鳥取横断(米子市→西伯郡日吉津村→米子市→西伯郡大山町→東伯郡琴浦町→北栄町→湯梨浜町→鳥取市) | 日本一周(分割)自転車紀行

日本一周(分割)自転車紀行

2010年、MR4F(折りたたみ自転車)で突然西へ。
東海道、山陽道、山陰道を駆ける。

そして2年後、再び自転車に跨る…

ただし、自転車走行ではなく自転車旅行。
観光も食事も目的だし、宿泊はホテル。
普段は自転車に乗らない。

これでも日本一周できる…のか?


翌2012年9月15日。
ホテルを出ると少し南へ。

昨夜と同じように前輪を持ち上げながら
自転車屋へと向かう。


昨夜は飲んで食べて少し忘れていたが、
当然自転車は相変わらずパンクしたまま。

出発前に何とかせねばならない。


自転車屋に着くと事情を話し、
チューブを探してもらう。


パンクというレベルを超えて裂けてしまっているため、
どう考えても通常のパンク修理では修復不能。

新しいチューブに変えるしかない。

しかし、このGIANTのMR-4のタイヤは、
24×1.0という特殊なサイズ。

店主も「あったかなぁ…」と言い残し
奥へ探しに行く。


待つこと数分。

何とか最後のひとつを見つけてくれ、
無事に替えてもらう。


しかし最後のひとつなので、
替えは無し。

昨日2回パンクしただけに、
さすがに不安が残る。

他の自転車屋を回ろうとするが、
「他の店にはほぼないですよ」とのこと。

「イオンならひょっとしたらあるかも…」と聞き、
店を後にする。



日本一周(予定)自転車紀行-米子市街を抜ける
米子市街を抜ける



国道9号を北西へ進む。

途中で国道9号は右折するが、
そのまま県道207号を直進。

皆生の交差点で右折して国道431号を東に走り、
日野川を渡ると西伯郡日吉津村に入る。


ここは周囲を米子市に囲まれた村。

萩市に囲まれた阿武町もそうだが、
稀にこういう町村があるのが不思議だ。

合併の話はあっただろうが、
それを断るだけの材料があるのだろうか。


そしてイオンモール日吉津は、
この東西僅か数百mの村にある。

広い店内を歩き回り
自転車売場を見つけるとチューブを探す。

しかし見つからない。


チューブは多く並んでいるが、
欲しいサイズは見つからない。

やはりかなり特殊なようだ。


止むなくパンク修理キットだけを購入する。

昨夜のようなひどいパンクでは対処できないだろうが、
小さいパンクならばこれで何とかなるはずだ。



日本一周(予定)自転車紀行-イオンに向かう
皆生の交差点。有名な皆生温泉はこの北

日本一周(予定)自転車紀行-大山
国道431号で日野川を渡り日吉津村へ



再び国道431号を東へと走る。

遥か先には雲を纏った大きな山が見える。
恐らく大山だろう。


大山の名称すら小学校以来記憶にないが、
意外と覚えているもの。

不思議な確信がある。

国道431号が向かうのは南東方向。
それゆえ、山間にある大山が見えるのだろう。


かつて益田で国道191号と国道9号が交差したように、
二本木の交差点で国道431号と国道9号が交差。

ここからは国道9号を北東へ進むことになる。



日本一周(予定)自転車紀行-大山を望む
遥か先に大山を望む



出雲以来の国道9号。
しばらくは相変わらず平坦な道が続く。

国道431号はイオンモールをはじめ店が並んでいたが、
国道9号に入ると大型店舗はなくなり民家が並ぶ。

そして徐々に民家も少なくなり、
気が付くと周囲は畑だらけになる。

先には巨大な白い風車が見えてくる。

いずれも山陰道で見慣れた風景。
本当に変わらない。


畑が終わると周囲に木々が増え、
それほど高くない山に入り上って下る。

本当に変わらない。


西伯郡大山町から東伯郡琴浦町へ。

こちらも安定のジョイフルで食事を摂り、
さらに東へ向かう。


東伯郡北栄町に入ったところで国道9号はバイパスに。
バイパスを避けて県道320号を進む。


