アユリちゃんへの最初の気持ち、憧れと妬みでした。
何でもできるアユリちゃん。
みんなに好かれるアユリちゃん。
いっつも自信たっぷりなアユリちゃん。
すごいなーって温かい気持ちと、なんであの子ばっかりって冷たい気持ちと。
そうやって
いつの間にアユリちゃんのことばかり考えるようになっていました。
昨日のアユリちゃん、今日のアユリちゃん、明日のアユリちゃん。
気付かれないように、目はいつもアユリちゃんを追っていました。
それが、恋心だったのか、親愛の気持ちだったのか、その時はわかりませんでした
ある日、お爺さんに出会いました。
お爺さんは私のxxxにxxxを入れながら、それは痛くなかったけど気持ち悪くて。
口から色んなものを吐き出しながら目玉がぐるぐる回って、全部が収まったときに、
お爺さんはいなくなってて。
ただの悪い夢だった、幻覚だったと思い込もうにも、お爺さんの言っていたことが、
頭から離れませんでした - 声は思い出せません -。
『愛しいものを食べなさい。食べたものを慈しみなさい』
だから私はアユリちゃんを食べてしまいました。
とてもとても美味しくて、こんなところまでアユリちゃんは完璧なんだって嬉しくなりました。
食道も胃も脳も子宮も燃えるように熱くなって、それがとても気持ちが良くて。
私は夢中で食べました、食べました。
”燃える恋”とか、”嫉妬に燃える”とか言うのだから、この熱さはきっと恋なのだ。と。
食べ終わってから気付いてしまったんです。
残酷です。
食べ終わってしまってから、熱さはすぐに収まりました。
だって、もう食べるものがなかったから。
嗚呼、熱さが恋しい。
また、あの燃えるような快感を!
『愛しいものを、食べなさい。』
そうだ、また、愛しい人を、作ればいいんだ。
愛しくなったら、食べればいいんだ。
食べるために、恋をしよう。
それから、私は、たくさん食べました。
男も女も子供も大人も関係なく、好きになった人はみんなみんな食べました。
でも、やっぱり、アユリちゃんが一番美味しかった。
アユリちゃんが、好きだった。
探索者たちに、掃除用具や文房具や、何でもかんでもに貫かれて、
ようやくヨツハは動かなくなった。
次第に、探索者たちの視界は歪み、気が付けば、
蜘蛛の巣が張巡らされた、もはや廃墟という他ない校舎の中で立ち尽くしていた。
ヨツハだったものが最後に居た場所には、枯れた四葉のクローバーが積み重なっていた。
それはどこからか吹き込む風で飛び散り、カサカサと擦れ合う音が、
まるで虫の足音のように、探索者たちの耳に残った。