最後の宮崎名物(宮崎市~児湯郡新富町~高鍋町~川南町~都農町~日向市~東臼杵郡門川町~延岡市) | 日本一周(分割)自転車紀行

日本一周(分割)自転車紀行

2010年、MR4F(折りたたみ自転車)で突然西へ。
東海道、山陽道、山陰道を駆ける。

そして2年後、再び自転車に跨る…

ただし、自転車走行ではなく自転車旅行。
観光も食事も目的だし、宿泊はホテル。
普段は自転車に乗らない。

これでも日本一周できる…のか?


国道10号に戻ると北へと向かう。

宮崎神宮駅を過ぎると国道10号はバイパスとなるので、
いったん国道と離れる。

再び国道10号に合流してすすむと、
左手に持ち帰りの地鶏屋が見えてくる。


熊本には馬刺しの持ち帰り店があったが、
こういった店があるのは本物の名産ということ。

やっぱり熊本といえば馬刺しだし、
宮崎といえば地鶏なのである。


再び国道10号はバイパスとなるので、
いったん離れて県道10号を進む。

佐土原駅前に差し掛かると、
左手に何かの跡のような高台がある。

しかし、地図を調べてみても
図書館や文化センターなどしかない。

どう見ても何かありそうなのだが…


また国道10号に合流。
一ツ瀬川を渡る。

橋の横には橋桁だけが
いくつも並んでいる。


新しい橋を建設中なのだろうか。

今の橋が古いわけでもないし、
特に交通量が多いわけでもない。

特に今は工事が進んでいるわけでもなく、
何だか不思議な感じである。


高鍋町に入ると、
橋の欄干にカメの像がある。

「アカウミガメのくるまち」とのこと。

高鍋町の永谷海岸はアカウミガメの産卵地として有名で、
宮崎県の天然記念物に指定されているのだという。


まだ一度も海を見ていないので実感がないが、
地図を見ると結構海岸線は近い。

それなのに海を見る機会がないというのは
寂しいものだ。

本当は海沿いを走りたいのだが、
地図を見ても残念ながら海沿いに道はない。


考えてみると、このあたりの海岸線は砂浜。

思い返してみても、
砂浜のそばに道があったことはあまりない。

たとえ近くを走ったとしても、
大抵の場合は防砂林がある。

江ノ島から平塚までもそうだったし、
福岡の福間から福津にかけてもそうだった。

逆に、山陰や鹿児島湾など、
砂浜ではない海岸線には海沿いに道が走っていた。

本当は砂浜沿いの道も走ってみたいのだが、
それは仕方がないのだろう。


高鍋駅前を過ぎ、小丸川を越えると、
右手に「ジョイフル高鍋店」が見えてくる。

本当に九州におけるジョイフル率は凄まじい。

各市町ごとに高確率で1店舗以上あり、
多くが国道沿いにあるから、
事前に調べなくても見逃す心配がない。


時刻はちょうど17時。
そして宮崎駅からここまではおよそ35km。

寄り道をほとんどしていない割には、
だいぶ時間がかかっている。


それもこれも足を痛めたのが大きい。

走り始める前から痛めていた左膝の状態は変わらない。
少し痛いが走りに影響が出るほどではない。

しかし、走っているうちに
今度は右膝が痛くなってきた。


ちょうど一年前に九州を走った時、
熊本市の手前で右膝を痛め、
苦労したのは苦い思い出。

あの時はサドルの位置を少し高くしたせいで、
漕ぐ感覚が違ったのが理由だと思っていた。

秋に東北を走った時はまったく痛めなかったので、
もう大丈夫だと思っていたのだが…


知らず知らずのうちに左膝をかばっていたのか、
それとも比較的寒い気候が影響しているのか。

おそらく両者なのだろうが、
何にせよキツい。

気持ち的にも疲れてきたので、
ジョイフルで休むことにする。


自転車を降りて店内を歩くと、
足の状態の悪さを痛感する。

何しろ普通に歩くことができない。

右足を引きずるようにして歩くのだが、
そもそも左膝も痛いため歩くのが困難だ。

いったん座ってしまうと、
本当に立ち上がれなくなる。


結局、店を出たのは18時。
一時間近く休んでしまった。

延岡駅まではどう見ても60km近くある。

今のペースを考えたら、
4時間では着かないかもしれない。

唯一の救いは、延岡駅まではほとんど平坦なこと。
惰性で走れるので何とかなるはずだ。



宮崎神宮で別れる
国道10号と別れる