ここ北栄町は「名探偵コナン」で有名な青山剛昌の出身地。

「青山剛昌ふるさと館」の看板が
そこかしこに散見する。

正直それほど興味があるわけではないが、
道沿いにあるならば立ち寄ってみたいところである。


北栄町の南には土蔵で有名な倉吉市がある。

昨日よりは時間に余裕があるため、
魅力的な標識が見えれば立ち寄ってみたいところである。


さらに東へ。

天神川を越えると、
そのまま東伯郡湯梨浜町に入る。


青山剛昌ふるさと館も倉吉市も
気が付くと過ぎてしまった。

縁がないとしか言いようがない。

風景が変わらず平坦で走りやすいので、
ひたすら淡々と通り過ぎていく。


国道179号と合流すると北東へ。
久しぶりに砂浜が見えてくる。

なんでも「ハワイ海水浴場」というらしい。

ソフトバンクのCMで少し有名になった、
あのハワイだ。


実際に羽合(はわい)の地名があるのは、
もう少し南、東郷池あたり。

それなりに知られた温泉地である。


CMの影響は大きい…と言いたいところだが、
人気は全くない。

平日ということもあるだろうが、
あまりアピールできていないのは残念だ。

これも見慣れた風景だが、
なんとなく寂しいものである。


いったん海から離れ、
高くない山を上って下る。

そして再び海沿いへたどり着くと、
鳥取市へと入る。


ここまで50kmほどだろうか。

その中でこんなに市町村を横切るのは、
山陰では珍しい。

山口県は阿武町以外は
下関市、長門市、萩市しかなかった。

島根県も益田市、浜田市、江津市、大田市、出雲市と
それなりに大きな市だけだった。


しかし鳥取はここまで町ばかり。

ひとつひとつは小さいので、
あっという間に通り過ぎてしまった。


調べてみると、そもそも鳥取県の市は、
境港市、米子市、倉吉市、鳥取市の4つしかない。

合併が流行した現在、
ここまで市が少なく町が多く残っている県も少ないだろう。



日本一周(予定)自転車紀行-下って上る
下って上る

日本一周(予定)自転車紀行-風車が見える
風車が見える

日本一周(予定)自転車紀行-青山剛昌ふるさと館の標識
青山剛昌ふるさと館の標識

日本一周(予定)自転車紀行-天神川を渡り湯梨浜町へ
天神川を渡り湯梨浜町へ

日本一周(予定)自転車紀行-ハワイ海水浴場
ハワイ海水浴場



久しぶりに少し長い坂を上る。

短い坂に慣れてきただけに、
坂が続く感覚が妙に辛く感じる。

カーブを曲がりそろそろ終わりかと思っても、
まだ上り坂が続く。

別にそれほど高いわけではないのだが、
慣れとは怖いもの。

平地が続いていたので、
妙に長く思えてしまう。


上った先は「魚見台」として
展望台になっている。

久しぶりの坂を上った休憩場所としてちょうどよく、
僕以外にも何人かが腰を下ろし海を眺めている。

自動販売機があればなおよかったのだが、
残念ながら何もない。

自然のままの展望台も山陰らしい。


しばらく休むと、
一気に駆け下りる。

この下りはなかなか急だ。

苦労して上ったのに、
あっという間に下り終える。


いつも思うが、
これはどうも釈然としない。

コツコツためた貯金を
一気に使い果たしている気分。

単なるイメージなのかもしれないが、
もう少しゆっくりと下ってほしいものだ。



日本一周(予定)自転車紀行-「因州和紙の里」も気になるが…
「因州和紙の里」が気になりつつ上る

日本一周(予定)自転車紀行-魚見台から海を眺める
魚見台より



下り終えるとバイパスとして離れていた
国道9号と合流。

再び上って下ると、
白兎海岸が見えてくる。


右手には「道の駅 神話の里 白うさぎ」が見え、
その奥には白兎神社がある。

そして左手には白兎神話の説明書きがある。


白兎神話とは要するに因幡の白兎のこと。

大国主命が傷ついた白兎を救った話で、
この海岸が舞台なのだという。

出雲大社にもあった、
御慈愛の御神像がここにもある。


観光客もそれなりに多い。

海岸はもちろんだが、
白兎神社に多くの人が見える。

これまであまり人を見かけなかったが、
さすが有名な神話の里である。


道の駅が併設されているのも大きいだろう。

あまり人を見かけないような土地でも、
道の駅には多くの車が止まっている。


ただ、食事も済んでいるし魚見台で中途半端に休んだ僕は、
そんな風景を眺めながらゆっくりと素通りしていく。


ここ辺りは平地が狭い。

左には海岸があり、
右手はすぐに山になっている。


それほど高くはないから人は住めるかもしれないが、
平地が狭いことには変わりない。

中国地方は山陽も山陰も
本当に平地が狭い。


しばらく走ると右手の山が低くなり、
木々となっていく。

平地が広くなっていくのは、
都市が近づいてきた証だ。


バイパスとなる国道9号を避け、
県道318号へ。

雑然としていた木々が整備された街路樹へと変わると同時に、
周囲に建物も増え街になっていく。


千代川を越えるとすっかり鳥取の中心街。

このままホテルへ向かうつもりだったが、
まだ日は暮れてない。


時刻は17時20分。

昨日を振り返ってみると、
日の入りは18時半くらいだろうか。

まだ1時間ほどある。


鳥取砂丘はそれほど遠くない。

「夕暮れ時の砂丘もいいかも…」
そう思い、さらに北東へと進む。



日本一周(予定)自転車紀行-白兎海岸
白兎海岸

日本一周(予定)自転車紀行-御慈愛の御神像
御慈愛の御神像

日本一周(予定)自転車紀行-白兎神社
白兎神社

日本一周(予定)自転車紀行-街路樹が見えてくる
街路樹が見えてくる



しばらく走り正面を見て目を疑う。

まさかの上り坂である。

砂丘があるのは当然海沿い。

当然平坦な道だと思って進んだのだが、
完全に想定外だ。


引き返そうかとも思いながらも足は進み、
坂を上がっていく。

そして砂丘トンネルを潜ると、
先に砂丘らしき姿が見えてくる。


が、また下って上る。
なぜこんなところに坂があるのだろうか

平坦なんてとんでもない。
鳥取市街に入ってから一番起伏がある。


距離としては僅か2kmほど。
あっという間に着くと思っていたのに…

ブツブツ愚痴を言いながら進むと、
ようやく砂丘の入口に着く。


道の右手にあるのは、
土産などを売っている建物。

そして、左手には砂丘の入口がある。

先にはスキー場のようなリフトが見える。
ただ、もう動いてはいない。

土産物屋の横に自転車を置き、
さっそく砂丘に足を踏み入れる。


さすがに広い。

浜松の中田島砂丘とは規模が違う。

なんでも東西16km、
南北2kmあるのだという。


ただ全体が砂というわけではない。

ところどころに草地があり、
東の方は草地で途切れているように見える。


コアとなる部分は1km四方程度だろうか。

それでも十分広く、
端から端まで歩くのはさすがに無理だろう。


海の方へ向かいしばらく進むと、
有名な馬の背がそびえ立つ。

高低差がある鳥取砂丘の中でも一番の丘陵。

目の前に立ってみるとかなり高く、
そしてひたすら急だ。


子どもや若い人たちは、
一気に駆け上がっている。

しかし30歳以上と思われる人は
みんな怯んでいる。

実際に坂の途中で途方に暮れている人もいる。


当然僕は怯んでいる。

自転車にはある程度慣れたが、
歩くことにはまったく自信がない。

しかし迷っていても仕方がない。
意を決して上る。


…想像通り厳しい。

中腹辺りまで上った時点で
足が進まなくなる。

足は完全に砂の中に埋まり、
靴に砂が大量に入り込む。

ますます足は重くなり、
前進を妨げる。


立っているだけでもキツい傾斜の中、
一歩一歩進む。

ようやく上り詰めた馬の背は海岸を臨み、
遥か周囲を見渡せる。

なかなかの景色だ。


一方、振り返ってみると、
入口は遥か先。

思った以上に歩いてきており、
満足感は感じながらも憂鬱にもなる。


中田島砂丘でも思ったが、
砂丘は来た道を戻らなければならない。

