打ち、関節技で反撃する

　先日、「二十四歩（にーせーし）」の分解・解説の稽古をした、という話を書きました。

　その際、全部で６種類稽古しましたが、前回のブログでは２種類しかご紹介していませんでした。今日はその続きということで話を綴っていきたいと思います。

　分解・解説の場合、まず相手からの攻撃があることが前提になります。

　基本では右側で「中段追い突き（ちゅうだんおいづき）」を行なうことになりますが、受ける側は「形（かた）」の冒頭に出てくる「扇受け（おおぎうけ）」で対応します。

　先日お話しした際にも「扇受け」で受けた後に反撃を展開したわけですが、この「受け」は左右同じフォームで用います。

　そのため、左右いずれでも同じような感じで受けることが可能ですが、相手からの攻撃をどちら側で受けるのかによって、そこから先の展開が変わります。

　そこで改めてイラストをご覧いただきたいのですが、一見、前回アップしたものと同じに見えます。

　でも、よく違いを見ていただくとお分かりの様に、受けている側が異なります。攻撃側の設定は同じなのですが、受けている側が左側になっているのです。前回は右側でしたので相手の上肢の尺骨側が接触点でしたが、今回の場合は橈骨側になっているのです。

　この場合、相手の正面を押し開くといった感じの「受け」になりますが、反撃時にもそのような意識で行なうのが今日の最初にお話しする技になります。

　そして、この「受け」からの反撃例の一つが左のイラストに示してあります。

　受けた後、ご覧のように１歩踏み出し、同時に左右の「拳槌（けんつい）」で「挟み打ち（はさみうち）」を行なうわけです。

　接近戦であり、かつ相手からの２度目の攻撃を受ける前に反撃する内容になりますので、大きく振りかぶって、ということはできないし、そういう動作自体、隙を作りやすくなるために武術では好みません。

　いかに素早く、併せて効果的な技をということで行なわれているという視点で見た場合、「挟み打ち」で、しかも的確に首の急所を狙っている、というところに武技の理を感じさせます。

　というのは、この技の場合、近間という条件から攻撃時に生じやすい伝えるべきパワーの減少を、左右同時に、しかも対称的な位置関係で攻撃することでパワーを十分に活かす、という内容になります。

　そして、狙っている部位が首に存在する急所、「村雨（むらさめ）」と「松風（まつかぜ）」であり、この組合せも効果的なものになっています。

　実はこの両者、左右の違いはあっても位置的には同じです。

　でも、急所論的には作用が異なり、「村雨」のほうは循環器系に、「松風」の場合は呼吸器系に作用すると言われています。人の身体の関係性で言えば、両者には密接な関係があり、それを意識して同時攻撃するという内容は、まさしく武術です。稽古の際には、そういうところまでイメージして行なうと、質的に更に磨かれていくことになりますが、武術家にも人の身体の仕組みを知ることが必要と言われる理由の一つになります。

　タイトルにはもう一つ、関節技で反撃する、ということが挙げてあります。