笑いのつぶやき
笑いの散歩51~100
93「親子丼」
親である鶏肉と、子である卵がはいっている意から、鶏肉を煮て鶏卵でとじ、それをどんぶりの飯にかけた食べ物を親子丼といいます。それでは毎度のばかばかしいお話です。
「これはなぁ、世を渡る世渡(よわたり)の丼飯(どんぶりめし)というものだ」
「え?それが世渡丼、でっか?」
「ああ、お前、これ食ってみるか?」
「これはどうみても親子丼じゃないなぁ」
「だから、さっきから世渡の丼と言っているじゃないか」
「赤いと言っても赤飯とは違うし・・何だ、ええ、この飯は?」
「大根だけじゃまずいから、ニンジンも少し入っているのだ」
「それじゃ世を渡る、だから人情丼でもいうのか?」
「そうじゃねぇ、渡る世間に鬼はなしの世渡の、鬼の丼とはこれをいうのだ」
「え?鬼の丼」
「ああ、金平ゴボウに大根、筍(たけのこ)、コンニャク、シイタケ、豚肉と、これが鬼の丼というものだ」
「これじゃ面白くも何ともないじゃないか?何が鬼の丼だ」
「何が面白くないだ。良いか、金平ゴボウに大根を食えば臭い屁が出る。この屁は、鬼は大嫌いだ。また、筍は角に見えてこれも鬼はダメ。それにコンニャクと豚肉はうまい話に巻き込まれそうでこれも鬼は嫌う。残るはシイタケで、シイタケは鬼の耳クソに見えてこれも鬼が嫌うからこれもダメ?だからこの世渡丼を時々食えば、渡る世間に鬼はいなくなるのだ」
「え?鬼って、そんなに好き嫌いがあるの?」
「ああ、人を食う鬼は好き嫌いが激しいのだ。だから、この丼を時々食っているときは、心に鬼が入るスキがないのだ」
ええ、鬼は人を食う。この丼を食っていれば鬼に食われない。それじゃ例えば金平ゴボウは食ったが、大根食い忘れたらどうなるの?そりゃお前のダラシのないケツの方から鬼に食われる。ええ?そんな・・大事なケツからなんて・・。
鬼を見たことがない 源五郎