ふぐた家の嫁
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

折りたたみベッド

フグオと私の家から新居へ荷物を運ぶ日程を同じ日にできればよかったのだが、引っ越し屋さんの都合があわず、まずは私の家の荷物をフグオの家に運び、次の日にフグオの家から新居へ全ての荷物を運ぶこととなった。

私の家からの荷物の運び出しの日は金曜日だった。

日程を決める頃にはすでに寝たきりだった私は立ち会えない。

フグオは仕事。

仕方がないので、仕事を辞めて時間のある義父にお願いすることになった。

しかし、当日になると、私は入院している状態。

お見舞いも兼ねて、両家の両親が集合することになった。

私の両親は仕事があるため土曜日から。

義両親は木曜日から。

ところで、私の家には私が愛用していた折りたたみベッドがあった。

すでにフグオと暮らし、畳に布団を敷いて寝る生活だったので、実際には必要のないものだ。

でも、出産後に子供の夜泣きがひどかった場合、フグオが他の部屋で快適に眠れるように、新居に持っていく予定だった。

それはフグオにも言っていた。

金曜日。

私の荷物をフグオの家に運び出す日。

病院にフグオから連絡があった。

私の荷物が多いので、折りたたみベッドは業者に処分してもらおう

そう義父が言っているそうだ。

・・で?

なぜ、私の物を義父に指示されなくてはいけないの?

フグオにも折りたたみベッドについては話していたのに。

どうでもよくなった。

好きにしたら?

私はそう言った。

フグオは「では処分してもらおう」と言った。

私の話なんか頭にも残らないらしい。

父親の言いなり。

くだらない。。。

引っ越し

結婚式後、子供ができたことだし、引っ越すことになった。

元々、私とフグオはそれぞれが一人暮らしをしており、結婚が決まってからはフグオの家で生活していた。

半年以上住んでいなかった私の家。

荷物の整理が必要だった。

しかし、私はつわり真っ最中。

実家の両親が忙しい中来てくれた。

分別さえマトモにできずフラフラする私に母はこう言った。
「ひとまず全部詰めて、掃除だけしておきましょ。つわりがおさまったら、新居であなた本人が整理したらいいじゃない。」

ありがたかった。

分別もできない状態だが、誰かに荷物を見られて詮索されるのは嫌だった。

父と母はせっせとダンボールに荷物を詰め、引っ越し当日は運び出すだけの状態にしてくれた。

その頃、私の主人のフグオはゴルフに行っていた。

初めて真剣に考えた離婚

つわりがなかなかおさまらない。

毎日吐いてばかりで頭が朦朧とする。

布団に寝転がってはいても眠れない毎日。

体中が痛い。

体をさすって欲しい。

励まして欲しい。

優しくして欲しい。

「もうダメ。しんどくてたまらない。」

ある日限界になり、そう言った私に、フグオはとても優しそうな顔で、優しくこう言った。

「しんどくなったら病院に行きなよ。」

いかにも自分が優しく、妻思いな男であるかと言いたげな顔。

彼の中では最高の優しさなのだろう。

でも私はこう思った。

ああ・・、この人には何を言っても伝わらない。

吐き気が続きつらい旨は病院にすでに伝えていた。

吐き気止めの薬ももらっていた。

薬を飲んだがおさまらなかった。

お腹に赤ちゃんがいるので、強い薬は飲めない。

吐いてばかりで体中が干からびていた。

水分が欲しい。

栄養がとれなくて頭が朦朧としていた。

何か口に入れたい。

でも何なら食べられるのかもうわからない。

吐いてばかりで胃が痛い。

喉も痛い。

背中が痛い。

肩が痛い。

つらい。

つらい。

そんな私にフグオがかけてくれた言葉がそれだった。

フグオは私を心配して、自らが病院へ連れて行こうとすることはなかった。

コレなら食べられるのでは?と私のために何かを用意しようとすることもなかった。


私は病院へ行った。

歩いて五分の距離だが、歩くこともつらかったので車で行った。


ところで、義母は私が妊娠してから、フグオに私に運転をさせないように言っていた。

危険だからだと。

危険。そう。確かに妊婦で事故にあったら危険だ。

何もないとは限らない。

でも、駅が近いわけでもない。

店が近いわけでもない。

自転車も危険だから乗るな。

まして、頭が朦朧として歩くのもつらい私が、どうやって食料や飲み物を調達したり病院にいけというのだろう?

実際、その頃、車に乗らないで暮らす私は生活の全てで不自由をしていた。

義母の息子・フグオは私から動く手段を取り上げることは、つまり自分が協力して助けなければ成り立たないということを理解していなかった。

病院で椅子につっぷす私は、早めに診察を受けることができた。

即、入院決定。

つわりによる貧血と栄養失調に加え、出血のため切迫流産の恐れがあった。

帰らずにそのまま病室に入るように指示を受けました。

フラフラになりながら電話でフグオに報告。

他人ごとだと軽く見ているフグオに、私が今どんなにつらいかわかって欲しかった。

でもフグオが最初に言った言葉は

「あんなに乗るなと言ったのに車に乗ったやろ」


私にどうしろと言いたかったのだろう。

正直、もう歩くことも難しかった。

ただ、人に迷惑をかける事故をおこさなくてよかった。

歩いて五分でもタクシーを呼ぶべきだった。

そうベッドで思いました。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>