テーマ「永井路子」今回は、亡くなられた杉本苑子さんとの共著の残り一冊『「時代」を旅する』です。

 

* 第6回 「時代」を旅する * (杉本苑子との対談、ゲストもあり)

 

杉本さんの訃報を知る数日前、注文していたこの本が届いていました。これから読もうとしていた矢先だったこともあり、あの夜はショックでした……

 

 

先にご紹介した二人の共著『ごめんあそばせ 独断日本史』とちがい、ゲストありの回が半分以上を占めます。

なかでも津村節子さんゲスト回「敗戦とそれぞれの青春」は、通常の歴史談義とはちがい、戦争体験談で強烈でした。永井さんと杉本さんは大正14年生まれで同い年(永井さんが学年は1つ上)、津村さんは3歳下。あのへんの世代は1歳の差で輪切りのように体験が異なるっていうけど、まさしく本当でした。

そして永井さんの置かれた環境の知的水準の高さと、杉本さんのお嬢様ぶりに驚きました。(杉本さんは東久邇宮家の女中だった!)

 

当然ながらいつものごとく歴史における女性を中心とした語りで、タイムリーに「女帝の復活」なんかも話題に上っています(これは地雷を踏みそうな論調だったので、気になる人は自己責任で確かめて)。

 

あと、明治(を変に持ち上げる一部の風潮)が嫌いな私ですが、お二人も「明治は女にとっては異様な時代」(永井)「いやな時代」「もっと明治という時代が犯した禍根に、目を向けるべき」(杉本)と仰る。だけど「嫁入り婚を最上のスタイルとして押しつけてる時代」(杉本)は「家康が元凶」(永井)……なるほど。

 

家康といえば、永井さんが秀吉を嫌いなのは心底分かってたけど(笑)、杉本さんもどうやら……未読なのですが、『影の系譜』が怖いもの見たさで面白そう。

 

 

それにしても、ポンポンと言いたい放題のお姉さまたち、話が明快で厭味がないのがいいよな。上野千鶴子・小倉千加子・富岡多恵子の鼎談『男流文学論』を偶然続けて読んだだけに(汗)

 

 

 

妹ブログでは永井路子本棚(古代史)をUPしています。今回は永井さん唯一の現代長編、このたび初読の現代長編小説『茜さす』。タイトルから連想されるように、古代史がからむ面白い構造の小説です。

 

永井路子本棚6

▲今まで姉妹ブログで特集した永井路子本

 

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永井路子『茜さす』

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追悼・杉本苑子さん★(紹介済み)