南房海鮮祭り(安房郡鋸南町→南房総市→館山市→南房総市→鴨川市) | 日本一周(分割)自転車紀行

日本一周(分割)自転車紀行

2010年、MR4F(折りたたみ自転車)で突然西へ。
東海道、山陽道、山陰道を駆ける。

そして2年後、再び自転車に跨る…

ただし、自転車走行ではなく自転車旅行。
観光も食事も目的だし、宿泊はホテル。
普段は自転車に乗らない。

これでも日本一周できる…のか?


2016年11月19日11時15分。

総武線快速から内房線を乗り継ぎ、
安房勝山駅に降り立った。


家を出てからおよそ3時間。

家からの距離こそそれほどではないものの、
所要時間としては仙台駅や名古屋駅以上。

なかなかの長旅になってしまった。


本来、先週に館山駅まで走る予定だった。

しかし相変わらず出発も走行も遅れてしまい、
安房勝山駅までしかたどり着かなかった。


そのため今日は当初の予定より
余分に走らなくてはいけない。

急いで自転車にまたがり
国道127号を南へ走る。



安房勝山駅
安房勝山駅

走り始める
走り始める




トンネルを潜ると南房総市へ。

すぐに左折して富津館山道路の方へと向かうと、
「道の駅富楽里とみやま」が見えてくる。


「道の駅富楽里とみやま」は
高速道路の横に設置された道の駅。

ここが今日の最初の目的地であり、
先週、安房勝山駅で帰った最大の要因でもある。


僕は千葉県出身であり、
スポット紹介の仕事をしたこともある。

そのため千葉県内には史跡や名所が少ないが、
南房に道の駅が充実していることも知っている。

千葉県の南エリア・南房の名物を食べるには
道の駅巡りが一番。

ここがその第一陣である。


館内には様々な売店や食堂が並ぶが、
まず食堂で蒸しアワビとさんが揚げを食べる。


ここ南房総市は2006年に合併でできた新しい市。

旧白浜町は海女さんによるアワビ漁が有名で、
旧千倉町ではアワビの養殖が盛ん。

まさにアワビは南房総市の名物なのである。

都内では高級品でそうそう食べられないが、
道の駅で気軽に味わえるあたりが
旅の醍醐味だ。


さんが揚げはなめろうを焼いたもの。

なめろうは都内でも食べられるようになったが、
さんが揚げはまだまだ普及しておらず、
まさに千葉県の味である。


名物を堪能して食堂を出ると売店を物色。

まぐろカツ、いわしバーグ、
つみれ汁を購入して食べる。


まぐろカツは特に千葉名物ではないと思うが、
千葉県北東部の銚子港はマグロの陸揚げ上位の港。

まぐろだけに豚カツよりもさっぱりしており、
軽くつまむのにぴったりである。


イワシは陸揚げ上位の港の多くを千葉県内で占め、
千葉県の名産とも言える魚。

そしてつみれ汁はイワシのすり身の団子を
だし汁に入れたもの。

こちらも千葉県の名物であり、
ホっとする味だ。


ほかにも気になるものはあるのだが、
ひとまずここで切り上げて進むことにする。



トンネルを潜る
南房総市へ

道の駅富楽里とみやま
道の駅富楽里とみやま

アワビの刺身
蒸しアワビ

さんが焼き
さんが揚げ

まぐろカツといわしバーグ
まぐろカツといわしバーグ

つみれ汁
つみれ汁




少し回り込みながら再び国道127号へ。

岩井駅を過ぎたあたりから
トンネルが何個も続く。


そして間もなく建物が増えてきて街中へ。

富浦駅を通り過ぎると、
国道127号は左に分かれてバイパスになる。


そのため直進して県道302号を進む…ところだが、
いったん国道127号へ。

間もなく「道の駅とみうら枇杷倶楽部」が見えてくる。


「道の駅とみうら枇杷倶楽部」は
旧富浦町にある道の駅。

旧富浦町はビワの生産日本一で、
その名の通りビワを使った様々な料理がある。


特に名物なのがびわカレー。

もともとカレー好きで食べる予定だったのだが、
食堂の伊勢海老味噌ラーメンを目にして迷う。


伊勢海老はその名の通り三重県が主産地だが、
千葉県も三重県と並ぶ全国有数の産地だ。

ただ千葉県内の伊勢海老の産地は
基本的に外房。

つまり太平洋側であり、
今から向かおうとしている地域である。

そういう意味では今食べる必要はないが、
事前に調べた限り伊勢海老のラーメンはなかった。


