この10年を振り返ってみる 第1回
皆様のおかげで、とりあえずここまで走ってこれました!まことにありがとうございます!
たかが10年。されど10年…。
というわけで、この10年を振り返ってみようという、エッセイ的なものをやってみようと思います。
お付き合いいただけると幸いです。
(全10回。毎日18時更新予定)
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第1回
メジャーデビューしたバンドが紆余紆余曲曲折の末、2000年に解散したのは挫折以外の何物でもありませんでした。青春の全てを捧げてきた結晶の崩壊。そこから立ち直るのに数年…失業保険を食いつぶし、スーツを着て派遣社員を始め、生活の基盤が整ったころ、ようやくソロ活動を始めました。
幸運なことに、素晴らしすぎるサポートメンバーに出会い、自主制作CDのレコーディング、ライブ活動。それはとても楽しく、幸せな時間だったのです。
しかし同時に“このままでいいのか?”という、自分の内側からの声に気づき始めました。
楽しいのに満足できない。
これなのにこれじゃない。
そんなジレンマで何がなんだかわからなくなってる時、バンドの元マネージャーから、「レ・ミゼラブル2007」アンサンブルオーディションの話を聞きました。
それはまさに「sign(啓示)」だったように思います。
その時まで、ミュージカルとは無縁に過ごしてました。後でわかったことなんですが、レミのオーディションって超難関じゃないですか?(笑)何回もチャレンジしてる人だってたくさんいるわけで…しかし、その時の僕には、暗闇に開けた一本の道。出会うべき、進むべき運命であるという、根拠のない確信を感じたのです。それは比喩でもなんでもなく、本当にそんな感覚でした…人生って不思議です。
今だにミュージシャン仲間に「キョウヤは、ミュージカルに進む時、悩んでたよなー」なんて笑われたりもしますが「むしろこっちじゃないか?」なんて思ってもいました。ドラマなんかでよくある、運命の人に出会った!なんて感覚に似てるかもしれません。
06年、オーディションの直前に、人生で初めてのミュージカルを観ました。日生劇場での「レ・ミゼラブル」です。
S席の下手の端。バルジャンは別所さん。テナルディエはコングさん。ファンティーヌはシルビアさん。グランテールは伊藤さん…
もう圧倒されました。
これまで体感したことのない衝撃を全身に浴びたのです。
僕の中で、U2のドーム公演みたいな感動に打ちのめされました。レッチリやエアロスミスの武道館公演より、こっちでした(笑)
すっかりヤラレつつも、不思議な確信めいたものは、僕の中にいました。
そして数日後から始まった長い長いオーディション。書類審査が通ったら、2次からは実技。通れば3次。通れば4次…果てしなく続く緊張の日々。
オーディション会場にいる人たちは、当時の僕にとって関わり方のわからない人種の人たち。
何だあのやけに訳知り顔で、偉そうなやつは?(菊池まさはるくんでした(笑))
何だこのブルドーザーみたいにスゴイ声で歌うやつは?(藤田光之くんでした(笑))
気が遠くなるような審査の末に、合格の連絡を聞いたのは、派遣先のオフィスの廊下でした。
声を押し殺して、うおおおおおー!って、叫びました。トイレの前で(笑)
根拠のない確信が、少し形を成した瞬間です。
つづく
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