混んでる側道
側道は混んでいる

地鶏屋
地鶏屋

佐土原駅前
佐土原駅前。何かありそうだが

佐土原の先で国道10号に合流
国道10号に合流する

一ツ瀬川
一ツ瀬川

高鍋へ向かう
高鍋へ向かう

ウミガメ
高鍋町はウミガメ

ジョイフル高鍋店
ジョイフル高鍋店




国道10号を北に向かって走り始める。

基本的にこの国道10号を走れば延岡市に着くのだが、
走るのはやっぱり少し内陸で、
地図を見るだけでつまらなそうだ。

そして、よく地図を見ると、
ここからは海岸沿いを走るJR日豊本線の脇に県道がある。


さっそく右に折れ県道304号に入る。

延岡駅までは平坦と言いながら、
県道304号はいきなり上り坂。

海に出るまでには、
軽く山を越えなければいけない。


坂を上ると畑のなかを進む。

しばらく進むと県道302号に合流し、
右折して今度は坂を下って海岸の方へと向かう。


先の方に海が見える。
日向灘を見るのは初めてだ。

ただ、海沿いの道はやはり海が見えない道。

防砂林というか、
何やら高い草に覆われている。

まれに切れ目があり、
先に海が見える程度だ。


周囲は一気に暗くなっていく。

予想通り平坦で単調な一本道。
海も見えない。

しかし、単調とはいえ見慣れない風景で、
しかも交通量も少ないので、
国道より遥かに走っていて気分がいい。

膝も痛いものの走れないほどではない。


川南駅を過ぎたあたりから、
臭いがキツくなる。

浜松市の西、湖南町で感じたのと同じ。

肥料というか、牧畜というか、
とにかくそんな臭いだ。

地方を走っているとこんな臭いがすることもあるが、
ここはその中でも特にキツい。


臭いに耐えながら、
ひたすら北へと向かう。

周囲は完全に真っ暗になる。
当然のごとく街灯はない。

唯一灯りがあるのは、
踏切と駅だけだ。


都農駅を過ぎ、
さらに東都農駅を過ぎる。

海沿いの県道はここまで。
残念ながら再び国道10号に戻る必要がある。

案の定、左折する道は上り坂。
痛めた足に上り坂は厳しい。



海沿いへ向かう
右前に折れて海沿いに向かう

上り坂
上り坂

先に海が見える
先に海が見える

海沿いを走る
海沿いを走って行く

一気に暗くなる
一気に暗くなっていく

左折して上っていく
左折して上り、国道10号へ




国道10号を北へ進むと日向市へ入る。

南端の美々津町は江戸時代に湊町として栄え、
当時の建物などが残る重要伝統的建造物群保存地区に
指定されている。

また、ここは神武天皇による東征出発の地とされ、
それを以って日本海軍発祥とし、
日本海軍発祥の地の碑がある。

いずれも可能ならば
立ち寄りたいと思っていたところだ。

しかし日没した時点で、
もう立ち寄りようがない。

スポットのある場所、一日で走る距離、ペース配分…
いろいろな要素が絡まるから難しい。


いったん街を離れて上り坂へ。

国道10号は低いものの坂が多く、
やたら上り下りが多い。

そして再び建物が増え始めると、
日向市街へ入る。


日向市といえば日向灘。

やはり海に観光地があるのだが、
もはや訪れようもないし、どうしようもない。

特に立ち寄ることなく、
さらに北へと進む。


門川駅近辺に差し掛かると、
右手に海が見える。

宮崎県に入ってから最も海が近い。

短くてあっという間だが、
やっぱり変化はうれしい。


そして延岡市へ。

沖田川を過ぎると国道10号はバイパスに。
左に折れて県道16号に入る。

バイパスを避けるのは、
ある程度大きな中心街に入る恒例の儀式だ。


延岡市は宮崎県北部の中心都市。

旭化成の企業城下町としても知られる
工業都市である。


延岡市の中心街は、
大きく3つある。

まず南延岡駅の少し北にある旭化成の工場付近。
人が多く働く場所には、やはり建物が集まる。

ちょうど今僕が走っているあたりだ。

そのすぐ北、大瀬川と五ヶ瀬川にはさまれた三角州に
延岡城跡があり、そこには飲食店などが並び、
歓楽街になっている。

そして五ヶ瀬川の北にあるのが延岡駅で、
駅前にはアーケード商店街などがある。


僕が今日泊まるホテルは、
五ヶ瀬川北岸あたり。

チェックインを済ませるとフロントで尋ねる。