びわカレーか伊勢海老ラーメンか。

もちろん両方食べられればいいのだが、
1時間前に食事をしたうえに、
この後も予定がある。

結局ここでは伊勢海老味噌ラーメンを食べ、
びわは別の形で食べることにする。



トンネルが続く
トンネルが続く

街中へ
街中へ

道の駅とみうら枇杷倶楽部
道の駅とみうら枇杷倶楽部




伊勢海老味噌ラーメンは味噌ラーメンに
伊勢海老が丸ごとのった豪勢なラーメン。

スープは味噌ラーメンをベースに伊勢海老の味が乗り、
あまり癖がなく食べやすく飲みやすい味である。

これはあまり食べられるものではないし、
やはり食べてよかった。


そして名物のびわ。

びわを使ったデザートなどがいろいろあるなかから、
びわ大福とプレミアムびわソフトを選ぶ。


びわ大福は見た目をびわに模した大福で、
中には白あんと刻んだびわが入っている。

見た目とは裏腹にびわ要素はあまり高くなく、
びわ風味の大福と言ったところだろうか。


一方、定番のソフトクリーム。

こちらは見た目にはびわ要素は少ないが、
食べるとさっぱりとしたびわの風味が出てくる。

必要以上に濃いわけではないが、
ちゃんとびわの味がする。

出来の良いソフトクリームだ。


ソフトクリームを食べながらしばらく休むと、
海沿いの県道302号へと戻り南へ走る。



伊勢海老味噌ラーメン
伊勢海老味噌ラーメン

びわ大福
びわ大福

びわソフトクリーム
びわソフトクリーム




間もなく館山市へ。

県道302号に並行する国道127号に入り、
南へと進む。

間もなく右手に見えてくるのが
「スーパー回転寿司やまと館山店」だ。


ここは県内に複数店舗構える回転寿司の本店であり、
ガイドブックでも必ず紹介される有名店。

館山市で寿司を食べるなら
訪れたい店である。


ここまでいろいろ食べてきただけに、
地元の魚をいくつか食べられれば十分。

そういう意味でも回転寿司はちょうどよい。


まず今まで見たことがないエンザラ。

これは館山沖で獲れる深海魚クロシビカマスのことで、
長寿の魚として重宝されるとのこと。

サワラのような味だろうか。

深海魚ということでどうかとも思ったが、
程よく脂がのり美味しい。


そして地金目鯛。

金目鯛自体は寿司ネタとして珍しくはないが、
ここ館山市は名の知れた金目鯛の産地。

わざわざ“地”金目鯛としているところにも、
名産地としてのこだわりが感じられる。


ソウダガツオは宗田節としては知られているが、
寿司ネタとしては初めて見た。

鮮度の劣化が速いため産地近くでしか食べられず、
まさにここで食べるべきネタである。


最後に活〆汐子。

汐子はカンパチの幼魚のことで、
カンパチと比べると脂が少なく
身が引き締まっている感じだろうか。

カンパチの特徴でもある食感が
より際立っていて旨味を感じる。


少量と思いながらも4皿8貫食べてるが、
ここで食べるべきものだし、
そこに空腹度はあまり関係ない。

地魚を食べられて満足すると、
再び国道127号を南へ進む。



館山市へ
館山市へ

スーパー回転寿司やまと
スーパー回転寿司やまと 館山店

エンザラ
エンザラ

地金目鯛
地金目鯛

ソウダガツオ
ソウダガツオ

活〆汐子
活〆汐子




国道127号は南総文化ホール前交差点で終わり。

南へ進むのは国道410号であり、
東西には国道128号が走っている。

ひとまず館山市街へ進むため、
右折して国道128号を西へと進む。


間もなく館山駅前へ。

特に大きくもなく特徴もない駅だが、
駅の1階に喫茶店がある。


「喫茶マリン」はよくある普通の喫茶店だが、
メニューを見ると食事も充実している。

さすがに今食事をする気にはならないが、
気になるのがピーナッツソフトクリームだ。


ピーナッツ、要するに落花生は
千葉県の最大の名物。

国内産の約8割が千葉県産と言われている。


ただ千葉県内の主要産地は中央部の八街市であり、
他の産地も基本的には内陸部。

それゆえ千葉県出身の僕も落花生にピンと来ないのだが、
館山市もまったく落花生のイメージはない。

とはいえ内陸には機会もなく、
ここで県の名物を食べられるのは運が良かった。


ピーナッツソフトクリームは、
