全さんが呼びに来たので、中へ入った。間もなく用意出来るらしいとのこと。空いたテーブルを見ると、これまたいつものように沢山の料理が山のように残されていた。なんだかなぁ~、ホントに勿体ないことだと思う。
ここでも全さん(写真左)と王さん(写真右)は、別のテーブルで食事をすると言い出した。
母と2人がかりで「一緒に食べましょう。2人だけでは沢山の料理も食べきれないし、一緒の方が楽しいでしょ」と粘って説得。
「どうして一緒じゃダメなの?」と母が問いただすと「会社の規定で『お客さんと一緒に食べてはいけない』となっているから」と思いもかけない答えが返ってきた。
「でもそんなの、この臥龍でも会社の人が見ているわけでもないでしょ?そんなの関係ないし、お客の私達がいいって言っているんだからいいのよ!」と強気で押しまくって一緒に食事をすることになった。
やれやれ…。大人数の団体ならまだしも(ホントは良くない)、私達親子しか居ないのだし、それにそういう感じに差別があるのが一番嫌いな私達。なんでも同じにするのがごく普通のことだと思っているから、この説得もごく自然なことだった。
まぁ、一部の観光客の中には「ガイドなんかと…」って差別的な考えを持っている人もいるようなので、そのようになったのかもしれない。無用なトラブルを避けるためとは言え、なんとも悲しいことではないだろうか。食事は大人数で賑やかに楽しく食べるものであるし、ましてや外国で食べるものは日本では食べられないものが出てくる場合もある。そんな時に、どんなものか教わりながら、どうやって食べるものなのか聞きながら食べるほうがより美味しく食べられると思う。
日本語が殆ど判らないドライバーの王さんだって、(こんなことは経験なかったみたいで)最初は戸惑った顔をしたけれども、すぐに嬉しそうな表情になって一緒にテーブルに座って食べ始めた。
そして…前の晩と同じように沢山の料理が出された。母が全さんに「ほら、こんなに沢山出てくるんですもの、私達2人だけじゃ食べきれないし、勿体ないでしょ?だから一緒に楽しく食べたほうが良かったでしょ?」と言うと、彼も頷きながらせっせと食べていた。
麻婆豆腐が出てくると、全さん「ここのは昨日のよりも美味しくないかもしれませんが…、でもまぁまぁです」とのこと。うん、確かに見た目も違うし、辛さが違うし、なんと言うかコクが足りないという感じだった。でも、陳麻婆豆腐店で食べなかったら、ここのもそれなりに美味しいと思えたかもしれなかった。
出てきた料理のうち変わっていたものは、青菜炒め。
一見普通のように見えるけれども、茎から出る汁の色は紫色をしていた。そういう種類なのだと教えてもらった。味は別に普通の青菜となんら変わりは無かった。
そして、また出てきた木耳。
大きくて肉厚でプリプリしていて、食感もよくて美味しかった。おかず6種類とスープ1種類、ご飯。お昼にこれだけ食べれば充分すぎるでしょ?って感じだった。
満腹になったので、大熊猫苑に向かうことに。
レストランの出入り口のところで全さんが「このレストランは、国が指定した等級ではA級なので、この近辺では一番美味しいところだと思います。入り口のところに『A級』と貼ってあります」と説明してくれた。見ると確かにA級となっていた。そういえば、以前なんかのTV番組で、中国は国家が調理人のレベルを認定していると言っていたっけ。それもかなり厳しい査定があって初めて認められて、少しでもレベルが落ちると剥奪されるとか。やっぱり僻地と言えども世界中から人が来るところだから、国としても威信を保つためにそれなりのレベルの調理人をここに置いているのだろう。



