夢華録 第35話 隣家の秘密 あらすじ

 

 

 

顧千帆こせんはんは鼠捕りに引っ掛かった足が痛むと主張したが、盼児ふんじは引っかからなかった。

 

りょうとの和平を守ろうとする皇帝が残酷な君主のはずはないと直感した盼児ふんじは、皇帝は皇后の出自を知っているはずだと考えた。

心から皇后を信じるなら、皇帝は夜宴図に関する嘘の話を信じるだろうと盼児ふんじは語った。

 

顧千帆こせんはんは去ろうとする盼児ふんじの手を掴み、望月楼ぼうげつろうのことは怪我をして知らなかったと伝えた。

盼児ふんじは、馬車から下りず別れ話から逃げたと言って、顧千帆こせんはんの手を振り払った。

顧千帆こせんはんは別れを考えたことは無いと言ったが、盼児ふんじは涙をためた目で、別れをきちんと伝えた欧陽おうようの方がましだと言った。

 

盼児ふんじ池蟠ちはんに手を引かれ去り、顧千帆こせんはんは追いかけたが再び手を振り払われた。


池蟠ちはん盼児ふんじは夜の街を楽しみ、小さな店で酒を飲み交わした。

盼児ふんじを口説こうとした池蟠ちはん

盼児ふんじは花街育ちだから手の内は分かっていると言って拒んだ。

池蟠ちはんは、顧千帆こせんはんへの対抗心でも盼児ふんじを屈服させたいからでもなく、ただ盼児ふんじを好きなのだと言ったけれど、盼児ふんじは受け流した。

 

池蟠ちはんは、賭けをしようと誘った。

池蟠ちはんが勝てば盼児ふんじ池蟠ちはんと一緒にいる、盼児ふんじが勝てば池蟠ちはんは3つの要求にこたえる。

 

賭けに勝った盼児ふんじは、池蟠ちはん顧千帆こせんはんの家のことを尋ねた。

池蟠ちはん盼児ふんじに、顧家の事情を話した。

 

顧千帆こせんはんの両親は家に背き外地で婚姻を結んだ。

ある日、堅物な顧千帆こせんはんの祖父、顧審言こしんげんが激怒していた。

しばらくして、母親に連れられ顧千帆こせんはんが顧家にやってきた。

父親は裏門を叩き続け、顧千帆こせんはんと母親は中で泣き続けた。

顧審言こしんげんは”顧家には百年の誉れがあり、蠅営狗苟ようえいくこう(恥知らず)の婿は要らぬ”と怒鳴り続け、伯父が父親を追い返した。

伯父は父親に、”千帆せんはんしょう姓ではない”と言っていた。

 

以来、池蟠ちはん顧千帆こせんはんのことを”でくの坊主”と呼んでいる。

通りには顧家、池家と蘇家があった。

この3軒は顧千帆こせんはんの事情を知っている。

蘇家の娘は銭塘せんとうの楊家に嫁いだが、他の家族は死に絶えている、池蟠ちはんの両親も世を去った。

 

顧千帆こせんはん簫欽言しょうきんげんの関係に気づいた盼児ふんじは、池蟠ちはんに このことを話さないよう頼んだ。

 

池蟠ちはん東京とうけい織物組合の会頭だと思いだした盼児ふんじは2つ目の要求をした。

 

盼児ふんじ桂花巷けいかこうに帰ると、門の所に黄色い花が挿してあった。

盼児ふんじは花を引き抜き、捨てた。

 

盼児ふんじは謝ろうとする引章いんしょうに、女子おなごは梅の花のように風霜を経験するほど美しい花を咲かせる、望みさえすればどんな未来も選べると話した。

 

盼児ふんじは部屋で、銀票ぎんびょう3000貫の券を見つけた。

 