果肉?が入っているタイプ。

ただ正直ソフトクリームと落花生の
相性が良いとは思わない。

しかし名物がソフトクリームに
なっていることに意義がある。


駅前には「里見氏をNHK大河ドラマに」の看板がある。

これまで高速道路や世界遺産を目指す看板はあったが、
大河ドラマは初めてだろうか。

正直、房総限定の里見氏が大河ドラマになるとは思えないが、
高速道路や世界遺産と同様に地元民の悲願なのだろう。



国道128号へ
国道128号へ

館山駅
館山駅

喫茶マリン
喫茶マリン

ピーナッツソフトクリーム
ピーナッツソフトクリーム

大河ドラマに
里見氏を大河ドラマに




館山駅から少し南へ進むと、
館山城が見えてくる。


館山城は1580年に里見義頼によって築城された。

義頼の長男の義康は豊臣秀吉に上総・安房、下総の一部、
要するに現在の千葉県の大部分の所領を安堵されたが、
小田原征伐で秀吉の怒りを買い安房のみに減封。

1591年に義康は館山城に入り、
江戸時代に入ると館山藩となった。

しかし1614年に里見氏が改易され
館山藩が取り潰されると、
館山城も廃城になった。

それゆえ館山城は特に歴史には
名を残していない。


ただ江戸時代に滝沢馬琴が著した
「南総里見八犬伝」の舞台として
館山城は知られることになる。

「南総里見八犬伝」は里見家の姫である伏姫と
神犬・八房の因縁により関八州各地に生まれた
八犬士の活躍を描いた大長編伝奇小説。

原著だけでなく翻案や亜流作品も多く、
歌舞伎や映画、小説、ゲームなど様々な作品が出ている。


ここ館山城はちょうど分岐点に建っている。

西へ進む県道257号は、
房総最西端の洲崎灯台をぐるっと周ってから南下する。

一方、南へ進み国道410号に合流する道は、
ショートカットするので洲崎灯台を通らない。


一周するという観点で言えば、
もちろん洲崎灯台は周るべき場所。

しかしおよそ18km。
1時間の回り道であるとも言える。


何より灯台以外に
特に寄りたいところがないのが痛い。

出店などで名物が食べられれば別だが、
灯台にはそれを期待できない。



館山城へ
館山城へ

館山城
館山城の模擬天守

館山城から
館山城から




南へ進み住宅街を抜けると
国道410号に合流。

ショートカットが故に上り坂になるが、
距離は大したことなく、すぐに下りになる。


千葉県の北半分の下総は主に平野部であるものの、
南半分の上総と安房は山ばかり。

ショートカットには不安がついて回るのだが、
大したことがない上り坂で幸いだ。


間もなく海沿いへ。
そして再び南房総市に入る。


南房総市は合併でできた新しい市で、
ちょうど館山市を囲むような形をしている。

というよりも合併に館山市が加わらなかった、
ということなのだろう。


南房総市に加入した町村は、
いずれも名産品で知れているものの小規模。

独立した市として成立している
館山市との力関係もあるのだろう。

なんとも複雑な思いだ。


南房総市に入ると大きな坂もなくなり、
平坦な海沿いの道になる。

そして国道410号は右に逸れて
さらに海沿いへ。

一方、真っ直ぐ進むと
房総フラワーラインに入ることになる。


房総といえばもちろん海なのだが、
春になる前から花が咲き始めることでも有名。

ここ房総フラワーラインは
その象徴のような道である。


ただ今は11月。

花が咲いている時期とも思えないが、
せっかくなので房総フラワーラインを進むことにする。


房総フラワーラインに入ってすぐに
「和田白浜館山自動車道」の標識が現れる。

そして標識が指している先は、
どう考えても海沿いの国道410号だ。


先ほどは、あえてフラワーラインを選んだのだが、
自転車道と言われると話が違う。

標識に従って右折して国道410号に入り、
海沿いを進む。


ここらは旧白浜町であり、
この先にあるのは旧和田町。

「和田白浜館山自動車道」という名称から考えると、
旧和田町から旧白浜町を通り
館山市へ抜ける自転車道なのだろう。

しかしここはどう見ても普通の国道。
自転車道らしさは欠片もない。


どうやら国道や県道など関係なく、
最も海に近い道を自転車道と呼んでいるようだ。

この自転車道に何か意味があるのかと言えば、
ほとんど意味は無い気がする。

名前を知った人が走りに来る可能性はあるだろうが、
走りに来た人が自転車道を実感することはない。

ただこれまでの自転車道の大半がこんな感じだし、
残念がらまだその程度の扱いなのだろう。



国道410号へ
国道410号へ

上り坂
上り坂に入る

南房総市へ
また南房総市へ

海沿いへ
海沿いの道へ

自転車道の標識
和田白浜館山自転車道の標識がある

海沿いの自転車道
海沿いの自転車道へ

普通の道
普通の道である




しばらく走ると海女さんの銅像が見えてくる。

道の駅富楽里とみやまではアワビを食べたが、
ここ旧白浜町は海女さんによるアワビや天草漁が有名。

7月には白浜海女まつりも
行われているのだそう。

あそこでアワビを食べたのはフライング気味だったが、
だからこそこの像に惹かれるとも言える。


時刻は16時過ぎ。
日が沈み始めている。

海沿いの景色は美しく彩られていく。

しかしまだ今日の行程の半分程度しか進んでおらず、
ちょっと焦りが出てくる。


最終目的地への到着には問題ないが、
途中のスポットが閉まってしまう可能性がある。

今日のメインである道の駅は閉まるのが早いため、
正直嫌な予感しかしない。



海女さん
海女さんの像

日が沈みかけている
日が沈みかけている




少し東へ進むと野島崎灯台が見える。

ここは房総最南端の灯台。
余裕があれば多少見て回りたい気もあった。

ただ、特に出店などがあるわけでもなく、
今の状態では先を急ぐことを優先する。


間もなく交差点を迎える。

今度は国道410号が房総フラワーラインとなるので、
海沿いではなくフラワーラインに入ってみる。


やはりというか案の定というか、
今の時期では花が咲いていることはない。

そもそもどんどん暗くなってきているので、
探しながら走るという余裕もない。


少し走ると再び交差点を迎える。

国道410号は変わらず直進するが、
房総フラワーラインは右折との標識。

よく分からないが
標識に従って海沿いに出る。


海沿いには花があるとはあまり思えないし、
そのような気配もない。

しかもGoogle map上では
国道410号がフラワーラインとされており、
もはや何が正解なのかもよく分からない。



野島崎灯台
野島崎灯台

フラワーライン
房総フラワーライン

海沿い
海沿いへ。何が何だか




普通の海沿いの道を進んでいくと、
右手に「道の駅ちくら潮風王国」が見えてくる。


時刻は16時半。

さすがにまだ普通に開いていると思ったが、
もう完全に店仕舞いの準備をしている。

調べると17時閉店。

それならギリギリまで商売してほしいものだが、
他にそれほど客がいるわけでもなく、
そうもいかないのだろう。

ここはレストランやカフェだけでなく、
いろいろつまめるはずだったのだが残念だ。

この先にも道の駅があるので、
開いていることを願って先を急ぐ。



道の駅ちくら潮風王国
道の駅ちくら潮風王国




房総半島の南端を回り切ったので、
ここからは海沿いを北上していく。


もう完全に真っ暗。

海沿いで建物もないので
灯りもほとんどない。

この状況では何かがあっても気付きようがないので、
ただひたすらに走り続けるしかない。


しばらく走ると左手にJR内房線が近づき
住宅街に入る。

線路と出遭うのは館山駅以来だ。


JR内房線は房総半島の南端には通っておらず、
館山駅からショートカットして東へ向かう。

そしてここはちょうど
館山駅から真東の地点。

館山城から約2時間かけて
南房を回ってきた形だ。


近くに電車が走っていると融通がききやすいので、
かなりホッとした気持ちになる。

自分の身体にも自転車にも不安があるため、
何かあっても電車で戻れるという安心感は大きい。

四国を走ったときは2度も電車を利用したし、
もはや近くに線路がないと不安な気持ちになる。



完全に真っ暗
完全に真っ暗になる




さらに進むとまた住宅街から離れて海沿いへ。

しばらく進むとまた線路が近づいて
住宅が増えてくる。

そして和田町白渚(しらすか)に入ったあたりから、
