豊後のキリシタン大名と海の恵み(佐伯市~臼杵市) | 日本一周(分割)自転車紀行

日本一周(分割)自転車紀行

2010年、MR4F(折りたたみ自転車)で突然西へ。
東海道、山陽道、山陰道を駆ける。

そして2年後、再び自転車に跨る…

ただし、自転車走行ではなく自転車旅行。
観光も食事も目的だし、宿泊はホテル。
普段は自転車に乗らない。

これでも日本一周できる…のか?


佐伯駅から3本のトンネルを抜けると、
海沿いの道へと入る。

相変わらず周囲に山は多く見えるが、
徐々に海側の景色は開けてきて、
海沿いを走っている実感を味わえる。


JR日豊本線とは、
やはり付かず離れずの関係が続いている。

たまに線路が見え、駅が見え、
またしばらく見えなくなっていく。


狩生駅、浅海井駅を過ぎると
国道217号は左に折れて山の方へ向かう。

大分県は本当に地形が入り組んでおり、
ずっと海沿いを走って行くのは回り道になる。

したがって、国道も適度に
ショートカットして進んでいくことになる。


2本のトンネルを抜けると津久見市へ。

再び海沿いに入ると、奇妙な幟が見える。
「前方注視してイルカ」
「わき見センスな」

要するにダジャレを使った交通標語だが、
いずれも津久見市の名物を使っているらしい。


ショートカットした東の半島には「つくみイルカ島」があり、
イルカと触れ合えるのだそうだ。

また、大友宗麟によって治められていた戦国時代、
戦没した人の供養のために「扇子踊り」ができ、
津久見市を代表する郷土芸能として
踊り継がれているのだそうだ。


再びトンネルを潜りショートカットすると
津久見市街へ入る。

中心街へ入る少し手前で左折して、
少し南へ向かうと左手に津久見高校が見える。



2海沿いへ
海沿いへ

3さらに山へ
さらに山へ

4幟
妙な幟が見える




津久見高校は県立高校ながら
かつて春・夏の甲子園で優勝した古豪。

僕の記憶の範囲では、
元ヤクルトの川崎憲次郎の出身校だ。

僕が津久見という地名を知っているのも、
いつも通り高校野球からの知識にほかならない。

今でもスポーツをはじめ広い分野で活躍しているらしく、
学校には看板が多く立てられている。


津久見高校の先を左折し、
少し坂を上ると「宗麟公園」がある。

大友宗麟は1530年に現在の大分市で生まれ、
現在の大分県、福岡県、宮崎県に勢力を拡大した。

キリシタン大名としても知られ、
1578年には洗礼を受けてドン・フランシスコを名乗った。

しかし、耳川の戦いで島津義久に大敗し、
勢力を縮小していき、ここ津久見で病死した。

敷地内には大友宗麟の墓、銅像をはじめ、
様々なものが建てられている。


墓はやはりというべきか洋風の棺。

本当に遺体があるとは思えないが、
なかなかインパクトがある。

胸像の周りには
大友宗麟の歴代の花押が刻まれている。

相変わらず僕以外に見学客はいないが、
戦国時代好きにはなかなか惹かれる場所になっている。


ひと通り見て回ると同じ道を戻る。
すると左手には「大友公園」の標識が見える。

ここは少し上った平山城のような形。
ただ、どうも城跡というわけではないようだ。

大友宗麟が隠居生活を送っていた別館があったらしいが、
「大友公園」という名称がついているものの、
特に何かがあるわけではない。


桜まつりの準備が進められているが、
残念ながらまだ開花はしていない。

今回の九州旅行は、上手く行けば
桜の開花とともに北上できる可能性もあった。

しかし残念ながら1週間弱早すぎたようで、
残念ながら蕾状態の桜を見ながら北上している感じだ。



津久見高校
津久見高校

像
大友宗麟の像とレリーフ

大友宗麟の墓
大友宗麟の墓

胸像
胸像の後ろには花押歴がある

大友公園
大友公園




大友公園を軽く見て回ると津久見駅へ。
駅前には大友宗麟像がある。

なかなかカッコいい像で「大友宗麟」の名とともに、
「ドン・フランシスコ」の名前も併記されている。

これまで津久見市といえば
津久見高校しか知識がなかったが、
すっかり「大友宗麟終焉の地」として刻み込まれた。


再び国道217号へ。
さらに北西へと向かう。

しばらく進むと上り坂になり、
山へと入っていく。

ここから臼杵市までの間にも小さな半島があり、
やはりショートカットして山を通ることになる。


少し進むとトンネルに入る。

自転車も走れるだけの歩道があり安心なのだが、
異常なまでに長い。

普通の道だったらこんなに長くは感じないだろうが、
トンネル内という特殊な状況下にあるためか、
本当にとてつもなく長く感じる。


ようやくトンネルを出ると、
ふぐの絵をあしらった
臼杵(うすき)市の標識が見える。

僕も今回調べるまで知らなかったのだが、
ここ臼杵市はふぐの名産地らしい。


国道217号を右折して臼杵駅へ。

臼杵駅前のホテルにチェックインすると、
すぐにタクシーに乗りふぐ屋「にしきや」を目指す。



駅前の宗麟像
津久見駅前の大友宗麟像

山を上っていく
山へ入っていく

トンネルを抜ける
