脱原発を巡る攻防戦が新しい段階に入ってきた。これまで、原発について沈黙を決め込んでいた自民党が、総裁選を通して「原発維持」であることが鮮明になった。その背景には経済界、特に電力業界を中心とする原子力ムラの巨大な既得権擁護勢力がある。


  私は、長年原子力政策を進めてきた自民党が、福島原発事故の反省に立って、脱原発に舵を切るのか、それとも事故の現実を無視して原発維持に固執するのか、注目していた。結局、原発事故に対する深刻な反省もないまま、重大事故はもう起きないと新たな「安全神話」を根拠もなく信じて、原発を稼働させないと日本がダメになるといった主張を繰り返している。


  徹底的に議論したい。まず第一に、重大原発事故が起きた時のリスクの大きさをどう判断するのか。東京までが壊滅するリスクを負いきれるのか。第二に、原発の稼働によって生まれる核廃棄物にどう対応するのか。後世に大きな負担を残すのか。第三に、再生可能エネルギーをの可能性をどう見通すのか。そして当面の化石燃料代がかさむ問題、電力会社の経営問題などすべてを議論のテーブルに乗せて、国民的な徹底した議論をすべき。


  民主党が政権を担当した時に、福島原発事故は起きた。原発政策は理想論でも抽象論でもない。民主党は、現実論として脱原発が必要と言っているのだ。