突然妙に空気が暖かくなってくる。


なんだろう、今まで走ってきて初めての感覚だ。

もちろん走る日や時間帯によって気温は違うし、
同じ時間帯でも太陽が隠れれば体感温度は下がるし、
太陽が雲から顔を出せば温度は上がる。

しかしこんなに体感温度が変わることは普通ないし、
本当に驚く変化である。


ここ白渚は県内でも名の知れたサーフポイント。

水質は透き通っており水温も温かいため、
冬場も県内外からサーファーが集まる。

サーフポイントということは適度な風も重要だろうし、
風の影響も大きいのだろうか。


ただこの手前の千歳、千倉あたりも
同様にサーフポイント。

そこでは特に何の変化も感じなかったから、
本当に不思議な現象だ。



三原川
三原川を渡り白渚へ

妙に温かい
妙に温かい




さらに北へ。

JR内房線の和田駅が見えてくると、
その隣には「道の駅和田浦」がある。


時刻は17時半。

ここの営業時間は18時までではあるが、
やはり館内は閉店の準備に入っている。

しかしまだ微妙に客が残っていることもあり、
何とか売店で買物はできる状況。

急いで店内を物色する。


旧和田町といえば捕鯨。

和田漁港はツチクジラの捕鯨基地であり、
敷地内にもシロナガスクジラの骨格標本がある。

そこで売店で「鯨のたれ」を購入して食べる。



道の駅和田浦
道の駅和田浦




「鯨のたれ」は“たれ”とはいうものの肉であり、
ビーフジャーキーの鯨版といったところ。

ツチクジラの赤身肉を
調味料に漬け込んで干したものだ。

ひと口食べると思ったよりはクセは強くないが、
それでも一気に食べる感じではない。


それもそのはず。

調べてみると、基本的に軽く炙ってから
マヨネーズに付けて食べるもので、
完全な酒のつまみ。

自転車で走っている人間が食べるものではなく、
どう考えても家で食べるべきだ。

少しつまんだ後に封をしてバッグにしまう。



鯨のたれ
鯨のたれ




飲み物は「おいしい房総サイダー びわ風味」。

「おいしい房総サイダー」は
千葉の名物をイメージしたサイダーで、
菜の花や梨などいろいろな種類がある。

やはり今日の行程を考えればビワだろう。


“びわ風味”とあるように、
しっかりとビワ味というわけではなく、
通常の爽快なサイダーに軽く風味を付けた程度。

特別感は薄いと言えるが、
サイダーとしてはこれが正解だろう。



房総サイダーびわ風味
房総サイダー びわ風味




足早に飲み食いを済ませると、
再び北東へ走り出す。

間もなく鴨川市へ。

ここからはほぼ線路と一緒に走っていくので、
少ないながらも建物がある中を進む。


加茂川を越えると鴨川市の中心街に入る。

鴨川市なのに加茂川とは何とも紛らわしいが、
加茂川が先でこの辺りの地域も
加茂郷と呼ばれていたらしい。

しかし明治22年の町村合併の際に
当時二文字の市町村名が好まれていたことから
加茂川市ではなく鴨川市と名付けられたそう。

相変わらず市町村名の由来は分かりづらい。


ようやく安房鴨川駅に着く。

時刻は18時半。

真っ暗ではあるものの、
自分としては比較的早めに着いた。

さっそく駅の北の国道128号にある、
「鮨 笹元」へと向かう。



鴨川市へ
鴨川市へ

安房鴨川駅
安房鴨川駅




「鮨 笹元」は鴨川の地魚を使った寿司店。
せっかくなので地魚のおまかせコースを頼む。

いつもだったらビールから入るところだが、
ここはやはり日本酒だろう。


「飛鶴」は君津市の山里にある
森酒造による日本酒。

君津市は海側が狭くあっという間に過ぎ去ったが、
内陸の方に大きく広がっている。


実際、森酒造のある場所を調べてみると、
ちょうどここの真北20kmあたり。

君津市を通ったのが1週間前だったことを考えると、
なんだか不思議な感じだ。


突き出しは岩もずく、バイ貝、
そしてアジの南蛮漬け。

なかなか期待が高まるラインナップだ。


続いて地魚の寿司。

アジ、カイワリ、アワビ、ウニ、
サワラ、本カツオである。

カイワリは聞いたことがなかったが、アジ科に属し、
市場に出回ることは少なく認知度は低いとのこと。

ただその味はシマアジに匹敵すると言われているらしく、
