no mystery, no life(本と映画と)

本と映画を気ままに紹介。


テーマ:

死者はよみがえる



ディクスン・カー名義の作品。

探偵は、フェル博士。


南アフリカのビール会社社長子息クリストファ・ケントは、友人であり実業家のダン・リッパーと賭けをします。


それは、ケントが一文無しでヨハネスブルクを出発し、10週間後ロンドンでリッパー一行とおちあうというものです。


成功したら、ダンがケントに千ポンド渡します。


その賭けに勝つため、ケントはロンドンへ向かいます。


約束の日の前日(1月31日)、ケントはロンドンに到着します。

空腹を我慢しながら街を歩いているとロジャー・スカーレット・ホテルの朝食券がひらひらとケントのもとに舞い降りてきます。


空腹に耐えかねたケントは、707号室に滞在している客だと偽り、朝食にありつきます。


朝食が終わる頃、ポーター(ホテルのボーイ)がケントに近づいてきます。


無銭飲食がバレタと思いきや、707号室に最近泊まっていた婦人が大事な腕輪をなくしたとホテルに連絡してきたため、一緒に707号室に行き、調べたいとのことです。


いまさら逃げるわけにはいかなくなったケントは、そのままポーターとともに問題の部屋に行きます。


707号室のドアのノブには”就寝中につき静かに”の札がかかっています。


その札にはさらに、赤いインキで”女の死体”と書きなぐってありました。


ポーターに鍵を開けてもらい、1人室内に入っていきます。



確かにそこには、女が横たわっていました。

衣装トランクに頭をつっこんで横たわっている女の死体が。



状況的に自身に嫌疑がかかりかねないと思ったケントは、友人フェル博士のもとへと逃走します。


フェル博士の家には、ハドリーもいました。

一部始終を話したケントに対し、二人はケントを探していたと答えます。


というのも、1月中旬ケントの親戚ロドニー・ケント首をしめられ殺されたというのです。


そして先ほどケントが遭遇した死体は、ロドニーの妻ジョゼフィン・ケントだというのです。


早速フェル博士と、ハドリーとケントは現場に赴きます。


そこでは検死が行われていましたが、ケントが見た死体の位置とは違うところで行われていました。


ケントが逃走してから、何者かが死体を動かし、またケントが探したときには見つからなかった腕輪をその部屋に残していったのです


一体誰が、なぜ?




no mystery, no life-死者はよみがえる





↑ フェアかアンフェアか・・・



ネタバレ感想


アンフェアの臭いがプンプンします。

名作ではなく、怪作の部類に入ると思います。


まず、なんと言っても、犯人推測できるわけがないでしょう。

決して重要人物ではないです。


通常ならともに行動している一味にフォーカスを絞り、そこから真実を探り出すものです。


しかし、今回の犯人は変化球です。


まさか、そうなるとは。


一回目の犯行は、確かに不可能ではありません。

十分に可能です。


しかし、二回目の犯行は・・・。

その犯人には鉄壁の空間アリバイがあるんですよ。


確かに秘密の通路に関しては、全364ページの中で一言記載されていますが、隠しすぎでしょうに。


秘密の通路を使って、警官の制服を取りにいくとか、そしてその制服がホテルの制服と似ているとかご都合主義以上のものがあります。


凄まじいです。



そしてこの秘密の通路のおかげで、内部犯行説から一転して外部犯行説になります。


外部犯行説をささえるシーツ押入れの窓もありますし。

これは、地図には掲載されていますが全く描写がされていないですよね。


本来なら内部犯行を決定付ける前に、この窓が非常階段と非常に密接している点を指摘し、その上で外部犯行説を看破してもらいものです。




最後の大円団、フェル博士の推理にはある意味納得です。

確かに、言われてみれば、風変わりな殺し方ですし、犯人の空間アリバイが崩れる根拠も明記されてますし、あれだけ隠匿していた過去が土地名で一致しますし。


分かります、言われれば分かります。


それが良く言えばうまく隠されすぎているせいで、悪く言えば小粒な理由すぎてアンフェア感が否めないのです。



総じて決してつまらない駄作ではないです。

けれど、本流でもないです。


間違ってもカーをはじめて読む人にはお勧めしません。


ある程度カーを読んだ方専門ですかね?



ちなみに最近カー作品はHMばかりでしたので、フェル博士がいいおじいちゃん過ぎてちょっと退屈。


おちゃめではあるんですけどね。

HMの破壊力のほうが好きです(笑)






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