このお話、翔くん総受けのかなりぶっ飛んだ設定です。苦手な方は悪いことは言わないので、ぜひスルーしてください。大丈夫な方のみ、心してスクロールしてくださいねm(_ _)mもちろんですが、これは素人自己満足のために書く妄想小説であり、実際のものとは一切関係ございません( ゚ε゚;)






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ちょっと差し込みます。




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Side T





智の気配がなくなると、途端に騒がしくなるこの部屋の外。
どうやら今回は……忘れなかったみたい。

「後で尋問に来るかもしれないな……」

ただ、彼らが俺に強く出られないのは分かってる。
だから平気だ。
俺は椅子に座って、テーブルの上に新しいコーヒーを出す代わりに、智の側のコーヒーカップと椅子を消し去る。
一口飲んで、ふぅっと息を吐いた。

「……にしても……早いな」

誰に言うわけでもない言葉が、ついポロリと溢れた。


偶然とはいえ、あの4人が目覚めてすぐに彼に出会えたのは奇跡に近い。
彼は同じ所にずっといないし。
月の周期ごとに居場所を変える以外に規則性はなくて。
だから……俺にすらいつもどこにいるのか分からない。

智に言ったことは全部ホント。
別に好きで勿体つけてたわけじゃない。
俺が分かるのは……彼が起きてるか……寝てるか。

それじゃああの4人と一緒かもしれないけどちょっと違う。
彼らのことはほ長年の経験則だけど。
……彼に関しては百発百中。
全部分かるんだ。


彼に出会ったのは……雅紀が最初だって言ってた。
雅紀は時折とんでもないミラクルを起こす。
それに時期も良かった。

それでいうなら潤もだ。
思い込んだら直進するあいつもまた……新月の日に出会わなくて良かったと思う。
あの冷静沈着が売りのカズですら、香りに誘われて危なかったらしいし。
嗅覚と味覚に鋭い二人が、新月の日に初めて彼と出会ったのなら……もっとマズイことになってたはず。
ただでさえ生命力が落ちてる彼に、吸血行為はかなり危険。最悪体が消滅してしまう可能性が高い。
……ホント奇跡的だ。


つい数日前、智以外の3人が彼のことを聞きに来たとき、俺はある時期に目が赤く変わること以外に何も言えなかった。
ちゃんと言えなかったのは……どこから支配者が俺のことを見ているか分からなかったからだ。


智がかなり強引な方法でここに来たのは予想外ではあったけど……色々と種明かしをするのに好都合だと思ったのに。


「………はぁ………大丈夫かな………」

ため息が出た。
智は多分……分かってないと思う。
ホントはもう少し詳しく話しておきたかった。
支配者たちがほとんど凍らされてる上に、地獄耳の持ち主である智には……内緒話がしやすいから。
まぁ……今さらそんなことを思っても、仕方ないんだけど。


智はめったにキレないけど。
スイッチが入るとヤバい。
普段穏やかに見えても、最強の吸血鬼。
……どうか穏便に事を済ませてほしいと願うばかりだ。

知らずしらず、両手指を強く絡めて、ギュッと握りしめた。


俺が智に今望むのは……たった一つ。
彼を傷つけないで欲しい。
身体はもちろんだけど……心も。

彼の生命力が磨り減るようなことが起こらないように……俺はここで願うしかない。


「………」

声を出さずに、彼の名前を呼ぶ。


今日はもう……何度目の満月なんだろう。
数えるたびに胸が苦しくなる。
彼に残された時間がそれほど多くないってことを……嫌でも気付かされるから。
その中で誰にも干渉されずに、出来るだけ穏やかに過ごしていること。
それが……ここに来てからずっと願っていることだけど。
智の話を聞く限り、そうも出来ていないみたいだ。


彼をあの4人に託すのは、ある意味俺にとっても賭けだ。
少なくとも……新月の日のような命の危険はなくなる。
ただ雅紀も潤も……カズも、彼の虜になっている。
それがどういうことになるのか、未知数だ。


深く傷ついた彼の心と体。
それがちゃんと癒やされて……彼に生きる気力が少しでも芽生えてくれることを……俺は祈っているけど。



あの4人が、彼にとって……吉と出るか凶と出るか。

予言者と言われてもうずいぶん経つけど。
これだけは分からないし、予言もしたくないのが本音だ。

「………」

ギュッと胸の辺りを握りしめた。
今日も……どうか、彼が傷つくことが起きませんように。
彼の心が負の感情に荒ぶることないように……。




でも、そう願う俺を嘲笑うかのように。
悲劇の歯車は……容赦なく彼を襲うんだ。





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また大ちゃんサイドへ戻ります❤