今日のニュースでバルセロナの日産の工場跡に中国のチェリーという大手自動車メーカーが進出して『オモダ』と言う新ブランドでEVのSYVを販売するそうです。

最初はガソリンエンジンも販売するそうですが基本はEV車だそうです。

1983年にバルセロナに日産の製造工場ができましたがヨーロッパの労働組合、部品の品質、生産価格などに悩まされ段々と生産量も落ち込み2021年に撤退を決定しました。

本来ならばもっと早く撤退する方が損失は減りますが、従業員の事を考えるとそこまでビジネスライクに物事を進められないのが日本人の弱点であり人の良いところでもあります。

スペインがEUに入った当時たくさんの日本企業がスペインに生産拠点を作りましたが今ではほとんどが撤退し、どこも撤退には苦労したようです。

その点、中国、韓国の企業などはビジネス価値がないと悟るとあっという間に撤退します。

さてこの日産が撤退した後は確かスペインの企業が買い取り細々と電動オートバイなどを生産していると言う話を聞きましたが詳しくは知りませんがまだ日産の看板が工場の至る所にあるところを見ると若しかすると日産撤退の時点で既に移譲を考えていたのかも知れません。

今回の発表に先立ち、スペイン政府、およびカタルーニャ政府とも話し合いが持たれ多分多くの補助金がスペインおよびヨーロッパ基金からこの企業に支払われるものと思われます。

実はスペインにはセアットと呼ばれるスペインで一番大きな国産自動車会社がありましたがが数年前からフォルクスワーゲングループに編入されセアット車の他にアウディなどグループの車も生産しています。

と言うことで元々はスペイン工場ではワーゲングループのEVが生産される予定でしたがご存知のようにこのEV製造計画が頓挫してしまいどうしたものかの思案中に中国からオファーが舞い込みすぐにその話に乗ったものと思われます。

今EV生産、販売に力を入れているのは中国だけになってしまいました。

何故ならEV車しか作れない中国メーカーは立ち止まりガソリン車に戻る事ができません。

今の自転車に乗ったまま倒れるまで走り続けるより他に道はありません。

また同時にこれがチャンスかも知れません。

日、欧、米のメーカが今のリチウムイオン電池EV車の増産に躊躇している間にヨーロッパで車を生産しヨーロッパ市場に実績を作ってしまおうと言う目論見です。

その為業界一位のDYDはハンガリーに工場を作るそうです。

今現在、中国国内経済が大不況の中もう直ぐに中国国内でのEV車の需要は無くなると思われます。

またこのリチウムイオン電池は使用済み太陽パネルと同じかそれ以上にリサイクルの技術がいまだに確立されておらず見切り発車してしまっています。

土地が広く、環境活動家の存在しない中国国内ならばその辺りの空き地に捨てておけば良いと思われますが国外販売はそうはいきません。

またこの車がスペインで販売されたとしても充電設備が不十分なスペインではあまり売れるとは思いません。

売れるとすればドイツとかEVが好きな北欧方面でしょう。

いくら安く販売するとは言っても今あるエンジン車、ハイブリット車の何割も高くなるのでスペイン人の平均収入では手が出ませんし、スペイン人は案外堅実な選択をします。

もちろん意識高い系の人もいますが給料は高くない系がほとんどです。

同時にEVが環境に優しいと言うセオリーのメッキも剥げかけて来ています。

そんな中、中国の大手EVメーカーは生き残りをかけ一か八かの賭けに出ているような気がしますが多分数年で答えが出ると思われます。