まさに地魚らしい地魚である。

確かにシマアジに近いだろうか。
美味しい寿司ネタだ。


アワビは珍しい肝付き。
いや珍しいというより初めて見た。

肝は苦手な人もいるだろうが、
好きな人にはたまらなく何より日本酒にぴったり。

先ほど旧白浜町で海女さんの銅像を見ただけに、
ここでアワビを食べられてよかった。


そしてイカと海老の和風グラタン。
この店のオリジナルメニューである。

マヨネーズを使ったグラタン風であり、
これはどちらかと言えばビールに合う味だろう。


日本酒を「鳴海」に変える。

「鳴海」は鴨川市の少し先の
勝浦市にある東灘醸造による日本酒。

こちらは山ではなく海近くにある酒蔵で、
直詰にするため微発泡が残るのが特徴だ。


穴子と芽ネギの海苔巻きを挟んで、
太刀魚と金目鯛の焼き寿司へ。

表面をバーナーで軽く炙る寿司は多いが、
この店の焼き寿司は皮側を焼いたもの。

刺身と焼き魚の中間というか、
皮側を焼くことにより旨味がより引き立つ。


ここ「笹元」の寿司は江戸前というか、
ひと手間加えられているのが特徴。

これまで東北や北陸を中心に
多くの寿司、刺身を食べてきただけに、
このやや珍しい寿司は大歓迎だ。


さらに鱈の白子。

居酒屋でメニューにあれば必ず頼むほど好きであり、
新鮮な白子は抜群に美味しい。


最後にエンザラの塩焼きが運ばれてくる。

昨日まで聞いたことがなかったエンザラだが、
昼過ぎに館山市で寿司を食べたのに続き、
さらに塩焼きを食べることになるとは。


館山市は東京湾の入り口で、
鴨川市は太平洋側。

位置は微妙に違うのだが、
先ほどの金目鯛など同一の地魚も多く、
房総の名物なのだと改めて感じる。


今日は南房の地魚をたっぷり食べて、
満足してホテルへ…といいたいところだが、
そうもいかない。


そもそも今回の主目的のひとつは
千葉ロッテマリーンズの秋季キャンプ。

要するに今は鴨川市に多くの人が集まってきており、
直前に予約をする僕がホテルを取れるはずもなかった。


ようやく取れた宿は、
鴨川市の先の勝浦市のさらに先の
夷隅郡御宿(おんじゅく)町。

ここから30km先である。


今日は既に酒を飲んだし、
そもそも目的地の先まで自転車で走る気もない。

当然の電車移動であり、
安房鴨川駅へ向かう。



鮨 笹元
鮨 笹元

飛鶴
飛鶴

アジ南蛮漬け
アジ南蛮漬け

寿司
地魚の寿司

イカと海老の和風グラタン
イカと海老の和風グラタン

鳴海
鳴海

穴子と芽ネギの海苔巻き
穴子と芽ネギの海苔巻き

太刀魚と金目鯛
太刀魚と金目鯛の焼き寿司

鱈の白子
鱈の白子

エンザラの塩焼き
エンザラの塩焼き




ちょうどホームの両側に
電車が停まっている。

そしてよく見ると、
どちらも行先は千葉駅。

それでは同じ方面に進むかと言えば、
まったく逆なのが紛らわしい。


千葉駅から木更津駅や富津駅、館山駅など、
東京湾側を回って安房鴨川駅に向かうのが内房線。

一方、千葉駅から一気に太平洋側に出て、
上総一ノ宮駅や勝浦駅を通り
安房鴨川駅に向かうのが外房線。

どちらも千葉駅始発の安房鴨川駅終点であり、
安房鴨川駅始発の千葉駅終点なのである。


実際は、千葉駅始発の内房線は館山駅行が多く、
外房線は上総一ノ宮駅行が多い。

しかし、逆の安房鴨川駅始発だと
どちらも千葉駅行になる面白さ、いや紛らわしさ。

まあ地元の人が間違えることはないだろうが、
旅行者が慌てて逆方面に乗ったら大変だ。


慎重に外房線に乗って御宿駅に向かい、
御宿駅からさらに10分ほど歩くとようやくホテルに着く。



どちらも千葉行
どちらも千葉行で紛らわしい

御宿駅
御宿駅





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2016年11月19日

安房勝山駅(安房郡鋸南町)~安房鴨川駅(鴨川市)
走行距離:約77km(google map)

サイクルコンピュータ(CATEYE VELO WIRELESS+)
走行時間:4時間29分11秒
走行距離:85.39km
平均速度:19.0km/h

■南房海鮮祭り
(安房郡鋸南町→南房総市→館山市→南房総市→鴨川市)

地図の詳細
ルートラボ