プロフィールはこちら→
(現在は通院しておらず、他人にも自分にも振りまわされなくなりました。元気になったので、セラピストとして活動することになりました)
 
 
『PTSD』は一般に広く知られた病名ですが、『複雑性PTSD』は耳慣れない方が多いと思います。
 
名前のとおり『PTSD』よりも、トラウマが複雑です。
 
 
『複雑性PTSD』は解離(かいり)症状が主症状であり、特に対人関係に障害がでます。
 
 
解離というのは…例えば、何かに集中していて誰かに呼ばれても気づかないことってありますよね? それがごく軽い解離です。
 
 
一時的に意識から音を切り離しているので聞こえなくなりますが、普通のことなので病気ではありません。 
 
 
解離が問題になるのは、記憶がなくなったり、人格が増えたりするなど、日常生活に支障が出る場合です。
 
 
解離すると現実感が薄くなり、自分の感情がわからなくなったり、自分の身体と意識が離れたように感じたりしやすいです。
 
 
思考や感覚、記憶などの連続性が保てなくなり、それらを切り離すことで自分の心を守っている状態なのですが、解離が過剰に働くことでコミュニケーションなどに影響がでます。
 
 
 
昔の私は誰もいない場所でも、リアルな人の気配を感じて怖くなることがよくありました。
 
壁と自分のあいだの隙間が15cmくらいしかないのに、その隙間に人の気配があるのがハッキリわかることも。これは本当に怖かった。
 
 
駅のホームでは誰かに後から突き飛ばされるのではないかという恐怖を感じていたので、いつも壁や柱に背中をつけて待っていました。
 
また、線路に吸い寄せられるような感覚もあり、これらも全て解離症状です。
 
 
私が解離がひどくて何がなんだかわからなかった頃、判断力や思考は鈍り、考えがまとまらない状態でした。常にぼんやりしていて、頭の中に思考がほとんどない状態です。
 
 
自分自身のことなのに掴みどころがないような…まとめようとしてもまとまらず、空をつかむような感じでした。
 
 
 
 
複雑性PTSDについて、2冊の書籍を引用して説明します。
 

 

 
『複雑性PTSD』は、虐待、いじめ、監禁など…ある程度の期間、トラウマを受け続けることが原因で発症します。
 
比較的新しい病気である『PTSD』よりも、さらに後に名付けられた病気で、まだ診断できる医師も少ないようです。
 
 
↓1冊目です。

 

 

複雑性PTSDの症状を抜粋。(43p〜46p) 

 

■感情コントロールの障害。 強い怒り。些細なことで激高する。

怒りを感じることを怖れる。

怒りを適切に表現できず、人と親しくなったり自分の気持ちを打ち明けることを避ける。

感じた怒りを自分の中に抱え込んでしまう。

 

 ■自己破壊的・衝動的行動 

自傷行為、自分が損失を被るような行動をとる。

性的にトラウマがある人は、性的逸脱行為に走ることもある。

 

 

 ■解離症状

 解離症状は、もともとは自己防衛的な意味のあるもので、あまりにも苦しい状況に耐えられず、しかも物理的に逃げ出すこともできないようなときに、「精神的にその場から逃げる」という目的をもった症状。 

 

苦しい状況から逃げられない、というような状況では、よくできた防衛本能だと言える。

 

 虐待など、トラウマ体験が長期にわたって繰り返し起こっている場合には、解離をするのが「上手」になる。

 

苦しみを感じるとすぐに解離するようになり、やがてほとんど自動的に解離するようになる。

 

 

 ■身体愁訴 

頭痛、吐き気、めまい、不眠など。 その他 無力感、恥、絶望あるいは希望のなさ、永久に傷を受けたという感じ。

 

それまで持ち続けていた信念の喪失、敵意、社会的引きこもり、常に脅迫され続けているという感じ。

対人関係の障害、その人の以前のパーソナリティ特徴からの変化。

 


 
 
↓2冊目。
私の場合は本格的なフラッシュバックがあまり起きず、麻痺と解離が強かったのですが、この本に書かれていました。

 

kindle版(13%)から 

 

「複雑性PTSD」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? これは単一の事件ではなく、虐待やDVなど、長期にわたって慢性的に繰り返されるトラウマによって引き起こされるものです。 

