忘れられない恋 no18
退院して一週間が経った。
まだ、千里に別れ話を切り出せずにいた。
千里は事故に遭ってから何かを思い出したかのように
俺の世話を甲斐甲斐しくした。
「バイト、、、辞めようと思う。」
千里が呟いた。
「何で? 信二と喧嘩でもした?」
嫌味のように言った。
「違うけど、、、圭吾の傍に居たいから、、」
「信二が困るんじゃない?」
千里を試していた。
「でも、、、もう決めたから、、」
「勝手に決めずに信二と話し合えよ。」
「、、、うん。」
腸が煮えくり返っていた
白々しくもっともな顔をして
平気で嘘をつけるなんて
「圭吾、、、最近、なんか変だよね? 何かあったの? 」
「別に。 何もないけど。」
「そう? 私、、、何かしたのかな? 気に障るような事、」
「した覚えあるのか? 」
言葉を待たずに言った。
「、、、ううん。」
「なら、気にすんなよ。」
千里は目が少し泳いで動揺していた。
千里のこんな顔を見る事になるなんて 思いもしなかった
人間なんてこうも変われるものなんだな。
期待しては裏切られて 裏切られても離せずにもがいて
好きになって何がどうなるのか
何も変わらないのに 変わったつもりで生きていただけなのか
虚しい思いに駆られながら 千里を見ていた
千里を見ていたのか 悲しむ自分を見ていたのか。。。
携帯が鳴り、開いてみると「美咲」と表示されていた。
「どうした? 」
千里を気遣う訳もなく直ぐに電話に出た。
「圭ちゃん! 事故に遭ったんだって? もうビックリして。。
今、健太から聞いたの! どうして連絡してくれないの? 」
「悪い。バタバタしてて、俺もやっと退院したんだ。
心配しなくていいよ。大丈夫だから。」
「大丈夫って何よ? 大丈夫じゃなかったかもしれないって事? 」
「違う違う(笑) 大袈裟だな 美咲は。」
「明日逢える? 圭ちゃんの顔が見たいの。」
「え? ああ、、うん。 いいけど。」
「メールするね。」
と、美咲は嬉しそうな声で電話を切った。
千里は気にしていないように振る舞っていたけど
その態度から電話を気にしていたのは明らかだった。
でも、そんな言い訳をするのも面倒で何も言わなかった。
俺が浮気していると思うなら もうそれでも良かった
二人の空間が重苦しく 居たたまれず
今、何かをしたら 全てが裏目に出る気がした
俺は自分の気持ちが分からなかった
きっと千里も分からなかったのかもしれない
俺に同情して欲しくなかった。
愛が無くなってしまった事実を突き付けられている気がして
繕って明るく振る舞うぐらいなら
俺のせいだと責め立ててくれた方がましだ
「少し、出て来る。」
「 え? 」
千里が顔を向けるのを尻目に、足早に玄関に向かった。
逃げるように部屋を後にして車に乗り込んだ。
別に何処へ行くあてもないのに。。。。
少し頭を冷やして 千里に別れ話をしよう
これで最後になるか ここから始まるか
二人が求めるのなら きっと 繋がっているはずだから
憂鬱な思いをかき消すように
天に任せた思いでいた
ただ俺は、今の気持ちに素直に従おうと思った。。。
ここまで読んでくれた皆さん、有難うございます
今年中に書き上げますので、よろしくお願いします(´∀`)
明日は大掃除をしてから、〆を書きますよー
私はお正月大好きなので、楽しみだなあ(´∀`)
それではまた明日
(*^ー^)ノ