意表を突いた回転技で反撃する | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の稽古ですが、3部に分けて行ないました。

 

 第1部がペアを組み、テーマに沿って攻防を稽古する、第2部が組手、第3部が「形(かた)」という具合です。今日は第1部の話になりますが、その中でも大別すると2パターンあり、そのうちの一つについてお話ししていきます。

 

 その具体的な内容がタイトルに示してありますが、ここでは相手からの攻撃に対して、回転技で反撃する、というものです。動作が大きい分、ちょっとした拍子の違いで相手から動きを読まれ、反撃を外されたり、逆に裏を取られたりしやすいので多用はできません

 

 しかし、タイトルにもある通り、意表を突く意識で行なう場合は効果的で、今回はそのイメージで稽古してもらいました。

 

 このところ、ペアを組んでの稽古が続いているので道場生も理解していますが、反撃技のみを意識するのではなく、その前の「受け」の部分が重要ですし、この日の技の場合、相手がどう攻撃してきた場合に対応するものなのか、という設定が必要です。

 

 今回のような場合、「誘い」の部分が不可欠であることはよくお話ししていることですが、それが自由組手を約束組手化するための工夫の一つになります。そのためには「構え」を大切にしなければなりませんが、未だにこの点の意識が不十分の人がいます。

 

 もちろん、アドバイスの対象になりますが、約束した範囲での稽古でできなければ、とても実戦の場で応用することは無理です。これから都大会、東日本大会、世界大会と続いていくので、試合をきっかけにこの意識を定着できるよう、しばらく何度も同じことを言い続けていくことにしたいと思っています。


刻み突き  さて、相手からの仕掛け技ですが、「上段突き(じょうだんづき)」にしました。

 

 左のイラストは「刻み突き(きざみづき)」を行なっている様子ですが、上段であれば「逆突き(ぎゃくづき)」でも「追い突き(おいづき)」でも構いません。要は上段に対して「突き」で仕掛けてきた場合、という設定なのです。

 

 仕掛け技についても限定していたほうが反撃する側のパターン化しやすい部分があるでしょうが、設定条件を緩くすることで少し実戦に近くし、そういう中での反応も稽古したかったからです。

 

 ペアを組んで行なう際、最近はこのようなケースが多くなっていますが、意図を理解して稽古してもらうことを期待しています。

 

 その際の「受け」ですが、これも最近お話ししているように、「崩し」の要素を意識してもらうようにしています。その「崩し」の部分如何で武技全体の様相が異なってきますが、ここしばらく同様の意識で稽古してもらっている関係からか、この日の稽古ではあまり強調しなくてもその動きが自然に出ている人がいました。

 

 さすがに全員というわけではありませんでしたが、少しずつ浸透していることに進歩を感じます。その動きが実戦の場でもスムーズに出てくるまでには時間がかかるでしょうが、1歩ずつでも進歩のあとが見えるようになれば良いので、ここは焦らずやっていきたいと思っています。


螺旋打ち  受けた後の反撃技のイメージです。

 

 運足や手のフォームが実際の稽古内容とは異なりますが、回転しての打ち技で反撃、という様子を示していますのでアップしました。

 

 実際に行なった内容としては、相手からの「上段突き」に対して、前手の「掌底(しょうてい)」による「落とし受け(おとしうけ)」を行ない、姿勢の「崩し」を図ります。

 

 「受け」と同時に相手の右方に奥足を動かします。この時、イラストのように相手側に動かすのではなく、当てる時の間合いを前提に、腰に負担がかからないようなところに足を置くようにします。

 

 これは相手の踏み込みと合わせ、瞬間的に判断しなければならない「見えない技」に相当する部分なので、こういうところを稽古で培うと理解してもらいました。

 

 手のフォームですが、イラストのように「手刀(しゅとう)」を用いても構いませんし、他には「拳槌(けんつい)」、「裏拳(うらけん)」も可としました。こういうところは各人がもっとも使いやすい技で、ということにし、ここも少し幅を持たせることで実戦の意識に近づけました。

 

 その部分で言うならば、足の置き所の関係でイメージよりも間合いが近くなった時、ということも考えておかなければなりません。事前の話として前述の拳形を用いた反撃よりも短い間合いになったら「腕刀(わんとう)」や「猿臂(えんぴ)」の場合もあり得る、ということを話しておきました。

 

 きちんと運足を意識できた場合は、最初に挙げた3つの拳形で間に合うと思われますが、実践の場での技の広がりとして理解してもらいました。

 

 「突き」で攻撃してくる場合、一般的には上肢の長さから、下肢を用いる「蹴り」と異なり、仕掛ける間合いは短くなります。でも、効果的な運足により、「蹴り」の間合いと思われるところからでも「突き」で仕掛けてくる場合があります。そういう時は、「蹴り」で反撃することも可能ですので、そのパターンも稽古しました。


回転足刀蹴り2  そして、その時に使用したのが左に示した「回転足刀蹴り(かいてんそくとうげり)」でした。

 

 イラストでは上段を蹴っていますが、稽古ではいろいろなレベルの人がいますので安全策として中段を狙ってもらいました

 

 「蹴り」で反撃するパターンとして以前、「待ち蹴り(まちげり)」として前足による「前蹴り(まえげり)」、「足刀横蹴り(そくとうよこげり)」の場合を稽古しましたが、余計な動作がない分、素早く対応できる技になります。

 

 でも、今回は回転という動作が入る分、前述のパターンよりは時間がかかります。武術の世界ではほんのちょっとした時間差で明暗が分かれることになりますので、意表を突くというメリットはありながらも、時間で足を引っ張られないようにしなければなりません。

 

 そのためには、相手の動きと回転を同調させることが大切ですが、これも「見えない技」の範疇です。稽古によって練り上げていくしかありません。

 

 ただ、ちょっと意識してもらえれば武技としての質をアップできるところもあります。逆に、その意識がなければ相手の勢いに負け、蹴ったほうの姿勢が崩れてしまい、技の威力が減じてしまう場合もあります。結果、「蹴り」を使わないほうが良かった、と思わないとも限りません。

 

 その為のポイントの一つが軸足で、最低床と垂直、できれば少し相手側に倒れているくらいのほうが支えとしては適切です。でも、よく見かけるパターンはその逆になっており、だから当たった時にバランスを崩す結果になるのです。

 

 そうならないためには腰の位置をきちんとコントロールし、少し相手側に飛ばすようなイメージで行なうくらいがちょうど良くなります。その際、膝を曲げすぎる人もいますが、伸びすぎても曲がりすぎても駄目です。支持脚としての適切な角度を身体で覚え、その状態をキープすることが大切です。

 

 バランスの維持が難しくなる原因の一つに、上体の前傾があります。上手く活用すれば、上段を狙ってくる相手の攻撃に対しての捌きになることですが、過度に上体を倒せばそれもバランスを崩す原因の一つになります。

 

 そういったフォームの意識もまた、「見えない技」の一つになりますので、稽古を通じ、適正な状態を身体に染み込ませていただきたいと願っています。

 

 稽古はこの後も続きましたが、長くなりますのでこの後の話は後日にさせていただきます。




 

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