親友Tとは高校一年生の柔道部で出会ったのだが、不思議な縁だ。
クラスも違うし、そもそもタイプが違う。
僕が調子のいい「いちびり」なのに対し、
Tは寡黙で、なかなか人と打ち解けようとしない。
嫌いな相手とは口を利かない、というのなら分かるが、好きでも嫌いでもない相手とも口を利かない。
あの頃のTは今以上に、極端に面倒を避けるタイプの男だった。
共通点といえば、同じ方面からの自転車通学。
この針の穴のような小さなきっかけが、20数年来の腐れ縁を作ったのだ。
当時の柔道部の1年生は、先輩たちからさまざまなシゴキを受けていた。
要領のいい部員は、電車通学中に先輩に取り入ったので、やがて「理不尽」な部分は、自転車通学の僕とTばかりにまわってくるようになった。
中でもブタゾウと呼ばれる3年の副主将は怖かった。
100kg超の巨漢なくせに、カリアゲ頭で部分的に前髪を伸ばすという、チェッカーズが流行らせた髪型をしていたが、残念なことにどう見ても女子プロレスラーにしか見えなかった。
ブタゾウは部費の徴収を担当していた。
毎月300円。
これで部員のお茶やエアサロンパスなどを購入するのだが、それらが欠品しても、なぜか部費の徴収が減ることだけはなかった。
稽古が終わると、巨漢を揺すり、部費の徴収を行うブタゾウ。
ところが、これが意図してなのか偶然なのか、他の部員の耳には、
「ブヒ、ブヒ・・・」
と聞こえてしまう。
緊張の緩和という、お笑いの中では最高のシチュエーション。
笑っては不謹慎な場面で、コントは生まれる。
上下関係にうるさいブタゾウの前では、ニヤけるだけでキツいお仕置き。
体重をかけた巻き込み技で投げられるのだ。
当時の僕の体重は55kg(涙)。
倍の体重が加速をつけてアバラや背骨にのしかかってくると、息ができなくなる。
だからブタゾウが部費の徴収に回ってくると、命がけで笑いを噛み殺して、耐えなければならない。
今月もブタゾウの徴収がはじまる。
「おい、1年!ブヒ、ブヒ、ブヒ・・・」
「あ、はい!」(あかん、笑ったらアカン)
「ほら、ブヒ!」
「はい!」(こ、ここが正念場や、耐えろ、俺)
部費を渡すと、ブタゾウが短いエンピツで名簿にチェックを入れる。
(器用なブタさんやな~、前爪でエンピツ持ちよる・・・ぷっ・・・)
などと、自分を窮地に陥れるようなコトバが浮かんでくる。
とっさに汗を拭うふりをして、道着の袖を口元にあてて、笑いを堪えていたら、ゴミを捨てにいっていた別の1年が戻ってきた。
「ブヒ!おまえらも、ブヒ!」
と、まだスマートに言っていたら耐えられたものを、神様の悪戯なのかブタゾウの鼻が鳴った。
「ブゴゴッ!」
一撃必殺である。
「・・・プー!」
「おまえ、何がおかしいんや?ナメとんのか!」
ブタゾウの腕が僕の奥襟をつかみ、払い巻き込みの練習台の餌食となる。
クラスも違うし、そもそもタイプが違う。
僕が調子のいい「いちびり」なのに対し、
Tは寡黙で、なかなか人と打ち解けようとしない。
嫌いな相手とは口を利かない、というのなら分かるが、好きでも嫌いでもない相手とも口を利かない。
あの頃のTは今以上に、極端に面倒を避けるタイプの男だった。
共通点といえば、同じ方面からの自転車通学。
この針の穴のような小さなきっかけが、20数年来の腐れ縁を作ったのだ。
当時の柔道部の1年生は、先輩たちからさまざまなシゴキを受けていた。
要領のいい部員は、電車通学中に先輩に取り入ったので、やがて「理不尽」な部分は、自転車通学の僕とTばかりにまわってくるようになった。
中でもブタゾウと呼ばれる3年の副主将は怖かった。
100kg超の巨漢なくせに、カリアゲ頭で部分的に前髪を伸ばすという、チェッカーズが流行らせた髪型をしていたが、残念なことにどう見ても女子プロレスラーにしか見えなかった。
ブタゾウは部費の徴収を担当していた。
毎月300円。
これで部員のお茶やエアサロンパスなどを購入するのだが、それらが欠品しても、なぜか部費の徴収が減ることだけはなかった。
稽古が終わると、巨漢を揺すり、部費の徴収を行うブタゾウ。
ところが、これが意図してなのか偶然なのか、他の部員の耳には、
「ブヒ、ブヒ・・・」
と聞こえてしまう。
緊張の緩和という、お笑いの中では最高のシチュエーション。
笑っては不謹慎な場面で、コントは生まれる。
上下関係にうるさいブタゾウの前では、ニヤけるだけでキツいお仕置き。
体重をかけた巻き込み技で投げられるのだ。
当時の僕の体重は55kg(涙)。
倍の体重が加速をつけてアバラや背骨にのしかかってくると、息ができなくなる。
だからブタゾウが部費の徴収に回ってくると、命がけで笑いを噛み殺して、耐えなければならない。
今月もブタゾウの徴収がはじまる。
「おい、1年!ブヒ、ブヒ、ブヒ・・・」
「あ、はい!」(あかん、笑ったらアカン)
「ほら、ブヒ!」
「はい!」(こ、ここが正念場や、耐えろ、俺)
部費を渡すと、ブタゾウが短いエンピツで名簿にチェックを入れる。
(器用なブタさんやな~、前爪でエンピツ持ちよる・・・ぷっ・・・)
などと、自分を窮地に陥れるようなコトバが浮かんでくる。
とっさに汗を拭うふりをして、道着の袖を口元にあてて、笑いを堪えていたら、ゴミを捨てにいっていた別の1年が戻ってきた。
「ブヒ!おまえらも、ブヒ!」
と、まだスマートに言っていたら耐えられたものを、神様の悪戯なのかブタゾウの鼻が鳴った。
「ブゴゴッ!」
一撃必殺である。
「・・・プー!」
「おまえ、何がおかしいんや?ナメとんのか!」
ブタゾウの腕が僕の奥襟をつかみ、払い巻き込みの練習台の餌食となる。