ある兄の日記、二回目

テーマ:

 最初の記述からだいぶ経ってしまった。これも一重にタウリィのせいだ。

 ここ暫くの記憶は授業とバイトとタウリィの世話だけだ。

 退院してからのタオリィは文字通り「借りてきた猫」だったが、半日も立たないうちにやんちゃぶりを発揮した。そして物を壊すのだ。空の貯金が借金でマイナスになってしまった。子供に金利をつけるなんて何て親だ。もっとも、親は両方ともタウリィを気に入ってるのが不幸中の幸いだ。

 それにアンニャローだ。あいつはサークルが忙しと遅くまで帰ってきやがらない。だからボランティアはやめとけって言ったのに。

 また愚痴になってしまった。

 だが最後に一言だけ書いときたい。タウリィ、いくら親公認とはいえお前は猫なんだから、俺のベットの上でで当たり前のように寝ないで欲しい。

 さて、寝る時間だ。新しい布団も買わないとな。この年で毛布一枚で寝るのはきつい。

ある兄の日記、一回目

テーマ:

 今日、ネコが退院するのを機に日記を書くことにした。

 おそらく書き込むのは不適になるだろうが可能な限り書いていきたい。

 とりあえず最初なのでネコのことを書こうと思う。

 このネコは妹の初運転の時に轢いたネコだ。

 名前は、俺は「みぎゃ」とつけたかったが妹が反対し、かわりに「タウリィ」と妹が名づけた。

 若い牝だ。

 怪我の具合は後ろ左足としっぽの骨が折れてたが、もう完治したらしい。

 一応、これからは家で飼う事になっている。

 大学二回落ちてもしなかった土下座を両親にして、何とか許可を得た。

 条件は俺が世話をし、俺が金を出し、俺が全責任を負うことだ。

 車の修理も俺が出したので5年間ためた貯金が空になった。

 そういえば轢いたのは妹なのに尻拭いは全部俺がやってるな。

 愚痴は止めよう。

 もうタウリィを迎えに行く時間なので今回はここまで。

 「……んぁ?」

 「オハヨ、ずいぶん寝たね」

 「あ? あぁ」

 「もうすぐ出口だからね」

 「出口? 何の?」

 「何のって、高速のだよ。帰る途中でしょ?」

 「あぁ、そうか」

 「もう少し寝ててもいいよ、着いたら起してあげる」

 「うん……あのさ」

 「な~に~」

 「いやさ、何か記憶があやふやで、何でここに座ってるのかもよくわかってないんだよね」

 「ちょっと、大丈夫?」

 「どうだろ。置いてかれた辺りまでは覚えてるんだけどね」

 「置いてかれた? 誰が? 誰を?」

 「追いてったろ? 何か、お前が変な誤解してさ」

 「……ねぇ、ホントに大丈夫?」

 「違うの?」

 「今日は、私が免許を取ったから試しにドライブに出て、あっちこっち探検してたら間違えて高速に乗っちゃって、そのまま海とか見たんじゃないの?」

 「……概要は合ってるんだけど、何か重大事件がごっそり抜けてるな」

 「抜けてるって、お兄ちゃんが派手にこけて顔面怪我した事とか?」

 「そうだっけ?」

 「そうだよ。それ以外にも手本を見せてやるって運転してたらガードレールに擦ったり、競争だって勝手に走り出して止めておいた車にダイブしたり」

 「す、すごいハッスルぶりだったんだな」

 「今日の事でしょうが。しっかりしてよね、車壊したのもちゃんと説明しなきゃいけないんだし」

 「うん……ごめん」

 「そんな浮かない顔しなくても大丈夫だよ。お父さんには一緒に謝ってあげるからさ」

 「変な夢でも見たんじゃないの?」

 「そうか……夢だったのか」

 「それはそうと、もうすぐ出口だから財布出してよ。行きは私が払ったんだからね」

 「あ、うん」


 カードヲオイレクダサイ


 「あれ? 行きのレシートが入ってる」

 「貧乏性のあんたが捨てずに取っといたんでしょ」

 「そうだっけ?」

 「そうだよ、お兄ちゃん」

 「そうか」


 アリガトウゴザイマアシタ


 「何かしっくりこないな」

 「そういやお母さんたちも泊りがけで出かけてるんだっけ? もういい年して、何やってんだろうね」

 「何で、曲がるんだ?」

 「え? だって、どこかでご飯食べてくでしょ?」

 「こんな時間にやってるかな?」

 「きっと探せばあるよ」

 「探すぐらいなら一度家まで帰って、そこからコンビニにでも行けばいいじゃん」

 「でもさ大変じゃん。イッペン帰ってから出るのってさ」

 「なら、俺一人で買出しに行ってもいいよ。今日は色々と迷惑かけっぱなしだったみたいだし」

