これを読み始めた頃は、秋なのに暑かった。


読了のタイミングで寒い。

なんかものすごく季節を跨いだ感じがあります。

この本はこちらの続刊の扱いです。

ミステリー部分については前作読んでなくてもたいして問題ないのですが、なぜ彼がこんなに後ろ向きなところからスタートするのかが分からないと思うので、そういうのも含めて楽しみたい方は紅蓮館からぜひ。


感想としては、本格ミステリー好きにはたまらん構成でした。
阿津川さんはもうバリバリのミステリーでは信頼できる作家さん扱いです。

紅蓮館よりより畳みかける最後の切り札カードの鮮やかさ。
展開の変化が心地よくて、アクション映画さながらです。


大絶賛してますが実は私は結構苦労して読了してます😅

起承転結の、承と転が長い…。

もうここでどんだけ栞を挟んだか。

もっとスッキリならなかったのかなぁとモヤっていました。

ここを耐えたから結に向けてのスパートが素晴らしい読書体験にはなりましたが、やっぱ少し辛かったなぁ。
他にも並行しながら読んでいた本があったので余計にそう感じました。


ミステリー慣れしていない人にはちょっと読みづらさがあるかもしれないですが、その場合はぜひ紅蓮館からどうぞ。
こちらはもう少しライトでページ数も妥当で読みやすいので中ダレはしないかと思います。


本格ミステリーを今も読める幸せ。
このまま変わらずにいたいです。

蒼海館の殺人 (講談社タイガ)
〈Amazonより〉
館が沈めば、探偵も、犯人も、全員死ぬ 

濁流押し寄せる館の連続殺人。 
雨が止むころ、僕らは生きているのか。 

☆☆☆ 

2019年『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)がスマッシュヒットを記録し、 
2020年『透明人間は密室に潜む』(光文社)が続々ランクインの26歳による最高傑作! 
↓ 
☆「2021本格ミステリ・ベスト10」(原書房)国内ランキング 第1位 
☆「このミステリーがすごい! 2021年度版」(宝島社)国内編 第2位 
☆「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)第2位 
☆「ミステリが読みたい! 2021年度版」(ハヤカワミステリマガジン)国内篇 第3位 

☆☆☆ 

学校に来なくなった「名探偵」の葛城に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。 

政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。 
名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、 
激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。 

刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。 
新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ。