櫻葉区分ですが、相櫻です(>_<)
今後、BL的表現あり。これは素人自己満足のために書く妄想小説です!!実際のものとは一切関係がありません汗。

大丈夫な方のみ、前へお進みくださいm(_ _)m



初めましての方はこちらへ。

前の話は以下です。
 



 






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Side A







Amore。
それは、愛しい人という意味を持つイタリア語。
恋人だけでなく、家族のような大切な人を指す言葉。



大切な人が誰かを思い浮かべれば、オレの頭に浮かぶのはたった一人しかない。

可愛くて、頭が良くて、優しくて。
年々色気が増している、オレが愛してやまない人。
だけど色んな意味でちょっと残念な人でもある。
それは……何でもできそうでいて実は不器用だとか、そういうんじゃない。そこはギャップ萌で可愛いだけだから。
彼が残念なのは……オレ以外の人に愛想を振りまいて、中々独占させてくれないところ。

もちろん、その服の下の綺麗な体に触れることを許されてるのはオレだけなんだけど。
時折、他の人より優先順位が下がってるんじゃない?ってクレームを入れたくなる……。
オレのAmoreは……そんな人だ。



しばらく忙しくてゆっくり会えない日が続いたその夜。
オレは彼の控室に乗り込むことにした。
今日の彼のスケジュールは日付を超えるまで。
でも次の日は一日オフだ。
オレよくバカとか言われんだけどさ。
……さすがにこの機会を逃すようなバカはいないでしょ?

事前に聞いた部屋を探して、ノックをする時間すら惜しいほどに高速で扉を叩いた後、オレは勢いよく部屋に飛び込んだ。

「翔ちゃん!」
「え?あれっ?雅紀?!」

目当ての愛しい人は突然現れた俺に、大きな瞳を丸くして驚いていた。

それもそうだ。
オレは今日『会おう』なんて一言も約束してない。
もちろん一日オフの明日は前々から押さえてた……。
でも待ちきれなかったんだ。

会おうと思ってもお互いに中々会えないのに、仕事はもちろん、こちらが何かしらのアクションを起こさない限り、オフの日もガチガチのスケジュールを組み込んでしまう彼は、もはやビョーキとしか思えないほどで。

それなのに、彼と来たら。
『体調は変わりないか?』とかは言ってくれるけど、『会いたい』とは全然言ってくれない。
オレはめちゃくちゃ会いたいのに。
ちょっと前の流行りのラブソングみたいに……リアルで『会いたくて会いたくて震える』状態だよ。
なのにどうしてこんなに余裕綽々と笑っていられるの。


「雅紀、今日こっちだった?」
「翔ちゃん」
「ん?」

彼の言葉に被せるように、ため息混じりにその名を呼ぶと……彼は首を傾げて優美に笑う。
思わずドキッとするほど、魅惑的な笑顔はもう何人もの人を虜にしてる。
気づいてないのは本人だけ。
オレがどれだけヤキモキしてるか知ってんの?

彼との距離を徐々に詰めて、壁際に追いつめる。
逃げられないように、彼の顔のすぐ横の壁に手を置いて、相変わらずオレの胸を渦巻くどす黒い感情にまるで気づかないような素振りの彼の顎をクイッと上向かせた。

「雅紀……?」

困ったような声音。大きな黒い瞳がどこか潤々して見える。可愛い。ここで押し倒したいぐらい可愛い。
でも、ここは仕事場。
我慢しないと、彼に嫌われてしまう。
それは嫌だった。

「仕事いつ終わる?」
「……」

衝動を押し殺して尋ねると、翔ちゃんははぁ……と小さくため息をついた。

「今日はマジで疲れてるから……多分出来ないと思うよ?」
「………」

少しすまなさそうな顔をしたのは、俺がショックを隠しきれてなかったからかもしれない。
確かに翔ちゃんの忙殺ぶりはハンパないけれど。
散々オレのこと放っておいて……そんなつれないことを平気で言うなんて。
明日はお互いに一日休みなこと、まさか忘れてるんじゃ……?

