障害者が農業の現場で働く「農福連携」を支援する「農福連携技術支援者」が22日、旭川の農場で初の指導に当たった。技術支援者として農林水産省の認定を受けた1人が道から派遣された。農業者は相談体制整備で農福連携に取り組みやすくなり、障害福祉事業所も農業者とのパイプ役ができたとして高い関心を寄せた。
 派遣を受けたのは旭川市東旭川町下兵村の「むらたFARM」(村田典彦代表)。技術支援者で市内の就労継続支援B型事業所「すまいる」のサービス管理責任者の加藤里美さん(55)が訪れた。
 加藤さんは、コマツナの残りかすの乾燥作業に従事する障害者から「抽象的な言葉はわかりづらい」と聞き、村田代表に伝達。助言を受けた村田代表は「加藤さんに相談しながら障害のある人ができる仕事を探っていきたい」と話した。農福連携により、コマツナの作付け拡大や人手不足で断念していた他の作物展開も望めるという。
 加藤さんは収穫したコマツナの計量や袋詰め作業の様子も見学。村田代表が障害者が作業できるか相談したのに対し、「はかりの表示がデジタルでわかりやすく、危険な部分もない」と評価した。
 むらたFARMの委託を受けた市内の就労継続支援B型事業所「はーべすと」の日置史也所長(34)は「専門知識を持つ技術支援者が間に入ってくれることで安心感がある」。見学したJAあさひかわの吉田友弘・営農企画部青果課長は「細かい農作業もあるので、技術支援者に指導してもらいながら今後、農福連携を進めていきたい」と語っていた。
 技術支援者の派遣を含む農福連携に関する問い合わせは道農業経営課、電話011・206・7364へ。上川総合振興局農務課にも農福連携相談窓口が設置されている。

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村田代表(右端)の案内で、コマツナの計量や袋詰めの作業現場を見学する加藤さん(右から3人目)

2024年4月22日 21:24北海道新聞どうしん電子版より転載