江戸川乱歩:蜘蛛男 | no mystery, no life

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本を気ままに紹介。


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蜘蛛男

 

江戸川乱歩によって書かれた探偵小説。

探偵は、明智小五郎。

 

犯罪学の権威畔柳博士のもとに、里見絹枝が訪れます。

芳江が失踪してしまい、その行方を追ってもらいたいといいます。

 

畔柳博士は、ふと新聞広告を思い出します。

「女事務員募集、十七八歳、愛嬌のある方、美術商接客係り、高給、午後三時より五時まで来談。Y町関東ビル稲垣美術店」

どこか犯罪の匂いのする広告と、その募集人の風貌に該当する芳江が繋がっているのではないかと考えます。

 

畔柳博士と助手野崎三郎は、問題の関東ビルに出向きます。

その部屋の前に一日だけ稲垣氏に雇用された平田東一がいました。

平田は、他5人のセールスマンと石膏像を無償で中学校に送る仕事を任されたといいます。

しかし平田は根っからの不良であるため、寄付することなく額縁屋へ売りとばしたといいます。

 

畔柳博士一同は、額縁屋へ行きその石膏像を購入します。

畔柳博士は石膏像を分解します。

そこにはバラバラに切断された芳江の死体が埋め込まれていました。

畔柳博士は旧知の浪越警部を呼び出します。

残忍酷薄で薄気味悪いことから、世間ではこの犯人を「蜘蛛男」と呼んでいます。

 

好みの女性ばかりを付け狙う蜘蛛男とは一体何者なのかー?

畔柳博士と浪越警部が追います。


蜘蛛男

 

↑ くたびれる一作。

 

ネタバレ感想

 

正直読み終えて、ぐったりしました。

真犯人が発覚して、乗り込んで共犯者諸共逮捕、そして大円団。

それが通常の安心して読める探偵小説の終わり方です。

しかし本作は、真犯人が発覚し乗り込むも、すでに共犯者とともに逃亡。

 

いったんは追いつめるものの警察に扮装され取り逃がす。

明智小五郎は策を張り巡らし、洋子を囮に真犯人を追いつめる。

明智が警察に駆け込んでいる間、洋子はストックホルム症候群にかかり犯人を逃がそうとするが、逆に犯人に捕らえられ強制的に情死させられる。(もちろん真犯人の死体は偽装)

真犯人は49人殺しを実現するために、パノラマ館をつくり犠牲者候補を集める。

そこで漸く明智をはじめとする警察関係者が集まり、真犯人を追いつめ、ついには自殺に至らしめる。

 

長いでしょう?

見せ場が多いのは問題です。

真犯人が畔柳博士であることは、推理小説に慣れ親しんだ方々は早々に分かるでしょう。

 

① 間抜けすぎる

 

人形と気づかないなど言語道断。本来ならば30分に一度は生存確認をすべきです。

何せ危険すぎる犯人に狙われているのですから。

それを怠り問題の時間が過ぎて、「あれ?人形?」とはいくらなんでもお粗末すぎます。

 

 

② 不可能状況を可能にしすぎる

 

密室の、しかも犯罪学権威の博士の書斎に手紙をおいたり、警戒している浪越警部の帽子に手紙を忍び込ませたり(実際は忍び込ませているふりをしただけでしょうが)、いくらなんでもリュパン でもない限りできない芸当をやっています。

やりすぎです。カー ではあるまいし。

 

 

③ 義足

 

義足で怪しむのは早計かと思いましたが、やはり義足をアピールすればするだけ、疑ってしまうのは人間心理として仕方がないと思います。

いきなり動けなくなったり・・・そしてその間蜘蛛男はあちらこちらに出没していましたから。

 

 

④ 明智小五郎の存在

 

本のあらすじに「そして彼の正体を暴き立ち向かう、明智小五郎の作戦とは!?」と書かれています。

けれど明智は3分の2が過ぎなければ登場しません。

それまでの探偵役は畔柳博士です。

これまでの展開から探偵二人で推理合戦になる気配はないですし、かといって畔柳博士が殺される気配もない。

そうなれば、探偵二人はいらないのですから、畔柳博士が犯人にならなくては釈然としません。

 

義足探偵が出た瞬間から違和感を覚えてしまっていたので、あらすじなど読まなければ良かったです・・・。

結局のところ畔柳博士が犯人で、そしてその真相に対して驚けなかったのが残念です。

この真相が明らかになったあとは、やっぱりスマートな終わり方をしてもらいたかったです。

 

洋子を囮にして捕まえるまでのストーリーは認めましょう。

けれどなぜ明智小五郎が単独で畔柳博士と対峙しなくてはならないのでしょうか?

あらかじめ警察を配置しておけばいいだけの話です。(パノラマ館ではしっかり配置していたのですから)

 

平田の行方が分からないまま、洋子を畔柳博士のもとに一人置いておくなど、阿呆の極地。

ストックホルム症候群に至っては、もはや理解不能。

なぜこのタイミング。そしてまんまと殺されるのですから、呆気にとられました。

二度三度を危機を乗り越え、最後は自らの失策。

なれば初めから殺されていてもよかったと思います。

そうすればページ数ももう少し少なくなっていたのに・・・

 

そしてさらに意味が不明なのは、突如出てきたパノラマ館です。

なぜわざわざパノラマ館を登場させたのでしょうか?

パノラマが好きだから?

乱歩のパノラマ好きには少々辟易。

影男パノラマ島奇談 も本作も、みな同じ描写なのですから、飽きが生じるのは当然です。

パノラマ館で自殺させる必要もないです。

ここまで引っ張って、自白をさせることなく自殺であっけなく物語は終わります。

 

もう読みつかれていましたから、ここまできたら犯人の”言葉”を聞きたくなりました。

改悛の情など一切ないでしょうから、せめて犯行に至った生生しい感情をぶつけてもらいたかったです。

そしてしっかり平田青年の捕縛と、浪越の嘆きを書いてもらいたかったです。

3分の2までは探偵小説、以降は通俗小説と毛並みが違うのですから、男浪越の涙物語が入っても違和感ないです(笑)

浪越が一番哀れです。

今後警察内でのポストも危うくなるのでは・・・と少々心配しました。

 

総じてグダグダな作品です。

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