 「悪いよそんなの、お兄ちゃんも疲れてるでしょ?」

 「……話したっけ? 予備校に通ってたころに、俺も猫を殺した事があるって」

 「何よいきなり」

 「正確には見殺しにしたんだけどね。あん時はかなり凹んだ」

 「へぇ、初耳」

 「だからさ、何て言うか。ゴメンな」

 「……何かムカツク台詞ね。まぁ別に、最後まで誤魔化せるとは思って無かったけど」

 「口調が戻ったな」

 「何? そんなにお兄ちゃんって呼ばれてたのが嬉しかった?」

 「目さえ笑ってたら、ね」

 「でも私は、猫なんか轢いてないからね」 

 「それなら見てみようって……通り過ぎたか?」

 「戻らないからね」

 「お前は、それでいいのか?」

 「別に。今更煎餅になった猫引っぺがしてもしょうがないでしょ?」

 「でもさ」

 「五月蝿い! 何よ、人が下出に出れば図に乗って! 結局そうやって私を責めて楽しんでんでしょ! 自分が嫌われたのを根に持って、だからあんたの事がダイッキライなのよ!」

 「……あのさぁ」

 「何!」

 「いや、あそこに尻尾が千切れかけてる猫がこっちを見てるな~って」

 「今度はホラー路線ですか。今時呪だ何だって、そんなに人の弱味を握りたいの?」

 「いいから見ろよ。ほら」


 バタンッ


 「おい! ハンドブレーキぐらいしてけ!」


 ハヤクビョウインヘ!!


 「ったく、やっぱツンデレじゃんかよ。早く乗れ! 今度は俺が運転してやるよ!!」


 Fin

生きにくい世の中だから

テーマ:

心に突き刺さったトゲを

無理やり引っ張り出そうとして

誰もいないところで血を流して

みんなの前では平気なふり


どす黒い血の色を知らない君達を

本当に心から愛しているから

君らみたいに不器用でいいんだって

言わせてくれないか


世間が本当に住みにくくて

よくできた金魚鉢の中で

うまい具合に泳がされているのさ


神様なんて不満を言う為に持ち出してきて

なんで不公平な世界にしたんだとか

目の敵にしてしまうんだ


あなたと悲しみを分かち合いたい

傷を舐め合うわけじゃない

ただ あなたと一緒にいたいだけなんだ



 それだけ決まってまだ何にも書いてません。多分、今月中にかければいいほうです。自分で読み返すとなかなか酷いもので、お恥ずかしい。新学期も始まり、新入生の事もあるのでこれがやっとです。まぁどうせ誰も読んでないんだし、気長にやらせてもらいます。では、また。

二人乗りの冒険~7-2

テーマ:

 財布は取られた。
 携帯は取り忘れて車の中だ。
 さて如何するか。


 車はおろか人通りも無い、殺されても朝まで見つけて貰えないだろうな。
 てか何も無いし、家も店も明かりすら無い。
 ホントにココは日本か?
 歩いて帰るにしても距離があるしな。
 と、なると残ってるのは、我が愛しの妹に機嫌を直してもらうしかないか。
 いくらあいつでも土下座して足の裏でも舐めれば許してくれるだろう。
 だけど、あいつは今何処だ?
 一応、ツンデレだから遠くに行ってるとは思わないが、だけど探しに出てすれ違ったら悲劇だ。
 連絡手段は車の中だし…待つしかないか。


 しかし参ったね、バレてんのよーだってさ。
 昔は自分の方が付きまとってたくせによく言うよな。
 まぁ確かに、普通の兄じゃないって事は認めるけどさぁ。
 だけど血が繋がった兄妹だぜ?如何すりゃ好きになれんだよったく。
 そこんところが分かってないんだよな、あいつは。
 夢見る乙女ってぇのも悪いとは言わないけどさぁ、それでも限度があるだろうに。
 自分がどうだた考えてみれば、ありえないって分かるだろうに。
 それこそ、自分の胸に手を当てて考えればってやつだ。
 これだからゲーム世代は困るんだ。


 愚痴っててもしょうがない、今のうちにこれからの事を考えておかないと。
 当面の問題はあいつの誤解を如何解けばいいか、だ。
 難しいな。
 多分あいつは、急に優しく接するようになったから勘違いしたんだ。
 ってことはだ、接し方を元に戻せば誤解が解けるかもしれない。
 できれば、の話だな。
 だいたい、意識して優しく接してるわけじゃないんだ。
 それなのに無理して急に前の状態に戻るとなると、余計悪化しそうだな。
 考えてみればそういう変化があいつを不安がらせてるんだろうし。
 別にそう思われてもかまわない、だけどそれであいつが傷つくのはイヤだ。
 ったく、如何すりゃ良いんだよ俺は。


