深夜の電話……

深夜の電話………


それは大抵の場合………

良い知らせではない………


５月に父が倒れ……
先週…手術をした………


しかし、経過は………

明日また再手術をおこなう事になった………


明日は『車椅子の結婚式』の本番だ………

しかも、母親の再検査も明日だ………


父は僕が学生の頃、赤面症（今のパニック症候群や対人恐怖症…当時は呼び名が違った）を患った………対人恐怖症である父は………心臓への負担が人一倍かかる。 そして１２年前、心筋梗塞で生死をさまよった………そして９年前再発………その後、改善していたのだが………

父は素敵な人だ……
誰よりも、ひとを想い……誰よりも不器用だ………そう、昭和のオヤジである

そのオヤジが独り手術に向かう……


不安や心細さを押し隠し………
「いい公演をしろよ……」


その言葉の重さに押し潰されそうになる心を奮い立たせ……

今日も稽古をし………

明日本番を迎える……

昭和のオヤジは言った………「お客様は神様だぞ…」

三波春夫かよ


毒づくのが精一杯だった………