林檎の中の虫(バグ)その4 | 虫食い林檎と車のある風景

林檎の中の虫(バグ)その4

今でこそUSB2.Xだとか、シリアルATAだとか、新しい呼び名増える度に
尋常ではない速度でデータのやり取りが出来るコンピュータの環境。
ほんの10年前は最新で現在の10分の1くらいしかデータやり取りが出来ない環境だった。

Performa6220でフルサイズでノンリニアの夢。
Appleからの回答に打ちのめされ、早くも崩れ去るしかないのか・・・
そんな時だった。当時の仕事の関係で「放送機器展」なるイベントに行く機会があった。
昔の話しなのではっきりとは覚えていないのだが、今は亡き「インターウェア」という会社が
自社のキャプチャーボードのデモをしていたのだ。
それは先の記事にも書いたが、オイラが必要としたノンリニア編集で必要なパーツの候補だったが、
「フルスクリーン&フルモーション」にこだわるオイラの選定から漏れたパーツでもあった。
320×240ドットの画像を見かけ上640×480ドットに引き延ばしてモニターに映し出していた。
輪郭はカクカクと角が目立ち、映像に映る電信柱の電線の様な「斜めの線」も線ではなく、
ブロックが細かくつながった様に見える。
実際に画質を見てもやはり「フルスクリーン&フルモーション」には及ばない。
しかし、
パソコンのモニターで見ていた映像を、ビデオデッキでテープに録画する・・・そして再生。
え?と思いながらテレビに映し出された映像から視線を外せない・・・
パソコンのモニターで見た先ほどの映像とは全く違う印象だ。
輪郭は甘めだが、カクカクと角が目立つこともないし、「ブロックが細かくつながった」も無い。
衝撃というには大げさかもしれないけど、ショックだった。そして、愚かだった。
画質や品質といった企画にとらわれ過ぎ、アナログの性質を忘れていたのだ。
「ダビングのエロビデオの画像」の通り、アナログの画像は劣化する・・・
つまり輪郭は甘くなり、細かな部分は潰れて見えにくくなる。当たり前の事。
この「劣化」がうまい具合にデジタル感のある固い映像を丸みを持たせてくれていたのだ。
40型や50型、そこまでの大型テレビで見るなら、ひどい画質に見えるかもしれないが
21型、25型クラスなら十分な画像だと改めて思う・・・

今では「DVDに焼いて」と軽くいえるだろう。
しかし、ビデオカセットが主流の時代。当然、最終の形はビデオカセットになる。
アナログ(ビデオ素材)→デジタル(ビデオ編集)→アナログ(完成作品)
全体を見ずに、つまずいた足下だけを気にしていたが故の時間の浪費。

家に帰り、早速の実践・・・・・ビデオに取り直して再生の繰り返し。
画質には100%納得した訳ではないが、十分な手応えをつかんだ日だった。