さて、前回のドラマでは、
「相続人が遠方にバラバラにいる場合」
のお話がありましたね

その中で、「遺産分割協議書を作るまでが
まず大変だった」というお話がありました。

これって、どういう意味でしょうか

前にもお話しましたが、遺産分割協議は、原則として
「相続人全員が一緒に集まって話し合う」
ことになっています。

でも、これってなかなか大変ですよね。

お葬式や四十九日法要は、会社を休んででも
駆けつけますが、それ以外で集まれと言われても
なかなか日程調整ができません

ましてや、遠方となれば、交通費や宿泊費用
バカになりません。

一般的に、遺産分割協議は、四十九日法要の後に
することが多いようですが、その時点で準備が
できていないこともあります

また、話し合っても、決着がつかなければ
また次回ということになりかねません

その度に、北海道や愛媛からお兄さんやお姉さんを
呼びつけることもできません。

それで、電話で両者の言い分を確認して、
一緒に話し合った状態にするのです。

特に、浩さんは末っ子で、お兄さんお姉さんには
頭が上がらないでしょうから、相当大変だったと
予想出来ますよね

そして、話し合いがついた時点で、遺産分割協議書
を作成します。

これは、特に様式等の決まりがありません

ですから、必ずしも行政書士等の法律の
専門家に依頼しなければいけないものでは
ありません。

ただ、この遺産分割協議書に基いて、預貯金を解約して
分配したり、不動産の名義書換をするので、あいまいな
表現だと、金融機関や法務局で認めて貰えない事も
あります

そうすると、結局作成し直しになって二度手間に
なりますから、専門家に依頼するか、しっかり
文例集などを見て勉強することをお勧めします

勿論、亜紀さんが言っていたように、遺産分割協議書
には、相続人全員の署名、実印の押印、印鑑証明書
が必要です。

作成した遺産分割協議書に署名押印してもらうために、
郵送などで相続人の手元に届けないといけません。

印鑑証明書を取ってもらうのもタダではありません。

よく、自分は遺産を何も貰わないから、遺産分割協議書
は関係ないと思う方もいますが、それは違います。

また、たまに、「実印押して印鑑証明書つけて返せ」と
話し合いもせずに、一方的に書類を送り付けてくる
相続人もいますが、これは本来無効です

中身をしっかりチェックして、納得した上で押印するように
気をつけましょう

納得がいかない時は、遺産分割協議書を作りなおして
もらえば良いのです。

相続税の申告と違って、遺産分割協議書はいつまでに
作成しなければならないという決まりはありません。

もちろん、少しでも早く相続手続きに入ることが
望ましいですが、無理やり遺産分割協議書を
作成することはできません。

遠方にいても、あらゆる手段を使って、十分話し合う
必要があります

「遺言があったら楽だった」という亜紀さんの気持ちは
よくわかりますねえ。

遺言書があれば、遺産分割協議の話し合いの必要は
ありません

前にも書いたとおり、自筆証書遺言なら家庭裁判所の
検認を経て、相続手続きに入ることができます。

公正証書遺言なら、すぐに相続手続きに入ることが
できます。

浩さんのお父さんが遺言を書いておいてくれれば、
浩さんは胃カメラを飲むハメにはならなかったでしょう。

では、次回は相続人が海外にいる場合のお話を
しましょう