陳廉ちんれんと会い、盼児ふんじは事情を尋ねた。

りょうの使者に会うよう命じられた日、顧千帆こせんはんは荘園を売り金を工面したのだろうと陳廉ちんれんは話した。

馬車に隠れていた顧千帆こせんはんが、おびえた様子で”会いたいが会えない”と言っていたことを陳廉ちんれんは伝えた。

顧千帆こせんはんには盼児ふんじに許されないと恐れる何かがあったから逃げたのだろうが、盼児ふんじのために勅命に背き命懸けで都に戻ったのも事実だと陳廉ちんれんは話した。

 

話を聞いた盼児ふんじは、一筋涙を流した。

 

永安楼えいあんろうで子供が盗み食いをした。

犯人の子供は、子方しほうだった。

 

雷敬らいけいは、楊知遠ようちえん盼児ふんじの店で絵を買っていたという証言や、楊知遠ようちえんが「夜宴図」を持っていたという証言を得たことを皇帝に報告した。

盼児ふんじの話が真実だと確信した皇帝は、皇后を陥れようとした斉牧せいぼく欧陽おうように対する怒りを露わにした。

 

雷敬らいけいは、黒幕がいるのかもしれないし、鄭青田ていせいでんが関わっているかもしれないと言って皇帝をなだめた。

簫欽言しょうきんげん斉牧せいぼくの他にも黒幕がいるのかと尋ねられると、雷敬らいけいは首肯した。

「夜宴図」を真作だと認めれば、皇后と簫欽言しょうきんげんが失権し後継者は宗室から選び直しとなる。

「夜宴図」を贋作だと認めると、斉牧せいぼくが失権するが同時に皇后の名も汚される。

しょう王が皇太子になっても皇后派と清流派が共倒れとなり首輔は宗室から選ぶことになる。

雷敬らいけいはそう話した。

 

信じても信じなくても黒幕の思惑通りなのだと皇帝は頭を抱えた。

 

雷敬らいけい斉牧せいぼくと密会し、斉牧せいぼくは罪に問われないだろうと話した。

日頃付き合いのない雷敬らいけいがなぜ自分のために動いたのか、不思議に思い斉牧せいぼくは尋ねた。

しょう王はいずれ即位し、皇后が実の母でないと知る。

そうすれば皇后派は支持を失う。

雷敬らいけいはそう話し、今後は斉牧せいぼくと助け合いたいと言った。

雷敬らいけいが皇帝の怒りの矛先を向ける相手が欲しいと言うと、斉牧せいぼくはアテがあると話した。

 

高鵠こうこく欧陽おうようを呼び出し、「夜宴図」は真作かと問いただした。

高鵠こうこく賢妃けんひから、皇后が寵愛を取り戻し欧陽おうようの虚言を一蹴したと聞いたのだ。

 

欧陽おうようから盼児ふんじの名が出たことで、高鵠こうこく欧陽おうようのたくらみに気づいた。

絵の秘密に気付いた欧陽おうようは、絵を手土産に斉牧せいぼくに身を寄せ、東京とうけいに戻り確かな証拠で皇后を倒そうとした。

欧陽おうようが夜宴図の出どころを西京せいけいと偽った理由は、皇帝を利用し顧千帆こせんはんに隠蔽の罪を着せようとしたからだ。

欧陽おうようは「夜宴図」は真作だと繰り返したが、高鵠こうこくは悪党の話は誰も信じないと語った。

 

巷では皇帝が永安楼えいあんろうにお忍びで行ったと話題になっていた。

このままでは巻き込まれると考えた高鵠こうこくは、欧陽おうようと縁を切ろうとした。

すると欧陽おうようは、腹当てを人目にさらすと言って脅した。

 

雷敬らいけい簫欽言しょうきんげんに会いに行った。

簫欽言しょうきんげん雷敬らいけいの働きを褒めた。

清流派を攻撃し続ければ、皇帝は警戒心を強める。

今回雷敬らいけいは、斉牧せいぼくに協力を申し出つつ、皇帝には斉牧せいぼくの手抜かりを印象付け、絶妙な手で皇帝の清流派に対する好感を砕いた。

雷敬らいけい簫欽言しょうきんげんの教えの賜物だと頭を下げた。2人は将来に関するの密談をした。

 

欧陽おうようが街に出ると、街では女性の名の刺繍が入った手巾が流行っていた。

様々な店で、あらゆる女性の名の入った手巾が売られている。

 

欧陽おうよう高慧こうけいに会いに行き、「君の仕業か」と尋ねた。

高慧こうけいは二度目の婚約はしていないとしらを切った。

欧陽おうようは、1つ条件を飲めば必要な物を返す、と交換条件を提示して…?

