テーマ「永井路子」さん第三弾!!


妹ブログでは永井路子本棚(古代史)をUPしています。

その新しい紹介記事のおしらせとともに、こちらでは古代史以外の作品を簡単にご紹介しています。

 

 

* 第3回 葛 の 葉 抄 *

 

1995年、PHP研究所より刊行。


奈良・平安、鎌倉時代、室町~戦国時代、あたりの印象が強い永井路子作品ですが、こちらは江戸時代が舞台。サブタイトルは「あや子、江戸を生きる」。


「あや子」とか「葛の葉」といってもピンと来ないと思いますが、主役は別名「只野真葛」、江戸時代にエッセイを残した女性です。称して“江戸の清少納言”キラキラ


実はこの才女、老中田沼意次に『赤蝦夷風説考』を申した工藤平助の娘(このお父さんは歴史の教科書に出てきます)。7人きょうだいのいちばん上の長女でした。ちなみに「葛」は秋の七草で、7人のきょうだいは七草にちなんだ愛称をつけられていたとか、面白いですねニコニコ

 

平助は仙台藩医ですが出家ではなく還俗して武士姿となっており、医学だけにとどまらない広い活動を行っていました。交際も広く、松前や長崎から人や情報が集まり、それらを結びつけるフィクサーの役割をしていたといわれています。それには医者の身分が役立ったでしょう。江戸藩邸外に居を構え家塾も開いていましたし、それらはすべて藩の公認の許にありました。

 

粋な趣味人でもあったようで、遊び方面での交際も広く、またあや子の回想録によれば、たいへんな色男でもあったそう!(あや子は明らかなファザコン)

 

あや子が残した文章には、父を中心とするそうした実家の興味深い様子も活写されているそうです。

 

小説では、実家でのエピソードや、藩の奥女中経験、辞しての二度の結婚など、永井さんらしい女性の立場や地位の分析も交えつつ、あや子の生涯を追って物語は進みます。やがて彼女はあるきっかけにより文章を書きだします……

 

田沼の失脚により苦境に立たされたまま歿した父、早世してしまった弟たち。彼女の思いは遂げられない“工藤家の再興”のみに収斂されていきます(工藤家は母の実家により継がれたので断絶したわけではないのだが)。

小説の終わり方は呆気ない印象ですが、生前に名をあげた女性ではないので、仕方ないのかもしれません。あや子の生涯をほぼ正確に辿るなかで、江戸時代の女性について考えています

 

 

[参考文献]鈴木よね子校訂『叢書江戸文庫30 只野真葛集』国書刊行会、1994年

 

 

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永井路子特集<古代史編>

*永井路子の平安文学のサブテキスト的エッセイ*

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