広ければ広いほどそれが辛くなる。


現在、時刻は18時10分。

夕暮れ時の砂丘は美しいが、
日の入りまでは30分ほどあるだろうか。

日の入りが目的だったはずなのに、
時間調整をするのを忘れていた。


これも中田島砂丘でわかっていたことだが、
砂丘は当然周囲に何もないため時間をつぶすには不向き。

日が傾いているためさほど暑いわけではないが、
さすがに30分時間をつぶす気にはならない。

きっぱりと諦めて、
馬の背を迂回しながら下りていく。


無事に土産物屋の前に戻り、
少し休む。

靴の中は砂だらけだ。

靴を脱いで砂を落としても、
どうにも落ち切らない。

サラサラした砂が、
靴に靴下に足に纏わりついている。


これも砂丘の試練。

気持ち悪さが残るが仕方がない。

一気に暗くなっていくなか、
鳥取市街へと戻る。


暗くなり始めるとあっという間で、
しばらく走ると周囲は完全に暗くなる。

県道265号から国道53号へ。

鳥取県庁の前で右折して、
鳥取駅方面へ向かう。


今日の宿は鳥取駅の近く。

せっかくなので、
宿に向かう前に鳥取駅前を軽く回る。



日本一周(予定)自転車紀行-鳥取砂丘へ坂を上る
鳥取砂丘ヘ坂を上る

日本一周(予定)自転車紀行-砂丘トンネルを潜る
砂丘トンネルを潜る

日本一周(予定)自転車紀行-砂丘の入口
砂丘の入口

日本一周(予定)自転車紀行-鳥取砂丘
鳥取砂丘

日本一周(予定)自転車紀行-馬の背
馬の背

日本一周(予定)自転車紀行-馬の背を上る
馬の背を上る

日本一周(予定)自転車紀行-馬の背より
馬の背から海を臨む

日本一周(予定)自転車紀行-振り返ると砂が広がる…
振り返ると砂が広がる…



鳥取駅前はよくあるアーケード商店街。
浜田駅前に少し似ているだろうか。

ただ規模はこちらの方が上。

それなりに広がりを見せており、
人もそれなりに多い。


店の多くは閉まっているが、
全体的に灯りが点いている。

そのため活気があるように見える。


商店街にはところどころにベンチがあり、
龍のような不思議な置物がある。

偶然そういうデザインなのかと思いきや、
電話ボックスの上にもある。


「麒麟獅子」というらしい。

獅子舞の一種なのだそうだが、
地味に配置されているので分かりづらい。


鳥取駅の駅舎は異様に大きい。

新幹線が乗り入れているかのような大きさだ。

ここは山陰本線の他に、
岡山県の津山市へと向かう因美線が乗り入れている。

旧国名である因幡と美作をつなぐ路線だ。


ただ、他に路線はなく、
ホームも4番線までしかない。

特急などが走っているため
大きくなっているのだろうか。


駅舎に入ると、
「まんが王国とっとり」の標識と幟が立っている。

今まで走ってきた路上でも
見かけたものだ。


鳥取県出身の水木しげる、青山剛昌、谷口ジローを推して、
国際まんが博なるものが開催されているらしい。

水木しげると青山剛昌は言うまでもない。

谷口ジローは今まであまり知らなかったが、
「孤独のグルメ」がドラマ化されて有名になった。

なかなかの面子である。


ただ、これだけ有名な漫画家を使いPRもしているのに、
都内では耳にしたことがなかったのが悲しい。

これが山陰の現実だ。


今日の宿は寿司店に併設された旅館。
山陰の海鮮を味わいながら休む。

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2012年9月15日

富士見町駅(米子市)~鳥取駅(鳥取市)
走行距離:約105km(google map)

■鳥取横断
(米子市→西伯郡日吉津村→米子市→西伯郡大山町→東伯郡琴浦町→北栄町→湯梨浜町→鳥取市)

地図の詳細
ルートラボ




日本一周(予定)自転車紀行-鳥取駅前
鳥取駅前は妙に明るい

日本一周(予定)自転車紀行-麒麟獅子
公衆電話の上に麒麟獅子が

日本一周(予定)自転車紀行-鳥取駅
4車線とは思えないほど大きい鳥取駅