「今から宮崎牛を食べられる店ってありますか?」


何しろ、昼に宮崎で食べるつもりだったので、
延岡市で宮崎牛の店は一切調べていない。

加えて時刻は22時15分。

当然閉まっている店もあるし、
闇雲に探し歩くのは危険だ。


フロントの人は相談したうえで店の目星をつけ、
わざわざ電話をして、店が開いていること、
そして宮崎牛があることを確認してくれる。

地図をもらうとお礼を言い、
中州へと歩き始める。


しかしまともに歩くことができない。
完全に右膝がおかしい。

確かに自転車で走っているときも、
最後の方はかなりキツかった。

惰性で走っているうちはそうでもないのだが、
信号などで止まる時に足を伸ばそうとすると激痛が走った。

歩くときは別だと思っていたが、
今までに体験したことがないほどまともに歩けない。

ホテルから店までは5分もかからないが、
それすらかなりの負担になってしまう。


足を引きずりながら中州の中央通りへ。
「船一」へ入る。



美々津あたり
美々津あたり

日向駅前へ
日向駅前へ

国道10号を上る
上る

門川湾
門川湾。海が見えるのは珍しい

延岡市へ
延岡市へ

延岡市街へ
延岡市街に向かう

大瀬川
大瀬川を渡る

中州
中州。歓楽街になっている

船一
船一へ




「船一」は焼肉店。
店内に入ると「宮崎牛指定店」の貼り紙が見える。

さっそくビールを注文すると、
いろいろ聞いてみる。


宮崎牛は県内で生産飼育された黒毛和種のうち、
肉質等級が4等級以上の牛肉のこと。

口蹄疫などの問題も記憶に新しいが、
全国の和牛品評会で全国一に輝いている、
日本を代表する和牛だ。


もちろん僕が注文したいのは宮崎牛なのだが、
店員さんのオススメは、
宮崎牛ではないハラミやホルモンなのだそう。

何でも、宮崎牛と名乗れるのは、
4等級以上の牛肉のみ。

したがってハラミやホルモンは「宮崎牛」とは呼ばれず、
「宮崎産牛」になるのだという。

ただ、宮崎牛と同じ牛からとれたものなので、
抜群に美味しいのだと説明してくれる。


なるほど。
聞いてみないとわからないものである。

メニューを見るだけでは「宮崎牛」の文字に目が行くが、
しっかりと考えて注文しなくてはならない。

ひとまずオススメされたハラミと、
特選ロースを頼む。


ハラミはもともと僕が隙な部位。

肉厚なのに柔らかく、
脂も適度に乗り、肉の旨味も味わえる。

そして宮崎牛のロースは凄まじいサシ。

ロースには見えないほどで、
とろけるような脂の旨さが素晴らしい。


次いで焼酎を頼む。

都城の霧島もそうだったが、
宮崎はやはり芋焼酎。

「天孫降臨」を頼む。

ちょうど延岡市の西にあるのが高千穂峡で、
まさに天孫降臨の地である。


そしてオススメされたホルモンも頼む。

ホルモンは甘みがあり美味しい。
確かに、店員がオススメしているのがよく分かる。

どちらかといえば、
一番特別な美味しさを感じた。


本来ならもっと注文したいところだが、
昼に2食とったのが響いている。

もちろん明日もたっぷり食べる予定。

宮崎牛を食べられたことにはすっかり満足したので、
ほどほどにしてホテルへ戻る。


いったん落ち着いたからか、
酒が入っているからなのか分からないが、
来る時よりも膝の状態は多少よくなっている。

しかし、歩くだけで痛く辛いのは変わらない。

明日は大丈夫だろうか…

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2014年3月21日

都城駅(都城市)~延岡駅(延岡市)
走行距離:約136km(google map)

サイクルコンピュータ(CATEYE VELO WIRELESS+)
走行時間:8時間21分7秒
走行距離:146.52km
平均速度:17.5km/h

■同志を扶け、宮崎名物を食べる
(都城市~宮崎市)
■最後の宮崎名物
(宮崎市~児湯郡新富町~高鍋町~川南町~都農町~日向市~東臼杵郡門川町~延岡市)

地図の詳細
ルートラボ




生ビール
定番の生ビール

ハラミ
ハラミ。美味しい

特選ロース
宮崎牛の特選ロース

天孫降臨
天孫降臨。グラスは木挽だが

ホルモン
ホルモン。美味しい