 そういや、あいつも猫を轢き殺したんだっけ。
 それでこんな所に連れて来られたんだっけ、すっかり忘れてた。
 たかだか交通事故でココまでやるか?
 まぁそれだけショッキングだったって事か。
 でもあいつが猫を轢いても、何故かあの時ほど驚かなかったな。
 同じ猫なのにえらい違いだ。
 自分が殺すと屍が瞼に焼き付くのに、人のだと何も感じないんだ。
 あん時は泣いたもんだが、な。


 あの猫を殺した時も、こんな夜だっけ。
 やたらと風が冷たくて、月がクッキリと浮かんでいた。
 事の始まりは気紛れだったな。
 その日、何となく予備校に行くのに遠回りしたんだ。
 そんであの、予備校の裏にある公園に行ったんだ。
 公園て言っても何にも無いとこだった。
 それであのダンボールを見つけたんだ。


 話には聞いていたけど、実際に見るのは初めてだった。
 おそらくこの猫たちは三匹まとめて捨てられたんだろう。
 だけど、俺が見た時に動いているのはあの一匹だけだった。
 それも素人が見てもはっきりと分かる位、やせ衰えていた。
 正直、運命を感じた。
 一目ぼれと言ってもいい、とにかく俺はその猫を助けようと思った。


 それなのに俺は、殺した。


 月が残酷なぐらい明るかった。
 何の慈悲も無く、クッキリとダンボールの中を照らし出してた。
 あの時、あの瞬間に行動する事を、俺は躊躇した。
 今思えばマヌケな話だ。
 予備校が始まる時刻が迫ってきていたからって、衰弱していたあの猫を俺は、置き去りにした。。
 俺は何を血迷ったのか、そのまま予備校へ向かったんだ。
 帰りに迎えに来ればいいか、なんて楽観的な考えでその場を離れたんだ。
 あんなにか細い声で鳴いてたのにさ。
 馬鹿みたいに、数学の時間に名前なんか考えてた。


 何だ、俺って最低じゃないか。


 何でそこまで分かってて、あいつに優しくしてやれなかったんだ。
 あいつだって、不安だったんだ。
 初めての運転で、しかも隣には俺みたいなやつが座ってて、平常でいられるわけがない。
 そんな時にあの事故だ。
 不慮とは言え、猫を殺したんだ。
 どうしていいか分からなかっただろう、きっと誰かにすがりたかったのに違いない。
 なのに俺は、さも偉そうに説教なんかして、あいつを余計追い詰めてた。
 こんな所までつれてきたのは俺の方じゃないか。
 分かってないのは、俺の方だ。
 きっと前々からそうだったんだ。
 あいつが苦しんでる時には何もしないで、気が向いた時だけベッタリとへばりつく。
 そんなんじゃ変体扱いされるのも当然だ。
 結局、あの猫を殺した時から何も変わってない。
 俺は自分の事しか考えてないんだ。
 俺は、最低だ。


 もしも、あいつが迎えに来てくれたら、全部正直に話なそう。
 あの猫の事も、俺があいつを本当はどう思っているかも、あいつには知る権利がある。
 そうしなければ、これからずっと眼を合わせられなくなる。
 たとえ憎まれる事になっても、俺は話さなきゃいけない。
 その上で心から謝ろう、償いもしよう。
 できる限り償いをして、それでもダメなら潔くあいつの前から消えよう。
 そうしなければ、あの猫も浮かばれない。
 もう俺は、あの時みたいな後悔はしたくない。


 あいつは、本当に優しい。
 あいつはちゃんと来てくれた。
 それでもやはり、いきなりは難しいらしい。
 今は遠くで様子を見ている。
 それも仕方ない。
 俺は置いてかれてもしょうがない事をしてきたんだ、来てくれた事だけでも感謝しなくちゃいけない。
 車がこっちに向かって来る。
 如何しよう、最初にな何て言うべきか。
 やっぱり最初にキチンと謝っておきたい。
 今までゴメンって、ちゃんと言いたい。
 いや言わなきゃいけない。
 いくら優しいと言っても、許してくれるとは限らない。
 もしも許してもらえるなら、今度こそあいつを支えてやろう。
 そうだ、誤解も解かないといけないな。
 あいつが望んだとおりの、正しい関…


〈ツヅク〉

二人乗りの冒険~7

テーマ:

 これは、私のせいじゃない。
 あいつが全部悪いんだ。
 私が悪いんじゃない。


 あいつを降ろした空き地からすぐのコンビニで、私はあいつが泣きついてくるのを待ってた。
 携帯を持ってるからメールか電話か、何にしろあいつには私に頼るしかないんだ、必ず連絡を取ってくる。そう確信していた。
 泣きついてきたら素直に許してやろう。でもタダでは乗せてやらない、晩御飯くらいはあいつの財布から出してもらわないと。
 おごらせるなら何にしよう?焼肉か寿司か、フレンチでもいいな、でもあんまり高いのは可哀想かな?
 そんな妄想を、一人で思い浮かべてた。


