こんにちは
『授乳タイムをリラックスタイムに』を合言葉にラクな育児を応援している助産師の佐藤千鶴です
札幌・札幌近郊で母乳育児・育児相談を出張訪問、札幌市手稲区で分室運営
しています。
すっかり6月も終わり。。6月7月は普段の活動にプラスして講演活動が多く、いろんな学校に行って性教育の講演をしています。
ブログもマメに更新したいのですが、なかなか手を付けられず、こんなに空いてしまいまいました
7月は産後ケアの感想なども紹介させていただければと思います
最近来たお問い合わせで、多かったもののベスト3に入るのが
「乳腺炎」です。
どんなお問い合わせかというと、
マッサージに通っているのによくならないのはどうしてでしょうか?
ピアさんは乳腺炎のマッサージしていますか?
昨日甘いものを食べちゃったからちょっと詰まっているみたいですが、食事はやっぱり気をつけたほうがいいですよね?
分泌が良すぎるので、むせるんです。毎回ちょっと搾ってから飲ませたほうがいいですか?
やっぱり定期的にマッサージに通わないといけないでしょうか?
他の助産院で「線が細いから詰まるのは仕方ない」と言われた。でも何度も詰まるのでストレスがひどいです。
などです。
そもそも「乳腺炎」と一言で言ってもいろいろあります。
ABM(母乳育児医学アカデミー)が提唱している「乳腺炎スペクトラム」というのがあります。
それをそのまま紹介するのもありですが、わかりやすく解説します。
【乳腺炎の症状・病態】
1⃣乳房緊満(乳房のうっ積)→産後早期の乳房が張っている状態。軽いもののあるし、かなり辛くガチガチゴリゴリになる人もいます。大体は数日で引いてきてラクになります。
2⃣乳管閉塞または狭窄→乳房の一部分の圧痛・熱感があるが、発熱はないものを言います。乳頭の一部に白斑があることもあります。「熱はないけどしこりがあって乳房が痛い」状態をいいます。
3⃣白斑→乳頭に合わられる白いかひ状のもの。乳管の炎症といわれています。
4⃣炎症性乳腺炎→2⃣の状態の持続・悪化により炎症が進行すると乳房の痛み・赤み・腫れ・しこりがでてきて、発熱・悪寒など全身症状も出てくる。感染がなくても炎症反応が起こる。
多分、これが皆さんが想像する乳腺炎ですね
5⃣細菌性乳腺炎、急性化膿性乳腺炎→細菌性乳腺炎は、2⃣や4⃣から進行します。圧痛(乳房を押したら痛い状態)・熱感・腫れ・に乳房の赤み・悪寒・発熱・インフルエンザ様の全身症状が出る。これは乳房の炎症または感染症と言われている。
6⃣蜂窩織炎(ほうかしきえん)→乳房の蜂窩織炎は、乳腺炎が悪化して硬い腫瘤になり、境界が不明瞭な液体貯留・周辺の浮腫(むくみ)とうっ血がエコーで認められる場合をいいます。膿瘍に移行するリスクが高いともい言われています。
※乳腺炎の症状が良くなった後にも、しこりが一時的に硬くなったりすることが1~2か月続くこともありますので、それとの鑑別も必要です。
7⃣乳房膿瘍→急性乳腺炎の3~11%に発症する。激しい痛みを伴う腫れあがったしこり、乳房の発赤と皮膚のむくみなどがでます。発熱はあることもないこともあります。
そしてこれが皆さんが良く言う「ひどくなると切開するんでしょ」という状態。
8⃣母乳分泌過多→母乳が赤ちゃんが飲む量を超えて分泌される状態で、乳腺炎のリスクが高い
9⃣反復性乳腺炎→乳腺炎の症状が2~4週間毎またはそれ以下の頻度で繰り返し起こることが多い
🔟亜急性乳腺炎→急性乳腺炎のような大きな変化を起こす菌ではなく、毒素を出さない菌により、慢性的な痛みや乳管の狭窄などが持続する状態です。急性乳腺炎が良くなったあとなどに出てくることも多いと言われています。
2023年8月に書いたブログ「すごい強い痛みではない不快な乳房痛が続いているママへ」に書いてありますので読んでください。
