かっこ悪い営業マンが教えてくれた「恥をかくことの大切さ」

2019/2/11 08:54 日刊SPA!

アップスグループオーナーの内野彩華氏。「日刊SPA!」にて【歌舞伎町流「欲望のすヽめ」】連載中!
アップスグループオーナーの内野彩華氏。「日刊SPA!」にて【歌舞伎町流「欲望のすヽめ」】連載中!

 

 こんにちは、内野彩華(うちのあやか)です。

 新宿・歌舞伎町にキャバクラを4店舗経営する歌舞伎町の女社長。そんな私が野心の大切さを説く、この連載。第38回は「恥ずかしさ」がテーマです。

 歌舞伎町に来たばかりの頃、この街独特のカラオケの替え歌にほんとうにびっくりしました。

 今ではすっかり過去のものになってしまいましたが、例えば「あゝ無情」では「落ちたら早いぞ水商売」「燃えたらしつこい30代」だったり。「Only You」では、「そのまま そのまま 入れたまま」「一度と言わずに二度、三度」などと、恥ずかしげもなく合の手を入れられる人が本当にうらやましかったものです。

 今回は、「恥ずかしさはお金に変わる」についてお話をしたいと思います。

◆お客様のためなら裸になる歌舞伎町の住人

 夜の歌舞伎町に来るお客様で営業系の仕事をしている方の多くは、お客様のためなら裸になることをまったくいとわないです。少し前ですが「アキラ100%」が流行ったときには、全裸でお盆芸を披露されていました。

 それから「グイ! グイ! グイグイよし来い!」「今日も! いい波乗ってんね!」「なーに持ってんのー(はい!) なーに持ってんのー(はい!) 飲み足りないから言ってんの(はい!)」 と大きな声で一気コールを繰り返したり、カラオケの「前前前世」で「君は全然全然飲んでない!」と言ってコールしたりします。

 歌舞伎町のキャバ嬢は、過去にグラビアやアイドル活動をしていた方が多いとはいえ、恥ずかしげもなくAKB48やTWICEを踊りながら歌えて、本当にすごいと思います。

 そういうことをする人(できる人)は、もともとしゃべり上手で歌もダンスもうまく、絶対音感や運動神経抜群という才能があったり、セリフやダンス、歌を間違えないように何回も練習を重ね、完璧にしてからみんなの前で披露しているのだと思っていました。

 私はしゃべり下手のうえに恥ずかしがり屋で、音痴で運動神経もなく、努力家でもないので、人前でパフォーマンスをすることなど死んでもできないし、そういう人になれる可能性なんて0.1%もないと思っていました。

◆歌もダンスも下手だったAくんが心をつかむワケ

 ところがある日、いつものように接待できた営業系のお客様のAくんは、歌はとても下手でダンスも変で田舎くさく、とてもカッコ悪かったのです。でも、下手な歌を自信満々に歌う姿にびっくりしました。

 方言を丸出しにして、変なダンスを繰り返していると、接待をされているお客様に「おい! 下手くそ!」と言われてとうとうカラオケを演奏中止にされてしまいました。

 そうするとAくんは演奏中止したお客様のところにスタスタと行って隣に座ると、抱きついてチューしたのです。男が男に抱きついてチューするのを初めて見た私は、度肝を抜かれました。それから、Aくんはそのお客様とデュエットすることを思いつき、今度はお客様と一緒に歌いはじめました。

 Aくんの歌があまりにも下手なので、お客様は優越感に浸り、2人で最後まで熱唱してしまいました。

 その後からグループは完全にAくん主導の空気となりました。歌は下手でダンスも下手だったけどヤジを飛ばされながらも、最後の最後までひたむきに恥をかきつづけていました。

 結局、グループの中で一番インパクトが強かったのは彼で、最後はお客様に「おまえっていいヤツだなぁ~」と言われながら確実に心を掴んで帰っていきました。

◆営業の仕事は「自分のことを信用してもらう」こと

 私は唖然としました。こんな「逆張り」あるんだと思いました。ただ考えてみれば、営業の仕事とは、お客様に気に入ってもらって覚えてもらって、自分のことを信用してもらって、自分から商品を買ってもらうことなのです。

 別に、歌手ではないのだから歌がうまい必要もないし、ダンサーでもないのだからダンスがうまい必要もないし、弁論大会でもないわけだから話がうまい必要もなかったのです。

 それなのに、何事も能力がないからできない、能力がないんだからどうせ努力したってできっこない、と全てのことに引っ込み思案だった私は、一体、今まで何をしていたんだろうと本当に情けない気持ちになりました。

 たしかに、ブサイクな異性よりはかわいい異性の方がテンションが上がるだろうし、パフォーマンスも、下手くそよりはうまい方が見ていて楽しいだろうし、しゃべり下手よりは会話上手な方が話していて楽しいとは思います。

 でも本当に人の心を掴むのは、そういう技術的なことではなくて「意味不明に自信満々」とか「絶対ここでなんとかしてやろうという気概」とか「最後までやり遂げるひたむきさ」なのだと思います。

 そういう目に見えないエネルギーを感じて、はじめて人の心は動くのだと思います。

◆いつまでも恥をかくという気持ちを心に

 Aくんに出会ってからというもの、私はどんな知らない歌でもお客様に「歌って」と言われたら、知らなくても、下手くそでも、音程がはずれても、しれっと自信満々に大熱唱すると決めました。

 それを見て、何も語らずただただドン引きする人もいれば、「飲み屋の経営者で、わざわざいまさら恥かく必要もないのに、よくそういうことをするよね」と驚く人もいます。「もういい加減いい歳なんだから恥ずかしいことやめなさいよ」とたしなめてくる人もいました。

 でも、そんなの全然構わなかったのです。だって「何のために」それをするかというと、それは「恥をかくこと自体」が目的だったからです。

 さすがに今となっては、キャバ嬢が育ち、私がいつまでもバカなことをして悪目立ちしていたら、店のキャバ嬢が営業する機会を失ってしまいます。それに、キャバ嬢の付け回しをする黒服にも迷惑をかけ、ひたすら店にとって営業妨害でしかないので、店ではもうやらないことに決めました。

 そもそも、そういう機会すらすでになくなってしまいましたが、それでもいつまでもそういう気持ちだけは持っていようと思っています。

 それは私が、今でもAくんの「気概」が大好きで、勢いがなくなって安定してしまいそうな今の私でも、「初心」を忘れたらいけないという「危機感」がいつも私の心の中にあるからだと思います。

<TEXT/内野彩華>

【内野彩華】
新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ

 

 

 

ヤフーニュースに載ってました

 

夜のお仕事のこと

 

かっこ悪い営業マンが教えてくれた「恥をかくことの大切さ」

営業の仕事は「自分のことを信用してもらう」こと

 

 

何の仕事でも同じですよねぇ

 

 

むとうの家の営業マンも、この記事を読んで営業の極意をつかみます

 

 

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