この10年を振り返ってみる 第9回
たかが10年。されど10年…。
2007年にミュージカルデビューしてからの、この10年を振り返ってみようという、エッセイ的な読みものです。(全10回。毎日18時更新予定)
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第9回
再演の機会がいただけるのは本当にありがたいです。今度の「デスノート The Musical」も楽しみ!しかも初の海外公演もありますからね。
同じ作品に、時期を開けてまた出演するのってとても面白いです。すでに染み込んでるところから、さらに掘り下げていけるので、身体に馴染む感じが心地いい。
2007と2009の「レ・ミゼラブル」
2008と2016の「ミス・サイゴン」
2011と2015の「ダンス・オブ・ヴァンパイア」
2012と2014の「カムイレラ」
2013と今年2017の「サイン」
2015に2度やらせていただいた「ビフォーアフター」
2010年から6期連続で出演させていただいた「ひめゆり」では、役が変わると景色が全然違って見えました。
初参加の時は杉原上等兵役として、戦争ものの中にいましたが、2013年に学徒達を引率する、神谷先生役として出演した時は、まるで学園ものの中にいるような…わかりやすく言うとそんな感じ。
稽古では、若いみんなが自主的に学徒会議を催して「あーでもない、こーでもない」と話し合う。それを先生のような、役者の先輩のようなスタンスで聞いて、アドバイスしたり。
最初は頼りなかった学徒役のみんなが段々と頼もしくなっていく姿に、正直感動します。
カーテンコールはまるで卒業式のような気分です。
あー本当の学校の先生ってこんな感じなんだろうなって…なんだかお芝居をやること以上の経験をさせていただいてますよね。
「ひめゆり」のほかにも、2011年の「わだつみのこえ」、今年2017年の「君よ生きて」と、太平洋戦争を背景にした作品にちょくちょくご縁があり、軍服を着るたびに、「これは与えられた僕の使命なのかな?」なんて感じたりします。
演じる時はいつも“平成に生きる自分たちと変わらないように”と心がけてます。
70数年前のモノクロフィルムの人たちと、僕らとの間には隔たりがあるように一瞬錯覚してしまいがちですが、そんなわけはない。
あくまでも人間ドラマとしてお届けしたい。教科書のようにはしたくない。
実際の体験者の方が、年々少なくなっていく中で、僕らはやれることをやっていきたいなと思います。
つづく
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