我が家の向かいに住んでいるWさん(奥様)は、舅と姑と同世代でWさんのご主人も舅と同じ銀行に勤めていました。Wさんには2人の息子さんがいて、次男の方が主人と同じ学年です。

 

舅が2014年に認知症と診断されて、2018年1月に施設に入居するまでは在宅していました。舅にてがかかるようになって、私が仕事中で不在の時の心配事が増えてきて、Wさんに舅の状況をお伝えして見守っていただけるようにお願いをしました。

 

Wさんは民生委員や町内の副会長を歴任されていた方で、とても優しくて温かい方なんです。

舅はご近所さんの名前と顔を忘れていきましたが、Wさんのことだけは必ずわかって強く反応を示しました。

 

Wさんから「地域交流会に参加してみたら?私も行ってるから一緒に行きましょう!」と声をかけてくださって、外出をしない舅を笑顔で連れ出してくれました。すごく助かりました。

介護サービスをことごとく拒否をする舅を、デイサービスに連れ出す時もWさんが私と一緒に声をかけてくれて、舅を見送ってくれました。

 

舅(89歳)が8月に亡くなった時に、Wさんには私から報告をしました。

Wさんは私の顔をみて「そうなのね…ご報告をありがとうございます。ミーさん、今までよく頑張ったわね。お義父様(舅)もそう思っていらっしゃると思うし、ミーさんに感謝していると思うわよ。本当に…お疲れ様でしたね」と舅へのお悔みの言葉ではなく、私への労いでした。優しい顔で優しい声でした…なんかホッとしたというか、肩が軽くなって目がウルウルしている感じがしました。

 

「後日、改めてお線香をあげに伺わせてください」と言って、舅が亡くなってから1ヶ月経った先日に我が家に来てくれました。

最近のWさんは足が悪いようでした。

「申し訳ありませんが…舅は1階ではなく2階にいるので、外階段を上がってきてください」と言うと、喪服を着たWさんがゆっくりと1段ずつ階段を上って来てくれました。

 

Wさん:(リビングの中央にある後飾りの舅の写真を見て)

わぁーいいお顔のお写真!現役の頃のお顔だわ。すごくいいじゃないの!いいお写真があっていいわね。ウチの主人なんか、こういうちゃんとした写真がないから、いま亡くなったら遺影にする写真がないわ~。

(のし紙に御霊前と書いてある包みを舅の後飾りに供えて)

ミーさん、ごめんさない。私、足が悪いからしゃがめないのよ。立膝で失礼させていただくわね。

 

ミー:

あ、はい。ラクな態勢でどうぞ。

 

Wさん:(お線香をあげて)

ご挨拶が遅くなってしまって…申し訳ありませんでした。

 

ミー:

いえいえ、ご丁寧にありがとうございます。

私、Wさんにはいろいろと…本当にお世話になりました。私の話をWさんが聞いてくださったことも、地域交流会を教えてくださって舅を連れ出してくださったことも、舅を見守ってくれたことなどなど!どんなに私の心が救われたか…たくさん助けてくださって本当にありがとうございました。感謝申し上げます。

主人も今日Wさんが来てくださることに感謝しておりました。(←主人は何も言ってないんですが、一応ね、そう伝えました)

 

Wさん:

ううん、私は何もしていないわ。

○○くん(主人の名前)はお仕事で忙しいんでしょうし、義姉さんはぜんぜんいらしてなかったものね~。そんな中でミーさんが頑張って、しっかりとやっていらしたもの。本当にお疲れ様ね~。

お世話って…本当に大変よ。毎日のことだし、24時間だからね。私も今、主人の世話をしているんだけれど、主人に年がら年中呼ばれてね…夜もね、主人が眠れないからって私の事を呼ぶのよ。だから夜はよく眠れなくてね…最近は朝寝坊ばかりしてるの(苦笑)

ご飯を用意しても「食べない」って言ったり、ちょっとしたら「やっぱり食べる」って言ったりね…最近、主人がおかしいのよ。私も本当に参っちゃってて…。

 

ミー:

それは大変ですね…。

 

Wさん:

ミーさんはまだまだお若いから~私なんかこの年でしょ。もう身体がね、ついていかないのよね。

息子達が家にいてもね…自分の好きな事ばっかりやってるだけでしょ。お嫁さんをもらっていないから~私の代わりになる人がいないのよ。食事や洗濯だって、息子達の分まで未だにやってるのよ。

 

ミー:

まぁ…それは大変ですね。でも息子さん達は、ご自身の人生を楽しんでいらっしゃるっていうことだから、ある意味、私からしたら羨ましいことですけどね(微笑)

 

Wさん:(リビングに飾ってある我が家の家族写真を見て)

いえいえ、私の子育てが間違っていたのよ。ウチの息子はダメよ、半人前なのよ。○○くん(主人の名前)はお子さん達をちゃんと育てて、こんなにいい笑顔の写真もあって…羨ましいわ~。

お義父様(舅)もミーさんといういいお嫁さんがいてすごく助けられたと思うし、感謝していると心から思うわ。本当よ。

お世話って本当に大変だから!

私もようやくミーさんの気持ちがわかったというか…毎日で嫌になるわよね。身内だからひどい言葉も言われるし、こっちも腹立たしくなるし…在宅では面倒を看てる人がダメになるって思ったわ。だからお義父様(舅)はいい施設に出会えたことも本当によかったし、ミーさんもお仕事を持っているから施設という選択をしたこともすごく良かったわよね。

 

 

Wさんの話というか、ご主人のお世話の愚痴&吐露が止まりませんでした…。そして我が家をキョロキョロと見て「きれいにしてるわね~」「ピアノは誰が弾いてるの?」「お子さん達のお写真がすごくかわいいわね」など、微笑みながら楽しんでいるようでした。

 

外からWさんのご主人が「お母さーん!お母さーん!」と呼んでいる声が聞こえてきました。

 

Wさん:(ため息をついて)

あ、また呼ばれてるわ。これがずーーっとなのよ~本当に参っちゃうわ。長男がね、車を出してくれて買い物もそうだけど、主人の病院の送迎もやってくれるから助かってはいるんだけどね…。協力してくれる長男がいなかったら、もうやってられないわ。

 

なんて返答していいのか…わからなかった。

でもWさんがご主人のお世話を通して、私の大変さをわかってくれたことは嬉しいし、Wさんの労いの言葉に嘘がないって思いました。

 

Wさんが我が家の外階段をゆっくりと下りる後姿を見送りながら、Wさんは89歳の舅と同じ世代=80代後半か90代前半と痛感しました。そして、今のお年まで50代の息子達の家事までやっていること自体がすごいなって思いました。

 

でもね…

途中の会話での「お嫁さんをもらっていないから~私の代わりになる人がいない」発言は、ちょっと引っかかった!

確かにWさんの息子さん達にお嫁さんがいなくて、実家にいるから負担があるっていうのもわからなくもないけど、独身者でも自立している人はいるし、お嫁さんがいたからって嫁が全部を担うとは限らない!

 

そもそも「嫁」だって1人の人間であって、今の社会では共働きが多いんだし、昭和の時代の「嫁にきたら嫁ぎ先を優先」っていう考えはもう古いのかも。今は「実家のことはご自身で」という考えになってきているのでは??

 

私の場合は、二世帯住宅で一緒に住んでいたからやらざるを得ない状況だっただけです。

私は友人や職場仲間に二世帯住宅のことで相談されると「二世帯住宅にはしない方がいい!」と断言していますし、私は子供の家族と一緒に住もうという気持ちが全くない。「スープの冷めない距離」が一番いいのかもしれない…。