「ねぇ、翔ちゃん?明日休みだよ?」

鼻息荒く尋ねると。

「知ってるよ。でも一日……いや、数時間早ぇんだって……」

噴き出すように笑うから、ますますムゥっとなる。
オレをからかって面白がってるんだろうか。
だってさ、次はいつ会えるかわからないのに。
……オレが黙って恨めしげに見つめていると。
ふいに翔ちゃんが笑った。
からかうんじゃなくて、子供を宥めるような柔らかな笑顔。
……いちいちそんな笑顔に惚れ惚れしちゃうオレはホントに手のひらで転がされてる気がする。



「だからな……雅紀……」
「……っ」

顎に置かれたオレの手を握って。
もう片方の手でオレの後頭部を引き寄せる。
綺麗な顔がぐっと近づいて、チュッ……と、可愛らしい音が響く。
びっくりして目を閉じることすらできなかった。
翔ちゃんの香水の香りがフワッと鼻を擽る。

「今はこれで我慢して?ごめんな?」
「………!」

優しく微笑んで、頭をポンポンと撫でる。
子供だましみたいなキス。
一瞬の柔らかい感触がオレの唇から全身に焦燥感を広げていく。
翔ちゃんはなんて可愛くて残酷なんだろう。
このキスでオレを宥めようとでも思った?
逆だよ、逆!!
やっぱり……翔ちゃんは分かってない。
オレのことも……自分のことも………
頭に置かれた手が離れる寸前に、捕まえる。

「翔ちゃん」

思ったより低い声にびっくりする。
でも……仕方ないでしょ?
こっちは翔ちゃんの立場が悪くならないようにって、色んな欲望を抑えてるっていうのに。
天然なのか故意なのか知らないけど、サラッと煽ってくるんだから、オレのせいじゃない。

「………」
「?おい……」

こうなったら。
オレからその小悪魔な彼の細い腰が立たなくなるようなものをお見舞いしてやろうか……
掬い上げるように腰を抱き込む。
密着した体からオレの熱が伝わったのか、翔ちゃんが目を見開いて、つい頬が緩んだ。
それからそのぷっくりした唇にもうあと数ミリ……まで近づいたところで。

「櫻井さん、お願いします」

タイミング悪く、翔ちゃんを呼ぶ声とノックの音がした。
あぁ……もうっ!

「〜〜〜っ」

あまりにも残酷なタイミングに悔しさがこみ上げる。
オレは思わず翔ちゃんの華奢ななで肩に頭を埋めた。

「くそー……」
「フフっ。時間切れだな」

オレの反応を面白がる声がして、恨めしげに大きな瞳を見返す。

「……翔ちゃん」
「今日多分かなり遅いよ?」
「え?」
「お前もさ、家帰ってちゃんと休めよ?もう終わってんだろ?明日のことはまた連絡するからさ」
「………」
「じゃあな」

またポンポンとオレの頭を撫でて、通り抜けていく翔ちゃんの香り。
捕まえたいけど、第三者が外にいる手前……それも出来ず、腕が虚空を舞う。

扉を開けると、外にいたスタッフは部屋にいたオレに驚いてた。『仲いいんですね』って言われて『まぁね』と軽く返す翔ちゃんの声が、遠くなっていく。

さっき触れ合った唇に指で触れた。
渇きはピークだ。

オレがどれほど会える日を指折り数えて待ってたか。
どうしても翔ちゃんに負担をかけちゃうから……いい子にして我慢してたのに。
それで自分は色んな人に愛想振りまいてさ……。
悪い子過ぎない?翔ちゃん……


無意識に親指の爪を噛む。

うん、やっぱり決めた。
今夜は日頃の鬱憤をしっかり晴らさせてもらおう。
自分が一体誰のものなのか……天然な翔ちゃんにちゃんと理解してもらわないとね?





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ずいぶん前にかるーく書いてメモとして残してたんですが、オリンピックの櫻葉にあてられて書きたくなっちゃいました笑。
最近相櫻書けてないですしねー……書きたいんだけど💦


短めにやる予定でーす(*´σー`)エヘヘ