『インスタントコーヒーのおかわりは?』

常識を超えた謎に天才物理学者・湯川が挑む短篇集。「容疑者xの献身」を生んだ人気連作ミステリィのシリーズ第一弾。


警視庁捜査一課・草薙刑事が難解な事件に対し、帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学に助言を求め、不可思議な事件を根本から解明していく科学ミステリィ。
常識の範疇を超えた奇妙に思える事件や、理屈では考えられない超常現象のような事件などを、問題となる現象(事件)に対し、些細な疑問点と緻密な観察から論理的な思考で原因を導き出し、真相を究明していく。その過程は、原因と結果という因果関係が見事に結ばれる道筋で、どのような不可解で不可思議な現象でさえも、結果が生じたからには必ず原因である理由は存在し、また、しなければならない、という世界を構築する理である法則は全てにおいて通用するはずで、その接点を深い洞察と科学的な知識と着想の飛躍で結び付ける。

例え信じられないような結果でさえも、その原因は科学的に証明できる現象であり、不可思議な現象は決して超常現象でも偶然の産物でも何でもなく、科学の力で解明できる場合は非常に多い。世の中に存在する謎が謎であり続ける場合はむしろ少なく、それは科学の進歩と歩みを共にし、僅かながらの進展の積み重ねと科学者たちの弛まぬ努力で徐々に解明されていく。


学生時代からの友人である、典型的な文系タイプの草薙刑事と、湯川助教授こと「ガリレオ先生」のコンビは、対極に位置する2人の存在であるからこそ、様々な視点から事象を認識することが、その中に潜む真実を浮かび上がらせる、ということを示している。
事件に対するアプローチの方法も、視点も、考え方も異なる思考過程は、求める解は共通であっても、その道程は決して一意には定まらない現実であるし、解釈の仕方により物事は単純になったり複雑になったり自在に姿を豹変させる。それらに対する”正しい見方”という本質を見抜く目を養うことこそが論理的な思考過程であり、ミステリと科学を融合させることにより実現した本書は、作品の魅力が数倍にも増幅されている。


「容疑者xの献身」(ガリレオシリーズ第3弾の長編)を経験してから遡って読んだシリーズ初作品の本書は、短篇らしく非常に読みやすく、謎解きもシャープで非常に満足できる内容。
更に、フジテレビ(CX)で10/15から放送される、出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝のドラマ「ガリレオ」も、原作と若干設定が異なり、どのような演出がされるのか強く興味が惹かれる。

『科学者だって、冗談をいう時はあるんだよ』


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