 

単一の事件によるトラウマでは「再体験症状」「過覚醒症状」が強まることが多いのですが、日常的に繰り返されるトラウマの場合は、特に「麻痺」や「解離」が強く出てきます。

 

 麻痺は「感じなくてすむ」ように、解離は「それが自分のことではないようにすることで、自分を守ろうとする」のですが、それは一時しのぎにすぎず、結果としてさまざまな障害が現われてきます。

 

 感情の調節が難しくなったり、自己破壊的な行動をしたり、自己イメージや対人関係にいろいろな問題が起きたりします。 


 
 
私が『複雑性PTSD』だと思った根拠となった症状を書いておきます。
 
・支配されたような心理状態
・解離症状、離人症
・対人関係障害
・自己非難、罪悪感、人間不信
・無力感、恥、希望がない、絶望感
・永久に傷を受けた感じ、
それまで持っていた信念・価値観の喪失
・社会的引きこもり
・持続的不機嫌
・敵意、抑うつ、自殺願望
・生きている価値がない
・加害者の理想化
・自傷行為に走りたくなり、刃物を扱ったり高いところに登るのが怖い。
・常に脅迫されているような感じ
・孤立、親密な関係を断ち切る、
・被害を受けているのに相手に怒りを持てない
 
 
 
↓対人の時に特に出ていた症状です。(対人関係障害)に入ります。
「忘れる」「わからない」「消える」などは解離が起きているからです。

 

・人が怖い
・人と一緒にいることが耐えられない
・人と心を通わせることを極端に避ける
(自分の意志とは関係なく勝手に避けてしまう)
・人が信じられない
・相手の言っていることが本音か嘘かわからない(簡単な挨拶ですら、疑ってしまう)
・相手の感情が伝わってこない
・自分の感情や思考が消えてしまう
・人との関わりを断つと、症状が落ち着いて安定する
・人との関わりが増えると落ち着かなくなり、悪化する
・会話の内容を忘れてしまうので、約束や頼まれ事があると困る
・会話中、頻繁に言われたこと、言ったことなどを忘れる。
・急に人と接しなければならなくなると、混乱、動揺してしまい、不審がられたり、軽蔑される。
・トラブルやハプニングに対応出来ない。対人場面で特に強い
・記憶が消えるため、会話の流れが繋がらず、連続性がつかめない。
・相手の考えていることの読み取り、予測困難。
・忘れてしまうので、言わなければならないことを伝えられない
・麻痺して頭の中が真っ白になる
・聞きながらメモをしようとするが、メモするべき内容を忘れてしまう
・人と接触する予定の前や接触した後は、不安定になり落ち着かない
・人と関わったあと、その場面で覚えている部分を繰り返し思い出してしまって、頭から離れない。
・人がそばにいると極端に判断力や集中力が落ちる。
 
などです。長い時間がかかりましたが、私はこの状態からでも普通に人と話せるようになりました。
 
 
 
『複雑性PTSD』という病名を知った時「こんなに自分にピッタリと当てはまる病気があるんだ!」と驚きました。
 
それと同時に、今まで持っていた強い罪悪感が、病気のせいだったのだとわかったことで気持ちが楽になりました。この罪悪感も『複雑性PTSD』の特徴です。
 
 
『複雑性PTSD』の特徴として、人か信じられなくなり、人と関係を作るのが難しくなります。
 
私の場合は対人での症状が特に強く、回避、過覚醒、麻痺、記憶が消えるなどがあったのでなおさらでした。
 
私は「人と心を通わせる、人を信頼する、自分を見せる、人と仲良くなる」これらが一番苦手だったと思います。
 
病院へいっても、治療するのは人です。まず治療者を信じることや、自分の症状を伝えるのが難しかったです。
 
 
孤立しますし、私は人にすごく嫌われています。いや、ここは外在化してわけて考えないといけないですね。
他の人からすると「私」ですが、本当は「私の病気」です。自分ではどうにもならなかったことで自分を責めてはダメです。
 
 
◆過去の実例
娘と同級生の子のお母さんで、学校行事などで顔を合わせるといつもニヤニヤしながら私を見てくるお母さんがいました。
 
その人と話したことは一度もありませんでしたが…あるきっかけで、私が人と話すときに様々な症状がでるということが伝わりました。
その後、私に会うと同情的な目でしばらく私を見てから、少し申し訳なさそうにうつむいておられました。悪い人ではなかったようです。
 