以上これらが症状や病態であります。
そして、これらの乳腺炎の原因は以下のことと言われています。
乳頭の損傷
授乳回数が少ない、回数もしくは授乳時間を決めて授乳している→「必ず3時間はあけて授乳する」とか「吸わせている時間は10分ずつ」とか「1日8回しかあげない」とかです。
授乳間隔をあける→3時間は空くはずと思って泣いててもあやしてあげないとか、たまたまお出かけしてずっと寝ててほしがらなかったので5時間くらい空いてしまったとか、長時間急に夜寝るようになったなどで授乳間隔があいてしまったことによるものです。
不適切な吸い方や不適切な姿勢であげている
母乳分泌過多状態で、吸わせても作られる量が多くて残ってしまうことが続いた
乳房の過剰な圧迫→締め付けるようなブラジャーや抱っこ紐などでの一定の力での圧迫
乳頭の白斑、乳管口や乳管の閉塞
急な断乳
ママのストレスや疲労
ママの病気、もしくは赤ちゃんの病気
などが原因です。
あれ?食べ物は?と思っている方、特定の食物が原因が乳腺炎のリスクになるというエビデンスはありません
↑天ぷらも食べたいし、ケーキも食べたいですよね~
「昔ながらの和食にしないとダメよ」
「授乳中は脂っこいものは食べないでね」
「甘いものもやめておこうね」
と言われて産院や病院を退院した方もいると思いますが、全く根拠のない話です。
2021年5月に書いたブログ「授乳中は食事制限をしないといけないと思っているママへ~食事制限は必要ない~」にも書いてありますので見てください。
じゃあ、何でも食べていいのねと暴飲暴食は良くないですが、好きなものを適度に食べて、美味しく食事をする。
これが大切です。産後はストレスが多い。その上食事まで好きなものが食べられないとストレスも大きくなります。
母乳育児中だって「好きなものを適度に食べていい」
この「適度に」がポイントだと思っています
何でも食べすぎは体に良くない。
ちなみにですが、日々見てて思うのが、乳腺炎の原因の2つ目と4つ目が非常に多いと感じます。
この2つを修正しただけで、乳腺炎にならなくなるケースも多いのです。
授乳する時に、何かに寄りかかっていない
自分が前かがみになって赤ちゃんの口に乳頭を差し出すように吸わせている
授乳中に「まだ吸っているの?早く終わんないかな」とよく思う
授乳中、乳頭が痛い
授乳後すぐに乳頭を見ると、乳頭がつぶれていたり、変な形になっている
周りの人に「よく泣くね。足りないんじゃないの?そんなに授乳するっておかしくない?」と言われ不安になり泣いても我慢させたりあやして抱っこして過ごしていることがある
これらのどれかに当てはまるなら「不適切な吸い方・姿勢で吸わせている可能性があります」。
授乳している時は、「あ~ラクだな~。このままずっと座っていたい。ちょっと眠くなってきたな~。赤ちゃん可愛いな~」と思える感じで授乳をしてほしいのです。
授乳姿勢についてのブログは「あなたは授乳中にウトウトできますか?【その授乳本当にラク?】」を見てください。
そして乳腺炎の症状があり、産院や助産院に行ったのに、マッサージしかされなかった場合は、そもそも根本解決をしていないので、また乳腺炎になるリスクがあると思ってください。
マッサージしてもいいですが、授乳姿勢と吸わせ方をチェックして修正しているか、授乳回数や吸っている時間などを聞いて見て修正しているか。
これをしていないとまた乳腺炎になるリスクを残したままです。
そうなっていない場合や、授乳回数が少ない?多い?など疑問があればいつでも相談してください。
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