日本で暮らしていた頃は、日本人としてのアイデンティティーなど、パスポートを作った時か、オリンピック等、スポーツの国際試合を応援している時くらいしか意識したことがありませんでした。
しかし、様々な国籍の人々が暮らし、種々の言語が飛び交うイギリスに来てからは、自然とその意識も高まるものです。同時に、他人に出身国を尋ねる時は、明らかな場合を除き、国名を特定せず、「どちらの国の出身ですか」となるべく言うようにしています。
少し前までは、意外とこの国の人達は、日本人とそのほかの東洋系の国の人々を見分ける目があるなぁと思っていたのですが、どうも最近はその印象も変わりつつあります。
ロンドンも中国からの観光客が増え、先日立ち寄ったデパートで「中国語の案内が見かけられるようになったなぁ」と思いながら、下りのエスカレ―ターに乗り、1階の出口へ向かう途中、「ニイハオ!」と、背後から声が。
「ああ、またかぁ。。(Here we go..)」
普通は「ニイハオ」で反応がなければそれで終わるのですが、店員らしきその声は、まだ中国語で何か話しかけてきます。たまたま2週間ほど前、中国人と間違えられたこともあり、
はたと私は立ち止まり、振り返ると、
香水かファッション小物か何かその種の店の店員は、インド系?か中東系?と思われます。おしゃれに決めた短髪は黒く、シックなスーツを纏った細身の若い男性。
「私、中国人じゃありませんけど。(I'm not Chinese, by the way.)」
「あー、それだったら、僕、ほかの言語も話せるから─」と今度は 英語で、ナントカカントカ・・・
そういうことじゃなくてー。まずはソーリー(Sorry)じゃないの?
懲りないやっちゃ。(笑)
ナントカカントカを背に出口へ向かいました。
佐藤 ゆかりでした。