この10年を振り返ってみる 第4回
たかが10年。されど10年…。
2007年にミュージカルデビューしてからの、この10年を振り返ってみようという、エッセイ的な読みものです。(全10回。毎日18時更新予定)
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第4回
08年〜09年の「ミス・サイゴン」。特に博多座公演は、まさにベトナム戦争さながらの戦場でした。
スケジュールは超過密で、声帯には結節、太ももには肉離れ。
120%のド素人は、無駄な力を抜くことを覚えようと、120%で頑張ってました。
力を抜くことが苦手でした。
それは舞台人としての課題でもあり、人間としてもそう。
そういう大事なことを、舞台は沢山教えてくれます。
2010年の「ひめゆり」で、狂ってしまったフンドシ一丁の兵隊役をいただいた時も、大きな学びがありました。
バンド時代も含め、なんだか守りすぎていたなと…つまらないプライドやら何やら。
無尽蔵のキャパシティはないわけだから、ガードしている手は離して、循環させてしまえばいいんだ。風通しをよくしてしまえばいいんだと。
そういう事に気付かせてくれた、ミュージカル座のハマナカ先生には勝手に感謝しています。
ただ、なんとなく配役しただけだったのかもしれませんが(笑)
たくさんのお客様の目にさらされ、例え1小節の歌、ひと言のセリフだろうと、仲間にバトンを渡すというシビアな状況では、魂を無防備にさらすような感覚になります。
そのギリギリの状態に身を置いてこそ、本当の自分に会える。その自分に言い訳せずにちゃんと向き合えた時、大事な事が見えてくる。
たくさんの学びが舞台にはあるのです。
つづく
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