 

 

 

 

感想

 

よかった!

無事でよかった3000貫の紙!

 

顧千帆こせんはんがどんなに言葉で伝えても盼児ふんじには伝わりませんでした。

馬車から出ようとしなかったことがネックになっています。

けれど、3000貫の紙という確かな物証のおかげで、顧千帆こせんはん望月楼ぼうげつろうのことを知らなかったということは分かってもらえました。

 

顧千帆こせんはんを信じる気持ちが生まれたことで、盼児ふんじ陳廉ちんれんの話を素直に聞けました。

顧千帆こせんはんには盼児ふんじに許されないと考える何かがある、だから会いたくても会えなかった、でも愛している、という複雑な気持を陳廉ちんれんは見事に伝えてくれました。

さすが、できる男!

いい仕事してますね~。

 

それまで目に涙をためつつも泣かなかった盼児ふんじが、陳廉ちんれんの話を聞いて涙をツーっと流した姿が印象的でした。

 

池蟠ちはんのおかげで顧千帆こせんはんの父親が簫欽言しょうきんげんだと悟った盼児ふんじ

1話に出てきた楊知遠ようちえん夫人は、まさかの池家と顧家のお隣さんでした。

だから夫人は淑娘しゅくじょうと仲良しだったんですね。

夫人が「父親と同じでろくでもない」と言っていた”父親”が簫欽言しょうきんげんのことだと判明してスッキリしました。

 

そして池蟠ちはんの話から、簫欽言しょうきんげんが出世にこだわる理由もわかった気がしました。

簫欽言しょうきんげんは名門の出身でなかったせいで、淑娘しゅくじょうとの仲を引き裂かれてしまった。

淑娘しゅくじょうは亡くなってしまったけれど、簫欽言しょうきんげんは空にいる淑娘しゅくじょうに話しかけるほど、今でも淑娘しゅくじょうのことを想っている。

淑娘しゅくじょうの夫として認められる人間になるために、必死で出世にこだわって生きてきたのかな、と妄想しました。

 

出世は認められるための手段だったはずなのに、いつからか出世することが目的になっていた。

簫欽言しょうきんげんも悲しい人なのかもしれません。

 

盼児ふんじが知らないのは、盼児ふんじの父親が糾弾されたのは、簫欽言しょうきんげんが告発したからだという事実だけになりました。

 

このことを盼児ふんじが知る日も近いと思われます。

その時盼児ふんじはどんな反応をするのか。

2人は元鞘に戻るのか。

戻ってくれなきゃ困ります。

よろしくお願いします。

池蟠ちはんの「理由など分からん。だが君が好きだ」という発言にはグッときつつも、でもやっぱり顧千帆こせんはん派です。)

 

夜宴図を得て出世街道に戻ったかに見えた欧陽おうようでしたが、ここへきて逆風が吹いています。

 

街で名前刺繍いりの手巾が流行っているのは、盼児ふんじ池蟠ちはんに頼んだからですね。

頭が良すぎてテンションが上がりました!

これで高慧こうけい欧陽おうようと結婚せずに済むはず!だと思いたい。

 

最後、欧陽おうよう高慧こうけいに取引を持ち掛けていましたが、もうここまできたら取引に応じなくても、シラを切れるように思いますがどうでしょう?

高慧こうけいとしては、欧陽おうようが自分の胸当てを持っているのは気持ち悪いから、取引に応じるでしょうか?

欧陽おうようは何を頼むつもりなんだろう。

 

いい感じに来ていますが、まだあと5話あるので、ここから欧陽おうようも巻き返しを図るはず。

次はどんな手で来るのか。

楽しみにしつつ、次話見てきますっ!