?」

「本当もウソもあるか。今夜の宴の費用は、会長と社長が持つことになっているから、余計なことはするなよ。山田、わかったか?」

「余計なことって、どんなことですか?」

「酒に酔って、出過ぎた真似はするなと言っているのだ」

「え?出過ぎた・・真似?」

「まだ分からぬか?さしでがましいことを言ったりしたりしないことだ」

「それじゃ、でしゃばるな、ということじゃありませんか?」

「ああ、そぅいうことだ。だから、慎み深く酒は頂戴しろ」

「え、何だ?誰かの結婚式みたいだなぁ?」

「バカ、お前はもう忘れているのか。会長と社長の、ゴルフコンペの祝賀会だ」

「ええ?祝賀会って、秋の軽井沢でのゴルフで会長が優勝した?」

「だから、ゴルフの、どうにもならない下手が分かっていても決して、でしゃばるなよ」

「でもねぇ係長。酒に酔って本音がぽつり、ぽちりと、たき火のように音を出して燃え出したら何としますか?」

「その時は、その火をすばやく消せ」

「え、でも、どうやってその火を消すのですか?」

「バカだなぁ、会長や社長のゴルフのうまさを褒めるのだ」

「ええ?うまさをホメル・・どうやって、褒めるのですか?」

「もぅ、全く世話がやけるアホたんちんだなぁ。ゴルフの飛ばす距離や絶妙なパット、それに最後の追い込みがどうのこうのと、へたくそを上手に変えて褒めまくるのだ」

「ええ?それは、みんな難しい褒め言葉だなぁ」

「難しいことはない。ゴルフのうまいお前が、褒めれば、二次会や三次会と会長が誘ってくれるとも限らんぞ」

「でも、会長も社長も、天下に名だたるケチで通っている兵(つわもの)ですよ」

「それはお前の褒め方が下手なのだ。ほめ方が上手であれば、この僕にだって、お前も一緒に付いて来いなどといわれるかもしれないのだ。おい山田、上手にやれよ、分かったなぁ」

「甘いなぁ係長。二人ともドケチだから、提灯持を持たされるよ」
「その時は、今日は満月だから提灯はいらぬというのだ」
「満月は雲の上と言われたらどうするの?」
「そうなったら、お前は寛一お宮を演じれ」
「え、それでは失敗でしょうが、係長」

お後もよろしいようで、「月夜に提灯」でした。

 

良いじゃないですか。褒めるってとてもたいせつなのです。さぁ、人をほめて自分も愉快になりましょう。え?人の褌で相撲とるなですって・・こりゃ、どうも。

え!それなら僕も連れてってと、源五郎