函館市は新年度、重度障害者が通勤中や仕事中も介助サービスを受けられる事業を始める。就労を希望する障害者を支える狙いで、事業費を盛り込んだ新年度予算案を開会中の定例市議会に提案した。
 重度障害者は、重度訪問介護、視覚障害者の外出を支援する「同行援護」、知的障害者の食事や排せつを支援する「行動援護」などのサービスが利用できるが、以前は、仕事中の利用は対象外となっていた。国は2020年にこの制度を見直し、自治体が独自に支援事業を追加できるようになった。道によると昨年7月末時点、道内では札幌市と北見市が通勤・仕事中の介助サービスを行っている。
■24年度2人利用見込み
 函館市の事業の対象者は重度障害者のうち、労働時間が週10時間以上の会社員や自営業者。費用は国が2分の1、道と函館市が4分の1を負担する。初年度は2人の利用を見込み、事業経費275万円を新年度一般会計予算案に盛り込んだ。
 市は、重度障害者を雇用する企業に対し、文章の作成や機器操作など、職場での支援に関わる経費について、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の助成金申請も併せて促す。
 市保健福祉部障がい保健福祉課によると、市内の15歳以上の障害福祉サービス利用者は昨年7月末時点で116人。同課は「働きたくても仕事を諦める障害者は多い。希望者が就労できるよう、支援制度を周知し市内の企業の理解も得ていきたい」とする。

2024年3月1日 20:38(3月1日 20:57更新)北海道新聞どうしん電子版より転載