トンネルを抜ける

臼杵市へ
臼杵市へ




「ふぐといえば下関で、
 臼杵が名所だって知りませんでしたよー」
タクシーの運転手に話すと、
堰を切ったように講釈が始まる。

何でも下関市は確かにふぐの名所だが、
全国から集まっている。

一方、臼杵市のふぐは
豊後水道で穫れたものだけである。

そして臼杵市では下関市にない
あるものがついている。
などなど…

なるほど。

東京にいるだけでは
分からないことも多いものだ。


そうこうしている間に店に着いたので店内へ。

カウンターを通されると、
メニューの説明を受ける。


メニューは2種類。

普通の10,000円のコースと、
白子が付いた13,000円のコース。

もちろん僕が頼むのは、
白子付きのコースだ。


まず1品目は煮こごり。

皮が入った煮こごりは弾力があり、
ポン酢でさっぱりといただくので
先付けとしてピッタリである。


2品目はてっさ。
要するにふぐ刺しだ。

ふぐ刺しといえば飾り皿の上に
極限まで薄く広がるイメージだが、
この店のものは違う。

思っていた以上に肉厚で、
何枚もいっぺんに食べるようなものではない。

皮や薬味、運転手に聞いたあるものをポン酢に入れ、
それをふぐ刺しで巻いて食べる。

確かにこの食べ方だと
薄切りで小さかったら無理だろう。

そしてこれはかなり美味しい。

ふぐ刺し自体は淡白な味わいなのだが、
濃厚な味わいになったポン酢を巻くことで
味の広がりができる。


3品目は白子焼き。

噂には聞いていたものの、
食べるのは初めてだ。

食べた感想を一言でいうと、
クリーミー。

タラなど他の白子と同じように括ってはダメで、
完全に別の食べ物である。


4品目は唐揚げ。

横にはレモンではなく
カボスが添えられている。

唐揚げはとにかくホクホクしている。

ふぐ刺しとして食べた身も、
こうすると味わいが変わるのが面白い。


5品目はサービスとして寿司。

刺身が美味しいのだから、
寿司として美味しくないわけがない。

寿司ネタの中でもタイやヒラメが好きな僕にとっては
かなりストライクである。


6品目はてっちり。

骨周辺などに残った身と、
野菜、豆腐、餅を入れて鍋にする。

自分で作るか、作ってから出すか聞かれるので、
作っていただくことを選択。

間もなく鍋が運ばれてくる。


てっちりもやはりポン酢で食べる。

ふぐという淡白な身を食べるには余計な味付けをせず、
あっさりと食べるのが一番というのがわかる。


7品目は雑炊。

鍋にごはんを入れて
卵でとじる。

まさに〆にふさわしい、
ホッとする味だ。


最後にイチゴが運ばれてきて終わり。

ふぐのコースじゃ物足りないんじゃないかと思っていたが、
まったく逆で、かなり量は多く満足度は高い。

むしろ小食の人は食べきれないだろう。

ふぐ以外には野菜、ごはん、餅しか使わずに調理し、
まったく飽きることもなく満足させられるのだから
レベルが高い。

それこそ東京で食べたらいくらするのだろう?


出雲市でノドグロを食べたときも思ったが、
現地で最高のものを食べると、
もう東京で食べる気がなくなる。

そもそもタクシーの運転手に聞いたように、
臼杵市のふぐはここでしか食べられないもの。

このルートを選び、
ここ臼杵市に来てよかった。

心からそう思える。


すっかり満足して店を出ると、
今度は歩いて臼杵駅へ戻る。

来るときは時間もなかったのでタクシーを使ったが、
来てみると全然遠くなかったので、
散歩にちょうどいい。


ここらは風情ある街並みになっており、
他にもふぐ屋は多い。

店を出る時に女将さんから、
「ウチを選んでくれてありがとうございます」
と言われたが、
競争も激しいのだろう。


今日はふぐで〆られて満足したが、
気になるのは足の痛さ。

走っているときは惰性で何とかなったが、
いざ歩いてみると相当悪化しているのが分かる。

明日は大丈夫だろうか。。

不安を抱えながら20分程度歩くと臼杵駅前へ。
ホテルに戻り休む。



にしきや
にしきや

ビール
まずはビールから。このためにタクシーで来た

にこごり
にこごり

てっさ
てっさ

白子焼き
白子焼き

唐揚げ
唐揚げ

寿司
寿司

てっちり
てっちり

雑炊
雑炊

イチゴ
最後はイチゴ

ふぐ
店内にはふぐがいる

夜の街並み
夜の街並み





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2014年3月22日

延岡駅(延岡市)~臼杵駅(臼杵市)
走行距離:約104km(google map)

サイクルコンピュータ(CATEYE VELO WIRELESS+)
走行時間:7時間25分34秒
走行距離:114.37km
平均速度:15.4km/h

戦、神、山
(延岡市)
山の中の港
(佐伯市)
■豊後のキリシタン大名と海の恵み
(佐伯市~臼杵市)

地図の詳細
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