札幌市は、誰も自殺に追い込まれることのない社会を目指す「市自殺総合対策行動計画」(2024~28年度)を改定した。若者の自殺者が増加傾向にあることを受け、若年層への自殺予防啓発事業を実施する団体への助成などを新たに盛り込んだ。
 厚生労働省によると、23年に札幌で自殺した人は370人。このうち19歳以下が13人、20~29歳が51人だった。19歳以下が15人、20~29歳が62人と年代別で過去10年で最多だった22年を下回ったものの、若者の自殺者数は高止まりしている。
 こうした状況を受け、行動計画では市内の小中学校などで自殺予防を訴える出前授業を行う団体に、開催経費の一部を補助することを新たに盛り込んだ。市が、精神科医や弁護士らと連携し、若者の自殺危機に対応するチームを立ち上げることも明記した。
 計画を進めるための基本方針は、女性に特化した項目を新設。出産後間もない産婦の健診費用を助成し、産後うつリスクを早期発見することや、予期せぬ妊娠や経済苦で育児が困難となる恐れがある「特定妊婦」とみられる市民の初回産科受診費も助成するとした。
 数値目標として、悩みやいじめに関するアンケートで「不安や悩みを身近な人に相談できる子どもの割合」を22年度の92.7%から27年度に96%に増やすとした。女性に関する指標としては、市民意識調査で「札幌市の自殺対策で知っている取り組みはないと答えた女性の割合」を21年度の19.6%から27年度に15.0%に減らすと定めた。
 市精神保健福祉センターは「民間団体と協力して取り組み、計画を推進する」としている。

2024年5月15日 22:06(5月15日 22:17更新)北海道新聞どうしん電子版より転載