 あいつと別れてから一時間、ずっと待っていたが何の連絡も無かった。
 その時の私はどうしようもないほど不安だった。
 こちらから連絡するか…いや、もしも無事ならあいつが
 意地を張るような性格ではない。何かトラブルに巻き込まれたのだろうか?如何しよう、もしも何かがあったら私のせいだ。
 あいつが怪我をしたら私が責められる。あいつが死んだら私が恨まれる。あいつの不幸で私が不幸になる。
 いや、自分にまで嘘をつく必要は無い。私は、純粋にあいつの事を心配していたんだ。
 今こうしている間にもあいつは大変な事になっているかもしれない。
 嫌だった。会えなくなるとか嫌われるとか、考えるだけでも嫌だった。
 だから私は様子を見るだけと言いつつ、助けに行くつもりで車を出したんだ。


 空き地にまだ残っているとは思っていなかった。夜も更けてさむくなってきたし、どこかいい如何しただろうと思っていた。
 それでも空き地に行ったのは他に行くべき場所がわからなかったからだ。たとえ本人がいなくても、何かしら痕跡が残っているかもしれないと考えたからだ。
 なのにあいつは、そこにいた。何をするでも無く、空を見上げながら、そこに立っていた。
 ご丁寧にあいつは私が降ろした場所から一歩も動いていないようだった。
 ショックだった。つまりあいつは、初めから知ってたんだ。
 でなきゃ待ってるはず無い。あんな酷い事をするような女を待っていられるはずが無い。
 あいつは、私の恋心を知ってたんだ。


 惨めだった。
 思い出すこと全てが惨めだった。
 色々と理由をつけては部屋に上がりこんでいた自分、義理と言いつつ本命のチョコを渡ていた自分、会えなくて寂しくて泣いてた自分、全部が惨めだった。
 受験の時だってそうだ。プレッシャーに負けそうで、励まして欲しくて、それで夜中に部屋に行って、かまって貰えないからって八つ当たりして。
 だけどあの夜に気付いたんだ、このままじゃダメだって。だから離れるようにした、これ以上悪くならないように、これ以上すきにならないように。
 私が変わってもあいつは変わらなかった。それが余計に辛くて、苦しかった。
 馬鹿だった。あいつはそうやって遊んでたんだ。
 わざと隙を見せて、利用して、そして突き放して、良い様に私を操ってたんだ。
 本当に、今思えば惨めだった。


 多分、私があいつを見つけてから三分ぐらいしかたってなかったと思う、あいつは私を見つけた。
 その場を動かずに、大きく手を振って、顔が見えなくてもあいつの顔が満面の笑みだと感じられた。
 優しい笑顔、昔好きだった笑顔、今もまだ…そう考えていたら、あいつがそばにいた。
 無意識のうちに私はアクセルを踏んで、あいつに向かって爆走していた。
 正直、避ける事もできた。
 頭にも浮かんでいた。
 だけどできなかった。いやしなかった。
 よけたら負けた事になる、また利用された事になる。
 それが嫌だった。
 だから、私はあいつを刎ねた。


 猫よりも衝撃は大きかった。
 だけど猫よりも心は痛まなかった。
 車に轢かれたのも、そこに転がっているのも、全部あいつが悪いんだ。
 私が悪いんじゃない。
 あいつが悪いんだ。
 私のせいじゃない。
 あいつが…


 〈ツヅク〉

幻想妄言ワンダーランド

テーマ:
眠りの浅い日中にこなすバイトのしんどさと言ったら何事にも変わることのない睡魔という名の悪魔の成せる仕業であって徹夜明けに見た映画の素晴らしいこと。自分の人生を映画化したとするならばどれだけの人が共感を与え感動することがあるだろうか否そこら中に散らばる何億もの命の中のひとつなど何を与えられるのだろうか。視覚、聴覚の二大感覚を持ってしてもやはり与えることは睡魔くらいなもので僕は今日も店頭に佇み本にカバーをかけて袋に詰めるのです。アルバイトである一個人が漠然と過ごす単調な日々を映像化したらさも滑稽なのだろうなと思うのだけれど陳腐なバラエティー番組よりインパクトは十分であり不十分だ。合計二時間程度の日常生活を個人の視点から固定してノンカットで上映(無声)すれば観客側に100%想像を提供することができる映像界でも画期的で衝撃的な新人として取り上げられて非難罵倒を浴びせられ凹む毎日。そんな幻想を抱くピュアなハートをガッシリ掴んでくれる人募集中。今ならもれなく僕の365日を贈呈できそうな勢い。