保健所から引き取った犬猫を新しい飼い主に橋渡しする「北海道動物愛護センター」の道北センターが本年度、北見市内に設置された。動物の緊張を和らげ新生活につなぐ流れが進む一方、活動範囲は上川、宗谷、オホーツクの各管内と広く、活動資金の寄付やボランティアを募っている。
 あちこちのケージから鳴き声が聞こえる、9月上旬の道北センター。北見市相内町の施設に収容されている18匹の猫は、人の気配を感じると「遊んで」と言いたげにケージ内で動き出す。
 道の動物愛護センターは基幹センター(江別)と、道北地区を担う北見を含め3地区にサテライトがある。道北センターは、30年以上動物を診てきた獣医師の上田広之さん(65)が代表理事を務める非営利型一般社団法人「アニウェル北海道」(北見)が運営を受託し、12の保健所から猫を受け入れている。
 飼い主を失う事情は、多頭飼育崩壊や飼い主の死亡・高齢化などさまざまだ。道北では実証事業を行った昨年度も含め、これまで猫51匹を受け入れ、31匹が譲渡会などで新たな飼い主と出会った。
 上田さんら獣医師が運営に関わる道北では、ケガの治療など医療行為が迅速に行えるのが強み。譲渡までに死んだ2匹にも治療を尽くした。道からの委託費のほか、避妊去勢手術を受け入れるなどして得た収益で運営している。
 命をつなぐ拠点として動き出した一方、受け入れは20匹が限界だという。犬の受け入れも考えているが、場所の確保には引っ越しが避けられず、その資金も確保する必要がある。日常の世話や譲渡会も、ボランティアの協力が欠かせない。
 上田さんは「究極の目標はセンターをなくすこと。犬猫が路頭に迷うのは結局は人間の問題であり、心ある人たちと連携して取り組んでいきたい」と話す。
 毎週土曜の午後1~3時などに相内の保護施設で見学会を開いているほか、猫砂やタオルなどの寄付も受け付けている。問い合わせはアニウェル北海道の電話、0157・57・3612(午前10時~午後4時)へ。サイドバーでクエリ検索飼い主を待つ猫たちを支える、アニウェル北海道の上田広之さん(中央)とスタッフ

2024年9月25日 22:21(9月25日 22:49更新)北海道新聞どうしん電子版より転載