こちらは磁石(和翔)です❤

BL展開なので、苦手な人は回れ右で。

完全フィクションにつき、実際の人物とは何の関係もありません。

初めましての方はこちら。 





お誕生日お祝い記事はこちら。 








翔くん誕生日記念話、第2弾💛💛


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俺は、二宮和也。

高校3年生。




俺には物心つく頃から大好きな『お兄ちゃん』がいた。




何人かいる親戚の中でも1番年齢の近いその人。

二重まぶたで長いまつ毛が可愛いパッチリした大きな瞳は、同年代の女の子よりめちゃくちゃ可愛いって、いつも幼心に思ってた。

               

俺も色白な方だから、小さい頃の写真は二人揃うと姉妹みたいだって、母ちゃんたちがよく言ってた。

 


(かず~、一緒に食べよ~)


その人は、いつだって俺に優しくて。

自分が食べてるお菓子を俺も欲しそうにしてたら、絶対分けてくれたり。

遊びだっていつも俺に合わせてくれた。


(しょおちゃん、おトイレ……)

(えー……わかったよぉ……おいで)


どんなに眠くても……夜、トイレに付き添ってくれるのも絶対その人だった。


(和~一緒に寝てよぉ……)


ホントはめちゃくちゃビビってたって知ったのはずいぶん後だった。



大人もたじろぐ程に口が達者で、頭がいいけれど、片付けが苦手な彼はよく叔母さんに怒られていた。

ぶきっちょで、ちょっとばかりガサツなところはすごくからかいがいがあって。 


(翔ちゃん、部屋荒れすぎ……)

(なんだよー、もう)


ぷくーっとほっぺを膨らませて拗ねるのが可愛かった。


(可愛い可愛いって……俺、男なんだけどっ)


唇を尖らせながらそんなこと言われたって、可愛いものは可愛いんだから仕方ない。





昔ほど会えなくなったけど、正月とか夏休みとか……とにかく親戚の集まりがある時、彼はいつもそこにいて。



(和、頭いいねぇ)


彼は知らない。

彼に頭悪いなんて思われたくなくて、親にも隠れてめちゃくちゃ勉強してたこと。


(和、絶対いい旦那さんになるよ)


彼は知らない。

いつまで経っても料理が壊滅的に出来ないのを見越して、料理をこっそり習ってたこと。


(和~)


彼は知らない。

家族愛だと思っていた俺の気持ちが……恋だったこと。





可愛いだけだと思っていた笑顔が、会う度にちょっと大人びてとっても綺麗に見えるようになって……

いつからか、胸がキュッと締め付けられるになったこと。



可愛くて、美人で、自慢の従兄を周りが放っておくわけもなくて……高校では彼女がいない時なんてこれっぽっちもなかったとは、叔母さんの話。

それを聞くのが辛くなって……親戚の集まりに顔を出せなくなった。

我ながら、だいぶチキってたなって今なら思う。


でも、そのうち翔ちゃんも学業とアルバイトが忙しくなって……大学に入ってからは、すっかり疎遠になってしまった。




翔ちゃんへの淡い恋心を持て余しながら過ごし、いつの間にか俺は、『受験生』と名のつくその学年に3年振りになった。



そんなある春の日のこと。

突然もたらされたその知らせ。


(和、翔ちゃんさー……実家出るってー)

(えっ?嘘……なんで?)

(勤めたい学校が実家から遠いみたいよ?)


翔ちゃんが、教師をめざしてるのは母ちゃんから聞いて、知ってたけど。

都内だと思ってたのに。


(いつ行くの?)

(えー、いつだったかな……あ、そうそう!翔ちゃんの教育実習の写真見る?叔母さんが送ってくれたのよ~)


見せられた写真は……記念に撮ったんだろう。

実習で受け持った生徒と、実習生同士のと二種類。


(……!)


久しぶりに見た翔ちゃんは、やっぱり目が覚めるみたいに可愛くて綺麗だった。

でも、俺が目を留めたのはそれだけじゃない。

男女問わず、彼にまとわりつくかのように寄り添う人間の手。




これ、絶対下心あんだろ……!





俺ははっきり自覚した。

やだ。

男だろうが女だろうが、大好きな翔ちゃんを盗られたくない。

だけど、遠くに行ってしまえば……遅からず……



疎遠になっていたのを、後悔した。

こうしちゃ、いられない。

 



これは、最後のチャンスかもしれない。

俺の初恋を実らせる綿密な作戦を早急に立てなくては。




こうして俺は、最初の1歩を踏み出した。






To be continued……




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