我らの罪を許したまえ | 謎のこうのとり 


謎のこうのとり


内容(「BOOK」データベースより)

1284年の冬、南フランスの司教区で、司教が何者かに惨殺される。
シュケ助任司祭は殺人事件の真相を調べるため、
謎に包まれた司教の過去を求めてパリに旅立つ。
時を同じくして新しく着任した司祭アンノ・ギは、布教活動を立て直すため、
呪われた村に潜入し、村人に正しい信仰をとりもどさせようとする。
いっぽうローマ教皇庁には、不祥事を起こした息子を救うため
、高名な騎士が現れる。
別々に進行するこの3本の軸は、はたして何処につながっていくのか?
中世の深い闇と幻想。古い裁判記録が語る、消された歴史とは何か…。
やがて読者は、予想もつかない恐ろしい結末へと導かれる。


本の表紙絵はヒエロニムス・ボス 「トンダロの幻視」
15世紀末に出版された「トンダロの幻視の書」をモチーフにしてボスが描いたと
言われている。
最近、スーツケースからっぽ事件やら、乗り遅れ事件やら、恐ろしい夢を見る。
しかし、このトンダロさんは、ボスの絵のような来世の罪びとをむさぼる化け物が何度も
登場する夢・・・悪夢を見るようだ。

中世ヨーロッパ、絶大な力を持った教会がその力を維持するために
神の教えとは全く相反する事を犯してしまう。
「メギド」、ヨハネの黙示録ハルマゲドンの最終決戦を行った地とも言われている。
そのメギドがこの本では誰にも忘れられた南フランスの小さい村。

長い間封印されていた謎の真相が解き明かされたとしても
あまりにも多くの犠牲がありすぎて、読後「これでいいずらかー」と
叫びたくなる。

誰かが大切なことは隠し、虚構の世界を作り上げている・・・これは現代でも同じ
ことかもしれない。