 
また、ある手続きのために役所に行くと、20年以上前に関わっていた人が働いていました。一緒にランチタイムしていた人たちと、私を見ながらヒソヒソと話をしていました。
 
後日、再び手続きのためにその窓口へいくとその人はおらず、興味津々という表情で、ジロジロと私を見ている職員が1人いました。私とその人との距離は1.5mくらい。ほぼ向かい合わせなので嫌でも視界に入ります。
 
最初はスッと目をそらしておきましたが、しばらく経っても見ています。全然知らない人だし、私がその人に何かをしたわけではないので堂々と見返すと、気まずそうにサッと下を向きました。
 
他の人は普通に仕事していましたし、私の言動や身だしなみがおかしかったということはありません。
 
20年以上前だと…かなり症状が重かった頃ですね。こういうのはたまにあります。
 
 
それと、面と向かって私に文句を言ってくる人はいませんが、結構な人数の人にあからさまに避けられてます。
 
 
私の悪口を面白がって言いふらしている人が何人もいるのも知っています。
 
私は人に接触すると具合が悪くなるし、うまく会話できなくて相手を不快にさせてしまいやすいようてす。
後から考えても会話の内容はほとんど覚えていません。
 
私にとってはむしろ、向こうから避けてくれたほうが、話したり接触しなくていいのだと思えるのでホッとしますし無視してもらったほうがありがたい。それくらい人と会話するのが困難でした。
 
(近年は、感情を交えない事務的な会話と、家族や親戚とはそれなりに可能でした。)
 
 
特に、ここ10年くらいは、人との接触を限界まで減らして生活していますが、人と関わりあいたくないと思っていたので、困ることはありましたが、寂しいとかはなかったです。
 
メールはリアルタイムのやり取りではないので、基本的には頻繁でなければ大丈夫になっていました。
 
娘以外とは、ほとんど会話しない生活です。
 
私は閉鎖的で比較的安全な場所に自分を閉じ込めて、ずっと守ってきたのだと思います。
 
たぶん他人から見ると、私は【人の気持ちを考えない人】だと思われています。
 
「考えない」のではなく「解離と麻痺と回避でわからない」わけですが、相手からするとそうとしか見えなかったのでしょう。
 
これほど会話が困難な状態でも、10年近い年月、私はほぼ誰にも打ち明けませんでした。
 
 
ブログを書いている私が本来の私ですが、ブログを読んでくださっている皆さんと、娘と臨床心理士さん以外は、誰も本当の私を知りません。
 
自分を出していないので、他の人が私を知らないのは当然です。
 
 
この「人に心を開かない」という傾向は、子どもの頃から少なからず私の中にあります。
基本的に大人に対してはあまり心を開きませんでした。自分と同年代の子に対しては大人ほどその傾向は強くなかったと思います。
(このあたりは、回避型愛着障害からきています。)
 
 
対人がダメだった期間があまりにも長く、いまだに苦手という感覚が拭えませんが…実際には会話はできてると思います。
 
昔のように会話ができるようになった時、心の底から安堵しました。
 
 
私はこの病気のために、20年来の親友とも縁を切らざるを得なくなりました。
 
 
人によって症状の出方は異なりますが、『複雑性PTSD』という病気は、人間関係や人生を壊します。
 
破壊的な病気だと思いますが…あまり知られていないので、自分がこの病気だと知らずに苦しんでいる方もいらっしゃると思います。
 
なぜここまでこじれたのかについては下のリンク記事に書いてます。
 
 
ここまで書いておいて『複雑性PTSD』だと診断されなかったらどうしようかと思いますが。
 
回復のためにこの先どうしようかということも考えていて、色んな本を読んでいるところです。臨床心理士さんとやってみたいこともあります。 
心理学関係の本は大体読めるようになりました。
 
 
私の担当医は「セカンドオピニオンの結果を知りたい」とおっしゃっていたので、その後に診断したいようです。セカンドオピニオンの予約が12月なのでまだ時間がかかります。
 
(診断結果はこちらです。→セカンドオピニオンと診断